東京・渋谷道玄坂には、途方もない数のお店が存在し、少し上を見上げると無数の看板が目に飛び込んでくる。もしも店名だけを頼りにお店を探すとしたら、容易に探し出すことはできないだろう。

その影響で、図らずも隠れ家みたいになってしまっているお店もある。たとえば、ネパール・インド料理のお店「ローカル渋谷」も、ここか? という場所にある。ちょっとだけ入りにくい建物にあるんだけど、ここで食べられる「シコクビエ(四石稗)」のパンは絶品だ。

・ちょっと入りにくいかも

このお店を訪ねのは偶然だ。道玄坂を歩いていたところ、「チーズナン食べ放題」という立て看板が目に入った。ダルバートやビリヤニを提供するお店が、この看板の示す矢印の先にあるそうなのだが……。


右側を見ると、え? どこ? 建物の入り口の雰囲気からして、ちょっとだけ入りづらいんだけどなあ。


恐るおそる入って階段の方を見ると……、あ! あったここか。「アジアンダイニング & バー ローカル渋谷」、表からはわかりにくいけど、ちゃんと2階に存在していた。


入店すると、気さくなスタッフがあたたかく迎えてくれた。どうやらここは知る人ぞ知る穴場で、ふらりと立ち寄るサラリーマンや若い女性が2人組で入ってくる。ちょっとだけ入りにくい建物だけど、逆にそれが良いのかもね。


・シコクビエのパン

メニューを見ると、ランチの人気ナンバーワンは「チーズナンセット」(税込990円)、プラス税込390円でチーズナンを食べ放題にできるようだ。これいいねえ。


それともランチセットにしようかな。ところどころカタカナ表記がおかしいところがあるけど、それもご愛敬。


アラカルトには「チョイラ(焼いた肉の和え物)」「セクワ(ネパールの串焼き)」「モモ(ネパールの餃子)」などネパール伝統料理もそろっている。さらにタイのガパオやベトナムの生春巻きなどもあり、アジア料理を幅広く扱っている。


注文したのは、同じく伝統料理のひとつ「コドコロティ(キビのパン)」のセット(税込1050円)だ。このお店では「シコクビエ(四石稗)」を使っている。選べるカレーはチキン・マトン・ミックス野菜の3種である。



・素朴な味

こちらがそのプレート。パンは焼き立てでアツアツである。


付け合わせのアチャール(漬物)と、カレー(マトン)とヨーグルトがセットになっている。


まずはマトンカレーをひと口。ホロホロに煮込まれた肉は羊特有の臭みがない。スパイシーでほのかに辛味があるけど、スッキリとした辛さだ。


ヒエのパンはもっちりした食感。小麦のようにふっくらとはしていないけど、噛むほどに甘さが増してくる。素朴なやさしい甘さである。


これをカレーに浸して食べると、辛味と甘味がほどよく調和して、それぞれの食材の持ち味が引き出される。料理は全般的に丁寧に作られている印象を受けた。またお店は清潔で、スタッフの接客にもホスピタリティにあふれている。総じて好感の持てるお店であった。


多少入りにくい建物ではあるけど、素晴らしいお店だ。まさに穴場。渋谷のド真ん中で本場のネパールを料理を楽しむなら、ここがオススメだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 アジアンダイニング & バー ローカル渋谷
住所 東京都渋谷区道玄坂2-28-2 MMビル 2F
時間 11:00~24:00(L.O.23:00)
定休日 なし

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24