
「時短」や「タイパ」などといった言葉を耳にすることが増えた昨今、カップラーメン界にも高速化の波は押し寄せていた。このたび2023年7月10日に、なんと湯戻し55秒で完成する商品が明星から発売されたのだ。その名も「ザ・バリカタ55 ラーメン健太 ねぎ豚骨」である。
これは由々しきことだ。55秒と言えば、筆者が何とはなしにぼんやり呆けているだけで容易に過ぎ去る時間である。そのあいだにラーメンが出来上がるとあっては吃驚するほかないが、本当に美味しく仕上がるものなのか。実際に食べてみることにした。
改めて説明すると、商品名にある「ラーメン健太」とは、東京・高円寺の屋台風豚骨ラーメン店だ。同店が監修したスープと、バリカタの細麺、そしてそれらに圧倒的短時間でありつける点が本商品の特徴である。55秒というのは明星史上最短らしい。
個人的には、ここまで湯戻しの短いカップラーメン自体初めて見た。実のところ本商品は今年2月に第1弾が発売されたシリーズの第2弾であり、第2弾になって食いつくあたり筆者がいかに日々呆けているかが窺い知れるが、そんな筆者でも1分切りが驚異的だというのはわかる。
その驚異を体験すべく、パッケージに載った説明に従って調理を開始した。熱湯を注ぎ、55秒待ち、調味油を入れれば完成と書いてある。
すこぶる簡単な工程であるのに、何度も読み返してしまう。調理方法の欄に5の数字が2つ並んでいることに対する違和感がすさまじい。何故か緊張もしてきた。
熱湯を注いでからは、ただラーメンを前にして座っていることしかできなかった。待ち時間3分の場合は一旦立ち去って何か別のことをする余裕がある一方、55秒の場合は席を外したら終わりという気さえする。じっとカップラーメンと向き合うのは初めてかもしれない。
しかしそれでも、あっという間だった。3分と55秒は明らかに違った。3分は体感10分くらいに感じることも多いが、55秒は実質30秒くらいであった。小学生からやり直せと言われそうだが、ふざけているつもりは全くないので許してほしい。
さらに正直に言えば、あっという間すぎて55秒を若干過ぎてしまったので許してほしい。慌てて箸を差し入れると、しなやかに麺が絡んできた。そのまま口に含んだところ、ぷつんと、軽快に綻ぶように麺が切れていった。
この歯切れ具合は、55秒を若干過ぎたせいではあるまい。もともと麺に備わっている性質だ。わずかな規定時間で違和感なく、いや、それどころか恐ろしいほど弾力良く仕上がるように出来ているのだ。
驚くほかない。何なら硬さを期待して食べた人は少し拍子抜けするのではないかと思うくらい、小気味良い食感だ。同時に、ほとんどの人は拍子抜けするのではなく、衝撃に心を埋め尽くされるに違いないとも思う。筆者もそのうちの1人だ。
また、忘れてはならないのがスープである。パッケージに「クサくてシャバくてうまい」とあるように、鼻をつくような豚骨の匂いを感じさせつつ、しかし決して不快にはさせず、強烈なクセで不思議とこちらを引き込んでくる。
このスープが匂いに反してサラリとした質感であるのが実に巧妙で、それが上述の麺と合わさることで、風味深く食べやすい、ハイクオリティなラーメンを結実させている。
シャキシャキとしたネギも55秒で出来上がっているのが地味にすごい。もろもろインパクトを持ちながら、それでいてキチンとソツがない一品だ。
結論としては、冒頭の「本当に美味しく仕上がるものなのか」という言葉を受けるなら、「本当に美味しかった」という一言に尽きる。一風変わったカップラーメンが食べたい方や、純粋に質の高い豚骨ラーメンが食べたい方にも、是非この商品を体験してもらいたい。
食べ終えたのち、筆者は余韻に浸り、ぼんやりと呆けた。せっかく55秒で出来上がっても、こうして浮いた時間を浪費してしまっては無意味だろうか。いやしかし、良いラーメンに出会った後くらいは許してほしい。
参考リンク:明星食品 公式HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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西本大紀









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