私は完全に忘れているが、中学時代からの親友・ケンチャンいわく、私は中2の頃、授業中によく「たけし城」の話をしていたらしい。


──伝説のテレビ番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』が終了したのは今から34年前の1989年4月。

ケンチャンと同じクラスで学んでいたのは1993年ごろなので、とうの昔にたけし城は終わっていたのに、まだ私はしつこくたけし城について熱心に語っていたとのことである。

どんだけたけし城が好きなんだ。


・忘れていた過去

つい先日、私が「令和版のたけし城」に出場したことを発表すると、突如としてケンチャンは興味深いツイートをした。

「中学校の時によく風雲たけし城のストロング金剛が出てくる迷路みたいなやつにやりたいんだよなぁって言ってた同級生が風雲たけし城に出たってことを知り、とりあえず願いは口に出しておくものだなぁと思った」

昔のオレ、そんなにだったのかよ! どんだけたけし城に憧れてんだよ!! ちなみに「迷路みたいなやつ」というのは、ご存知『悪魔の館』である。


のちに詳しく聞いてみると、ケンチャンはさらにこう証言した。


「お姉ちゃんと『そっち行っちゃだめー』ってテレビ見ながら言ってたって記憶してるよ。あと、とにかくストロング金剛の話をしてたと思うわ。迷路を上から見るというのが発明だって話をしたよなぁ……」


どんだけ『悪魔の館』に入れ込んでるんだよ!! ちなみに、私は当時の会話のことを綺麗サッパリと忘れている。



・インドでの再会

中学を卒業し、高校に入り。私は大学には行かず漫画家&ライターになった。あらゆる雑誌に寄稿しまくり、2〜3日ごとに締め切りがやってくるような生活だった。

そして23歳の時、疲れ果てた私は、すべての仕事を終了させ、結果的に2年半にもおよぶ放浪の旅に出た。

スタート地点はタイ・バンコクの安宿街カオサンロード。

初めてのバックパッカーひとり旅にドキドキしていた私を、とある安宿で待ち受けていたのは、先述のケンチャンだった。

ちょうど彼は、大学のお休みを利用してのバックパック旅を終えようとしていた時で、彼が帰国するまでの3日間ほど一緒に遊んだ。


そんな “旅の師匠” であるケンチャンが日本に帰国してからは、本格的な一人旅が始まった。

タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、スリランカ、中国、香港、チベット、ネパール……と世界を進み、

インド南部の都市チェンナイの、テレビのついた安宿に泊まった時、事件は起きた。おもむろにテレビをつけると……


ん?


え……


こ、これは……


まさか……


まさかまさかの……


まさかのインドでたけし城!!!!!!


そう、当時のインド(の南部限定?)では、「takeshi’s castle(タケシズキャッスル)」という番組名で、毎日のように過去の風雲!たけし城が放送されていたのである。

時は2005年。親友ケンチャンにたけし城への憧れを熱っぽく話していた頃から10年以上の歳月を経て、再びたけし城が私の目の前に現れたのだ。

ちょうどその時、私は放浪の旅中でありながら、日本の雑誌の連載仕事も抱えていたので、部屋にひきこもり漫画を描いていた。

テレビから流れる “谷隊長” の「いけーっ!」という号令を聞きながら。



・おっさんになって

それから約15年以上が経過した昨年。同僚の砂子間正貫が、突如としてこう雄叫びをあげた。

「みなさんでたけし城に行きましょう!」


またたけし城かよ! どんだけオレの人生、たけし城まみれなんだよ!!


特別枠なんかではなく、我々はイチからオーディションに参加し、全力で自己アピール。やがて出場の権利を勝ち取った。


そしてついに……


私は、ロケットニュースの仲間たちと共に、念願だったたけし城の地へ到達した。

さらに幸運なことに、あれだけ中学の時に親友ケンチャンに熱っぽく語っていた「迷路みたいなやつ(悪魔の館)」に挑戦することも実現した。

チラッと確認したところ、「シーズン1のエピソード2」において、私の『悪魔の館』での突撃っぷりが収録されていたので、ぜひとも確認していただきたい。


中2のオレよ、夢は叶えた。



──と、ここまで書いて、思い出した。

そういえば私、遠い昔に「たけし城」に行ったことがあると。

母がたの祖父母が住んでいたのがTBS緑山スタジオの近くで、じいじ(おじいちゃん)の部屋の窓から、たけし城のセットがボンヤリと妖しく光って見えていたのを思い出す。


とある日、そんな緑山スタジオで、お祭りみたいなのが催された。たけし城のセットに入れるお祭りみたいなのが。

母にLINEで「その時の写真、ある?」と聞いてみると……

すぐに送られてきた。小3からメガネっ子になった私だが、まだメガネをかけていないので、おそらく小2。今から約36年前だ。

母も、そして一緒にテレビを見てワーキャー言ってた姉も写っている。私は過去にも来ていたのだ。たけし城に。


私の人生の節々に、チラリとよぎるたけし城。

もしかしたら遠い昔の幼少期から、私はたけし城に憧れていたのかもしれない。小2の私も、中2の私も、まさか「ふんどし姿」で出場するなんて想像もしていなかったと思うが。


いずれにしても、とりあえず、願い事は口に出しておくものである。口に出していれば自ら進むし、口に出していれば向こうからも寄ってくる。


願いごとは、忘れたころに、叶うのかもしれない。


参考リンク:Amazonプライムビデオ「風雲!たけし城
執筆:GO羽鳥
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▼そうだったんか!