世界各地のマックへ行って限定メニューなどを調査する『世界のマック』シリーズだが、今回、はじめて “マックが無い国” へ上陸することになった。特殊な国(バチカン市国とか)ではなく、レッキとした広い国土を有する国である。

その国の名はズバリ、ラオス。けっこう名の知れた国だと思うが、マックが無いとは意外だ。もしマックが無い国へマックを持ち込んで食べたら、人生で感じたことのない優越感を味わえるのだろうか?

・味わいたい

なお現在のところ、日本からラオスへの直行便はない。私はラオスへの中継地・スワンナプーム国際空港(バンコク)でビッグマックセットを買い込み、ラオスへ持ち込んでみることにした。

この空港は出発ゲートの内側・外側どちらにもマックがある。乗り換え時間が短い場合は、成田空港で買うのもアリかもしれない。

とはいえ……ホカホカのマックを包んだ紙袋は、みるみるシオシオのクチャクチャになっていく。暑さによる劣化も気になるし、移動時間は極力短くしておきたいところだ。

さぁ、いくぜラオスへ!


・来たぜラオスへ

そしてラオス(ルアンパバーン)へ到着した私は、初めて見る街並みに思わず息をのんだ。


のどかにも程がある!!!!!!


「そりゃマックなんてあるわけない」と強く納得したのはもちろんのこと、困ったことに1人のオーディエンスもいやしない。こんなところでマックを食べても自己満足にしかならないが、まぁ、そもそも自己満足だからいいのか。

ポテト……少なっ! 国境を越えるとポテトは縮むのだろうか?

約1000kmを飛んだポテト、冷えててパサパサだった。


・何かを感じたい

最初は「めっちゃ面白い」と思って始めた企画だが、どうも想像したより、何も起こらないし何も感じないらしい。記事として成立するか微妙なラインなので、もう少し人がいるところへ移動しよう。

はい! ってことで有名なメコン川のほとりへ来ました。相変わらず人影はまばらだが、メコン川を眺めつつ存在しないはずのビッグマックを食べたなら、何か感じるものがあるに違いない。


ムシャ……



パッサパサ…………


・でも意味はある

私はそのあと、野良犬に少し分け与えるなどしてマックを消費。

彼(犬)がマックを食べるのは生まれて初めてのことだろうし、おそらく今後食べる可能性も低いと思う。すなわち、これが彼にとって生涯で唯一のマック体験なのだ。そう考えると、少しだけ感慨深いものがあった。

そして私がホテルのゴミ箱に捨てたマックの残骸。翌朝、これを回収しに来た掃除のオバチャンは驚き、そしてこう言うだろう……「あら!? いつの間にラオスにマックができたのかしら?」って。そう考えると、これまた少しだけ感慨深いものがあるのだった。

ちなみに、いくらラオスが田舎とはいえ、ナイトマーケットなどへ行けばそれなりの人混みが出現することを後から知った。こういう場所でマックを食べれば、あるいは羨望の視線を一身に浴びることができたかもしれない。

が、それはもう、どうでもいいことである。私はたしかにマックの無い国でマックを食べた。それは紛れもない真実なのだから。

なお首都のビエンチャンにはロッテリアが数軒あるほか、お隣のタイへ日帰りでマックを食べに行くことも可能。なにもマックが無い国に冷えたマックを持ち込まなくたっていい気もするし、あえて持ち込むことに意味がある気もする……現場からは以上だ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.