安定した美味いしさを誇る、泣く子も黙るアイスクリーム界の王者「ハーゲンダッツ」。
今年の新作として「熟成バニラ」なるゴージャスなフレーバーが発売された。バニラといえばハーゲンダッツの基本にして代名詞でもあるフレーバーである。
気になるのはいつもの「バニラ」とどう違うのか……ってことだと思う。実際に食べ比べてみた結果、私はある真理にたどり着いてしまったのだった。
・そもそもハーゲンダッツは美味い
ハーゲンダッツの食レポは難しい。なぜなら、どれを食べても基本的に「美味しい」からである。
ときどき「コンポタ味」とか「ナポリタン味」といったフレーバーを出す「ガリガリ君」なんかと比べて、ハーゲンダッツはブランドの威信をかけた激ウマフレーバーしか出さない優等生。
我がロケットニュースみたいなイロモノサイト的には「激ウマ」以外のフックがなくて、ちょっと扱いに困るタイプかもしれない。
・熟成バニラってなんぞや
前置きが長くなった。ただでさえ激ウマなハーゲンダッツの「バニラ」が「熟成」されてしまったらどうなるのか。
まず、見た目から。黒くてツルツルしたパッケージからして雰囲気が違う。
希望小売価格は383円と、通常のハーゲンダッツよりお高め。ついでに内容量も100mlなので通常より10mlほど少ない。量が少なくてちょい高ってやつだ。
公式サイトによると、バニラエキスの熟成に着目し、温度や期間など熟成の条件について検討を重ねてこだわりぬき、バニラの芳醇な香りが口いっぱいに広がる大人向けの商品に仕上げた……ということらしい。
熟成肉とかもそうだけど、熟成〇〇みたいなのってめちゃくちゃ美味しい気がするのはなんでだろう。
・普通のバニラと食べ比べる
というわけで普通のバニラとさっそく食べ比べてみる。カチカチに冷えた状態だと香りや味の違いがわかりづらくなるため、10分ほど室温に置いて、柔らかくした状態で食べた。
ハーゲンダッツの食べ比べ、なんとも贅沢である。子供の頃の自分に教えてあげたい。アンタは40才になった頃、ハーゲンダッツの食べ比べの仕事してるよ……と。
まず、封を開けた姿を見ると……。
うん、まったく違いが分からない。
たとえば「熟成」のほうにバニラビーンズの黒い粒が入ってるとかそういうこともない。『なんでも鑑定団』の中島誠之助が虫眼鏡で見比べても違いが分からないんじゃないかってくらい、見た目は同じである。
どうも本当に香りだけで勝負をかけてきているらしい。というわけで実際に食べてみる。
・熟成バニラ
「熟成バニラ」は口の中にものすごく甘いバニラの香りが広がるのを想像していたら……。思ったよりもだいぶ上品な香りである。バニラはバニラでも、なんだか洋酒に近いような香りがするのだ。
・通常のバニラ
いっぽう、いつもの「バニラ」を食べてみると……。口の中にミルキーな甘い味わいが広がり、ガツンと甘いバニラの香りが漂った。あ、あれ、予想に反してこっちのほうが甘さを濃厚に感じるんだけど……。
・美少女が美女になったような
強いて違いを挙げるなら、いつものバニラはキュートな美少女っぽい甘さがあり、熟成バニラは美少女が成長して美女になったような上品さを感じるというか……。もっと叶姉妹的なムンムンのゴージャス感を想像していたけど、そうじゃなかった。
ちなみに、栄養成分表を見ると、だいたい似たような感じなのだが、無脂乳固形分が熟成バニラのほうは8.5%で、通常のバニラのほうは10%という違いがあった。
調べたところ、これが多いと乳にミルキーな風味が増すらしい。熟成はバニラの風味をしっかり感じさせるために、少しあっさり仕上げてあるのかもしれない。
で、何度も食べ比べてみながら気づいたことがあるのだが……。そもそもハーゲンダッツの通常版の「バニラ」はすでに完成された味なのだ。
ハーゲンダッツの「バニラ」を例えるならば後藤久美子であり、宮沢りえであり、広末涼子であり、橋本環奈であり、ナタリー・ポートマンなのだ。それはもう出始めのころからすでに完成されているってこと。
そのハーゲンダッツの「バニラ」が、熟成したところで「いつもはワンピースを着てますけど、今日はしっとりと着物で来ました」みたいな違いにしかならない……のかもしれない。
ちなみに、何も考えずにボーッと食べたら違いに気づかない可能性があるので、食べるときは全神経を鼻に集中させることをおすすめします!
最終結論「どちらもめちゃくちゃ美味しい」