突然ですが、皆さんは回転寿司というものをご存知でしょうか。円卓のような形状の席の前にコンベアが設置されていて、そのコンベア上をお寿司が流れるというシステムのお寿司屋さんです。え? 寿司を運ぶのにコンベアを設置するなんて合理的じゃない?

いえいえ、これは画期的なシステムだったようですよ。なにせ、情報通信技術が未発達で立体物を送信できなかった時代のことですから。回転寿司が存在したのは情報通信のシンギュラリティよりも前のことなんです。

そして、そんな回転寿司の中でも覇権を握っていたのが、そう元禄寿司ですね。当時の人はこう言いました。元禄寿司でなければ回転寿司でなしと──。

・回転寿司ディストピアではこうなるかも

回転寿司滅亡後の世界。スシローもくら寿司もかっぱ寿司も全てが荒野と化した100年後、回転寿司と言えば元禄寿司になっているかもしれない。そんな恐ろしい未来まで見えたのは元禄寿司の本店に行った時のこと

実は、元禄寿司は回転寿司発祥の店(※これはガチです)なのだが、帰省した際、実家近くの元禄寿司が本店であることを知り行ってみたわけだ。ちなみに、場所は東大阪市の近鉄線布施駅前。

・まさかの布施

私(中澤)は近畿大学に通っていたため、同級生が住んでいた布施駅近辺は、数えきれないほどのアカン夜の思い出がある。また布施もそれにふさわしい町なので、今や日本全土を席巻する回転寿司というシステムがこの地から生まれたなんて信じられない。

だが、元禄寿司の公式サイトには確かに回転寿司を発明したのが元禄寿司で、東大阪市から始まったことが記載されている。胸アツすぎるだろ。さっそく布施駅西南の商店街にある『元禄寿司 本店』に行ってみた。


・当時は気づかなかったこと

子供の頃から回転寿司が好きだった私は、大学時代この店に何度も来たことがある。当時は寿司が100円だったと思う。安く寿司を食べたい一心で通っていたが、回転寿司発祥の地として改めて見ると、当時は気づかなかったことに気づいた。ホゲエエエエエエ


石碑がある……!!

石碑と言えば、古今東西、残るもの。諸行無常の権力者も石碑があれば語られる。元禄寿司は完全に歴史に残ろうとしている。あらゆる回転寿司が滅亡し知識が風化したディストピアに、唯一、立っているのは元禄寿司の石碑なのかもしれない

・元禄寿司の良いところ

震えた。これぞ回転寿司の終末世界。怖いから回転寿司が荒野になる前に元禄寿司に入ってみたところ、現在は最安の皿で税込み143円なようだ。次のランクが税込み171円で、最高は税込み231円。

価格が上がっているのはどこの回転寿司チェーンもそうなのでご時世だろう。良いと思ったのは、最安皿の種類が多いこと。40種類ある上、まぐろ、はまち、サーモン、エビなど主力になりそうなネタが大体最安なのは凄い。

さらに、171円皿はいくら、うになど、ちょっとした高級感を味わいたい時に食べるネタで、ワンランク上なのが納得できる。ラインナップは少なめだが、くじら本皮とか他にないネタがあることも魅力だ。

・コスパが良い

で、このくじら本皮が意外とウマイ。個人的にはくじらは脂がしつこいイメージだったが、元禄寿司のものは脂の味と身のバランスが良くて寿司に合っていたのだ。

最高値の231円皿は4皿しかないのだが、炙りうなぎを食べてみたところ、ふわふわとしていて鰻のジューシーさがある。最高値の皿は炙りうなぎしか食べてないけど、231円は安いと思う味であった。

結果として、食べた12皿の中で最安皿よりもそれ以外の枚数の方が多くなったが合計価格は2280円。回転寿司チェーンが高くなっている今日この頃、このコスパはなかなかのものであると言えるだろう。


・始まりと終わりの回転寿司

ちなみに、ロボ化も著しい回転寿司業界だが、元禄寿司は注文すると職人さんが握ってくれる感じであった。レーンの中で職人さんが注文を聞いて握るスタイルはもはやちょっと懐かしい。

そんなことも感じさせてくれる元禄寿司はやはり始まりの回転寿司と言える。元禄寿司に始まり、元禄寿司に終わる。それが回転寿司の宿命なのかもしれない。

・今回紹介した店舗の情報

店名 元禄寿司 本店
住所 大阪府東大阪市足代1-12-1
時間 平日11:15~22:30 / 土・日・祝10:45~22:45
休日 無休

参考リンク:元禄寿司
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼ハモとかもあって、安くともこだわりが感じられるラインナップ

▼いわしもウマかった

▼バッテラと赤だしがメニューにあることに大阪感を感じる

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