お笑いコンビ・ナイツの塙さん風に言うならば……。

とある日、「ヤホー」のニュースを見ようとしたら、SNSのフォロワーや「いいね」を増やしませんか? 的なことが書いてあるバナー広告がサイト中央部に表示された。

実に “いい位置” の広告であるが、私が「いいね」の販売などについて調べまくったりしているのをわかったうえで表示される、いわゆる「ターゲティング広告」というやつである。

次のニュース、次のニュースと、何度もページを切り替えても、「増やしませんか?」のバナーは場所を変え、大きさを変え、しつこく表示される。

まあでも天下の「ヤホー」に出ている広告だ。ちゃんとした会社なのであろう……とバナーを押し、その「いいね&フォロワー屋」にアクセスした。


・SNSの何でも屋

そのお店は、インスタ(Instagram)は無論のこと、Twitterも、YouTubeも、TikTokも「拡散サービス」を行なっていると。

「いいね」はもちろん、「フォロワー」も、「再生数」も売っていると。

さらにフォロワーに関しては、日本人、外国人、韓国人、中国人、それぞれの国籍の男性・女性、そして鍵アカ……と、細かく選べるラインナップ。


だが、今回わたしが目を奪われたのは、「コメント」である。

なんと、それぞれの国籍の人間からの「Instagramコメント」が売られているのだ。


ためしに「日本人コメント」の「100コメント」を選択すると9878円。つまり1コメントあたり約100円。なんか妙にリアルである……。

しかし、やらせのコメントごときに9878円も出したくないので、「30コメント4268円」で行くことに。1コメント約142円と少し高いが仕方ない。

そして「コメントを付けてほしいインスタ投稿のURL」と、「コメントの希望」を入力する欄があったので、まず投稿は……


コレにして、コメントの希望は


「可愛すぎる」


と、あまりにも図々しすぎるリクエストを出しておいた。はたして、どのようなコメントが書き込まれるのであろうか? 日本語のクオリティにも注目したい。



そして数時間後……


いきなりコメントがつき始めた!


まず1つ目のコメントは……


……であった。「おまえ本当にセクシーと思ったのか?」と小一時間問い詰めたいところだが、悩みに悩んで振り絞った一言コメントであることがうかがえる。


そうこうしているうちに、約30分後!


どん! どん! とコメントがついた。注目すべきは、鏡に映る脚など、“しっかりと投稿を見て書いている” ことがわかるコメント内容という点。

また、きちんとした日本語であることから、書き込んでいるのは日本人である可能性が非常に高い。

そしてもうひとつ特徴的なのは、

ダダーッとシステマチックに連発でつくのではなく、ボソ、ボソ……と、一定の時間を空けて書き込まれるということ。これ、なんか非常にリアル。

「写真でひとこと」ではないが、「コメント師」みたいなのに「お題」が出され、しばし考えてから書き込んでいる感がするのであった。



「なんだ、意外とちゃんとしてんじゃん」と思った。「さすがはヤホーに何度も何度も表示される、ヤホーが推す広告なだけはあるな」と思った。

どんな人たちが「コメント師」なのかな? 彼らは、どんな投稿をしているのかな? と、ひとりひとりのアカウントを調べ、最新投稿の日付に注目してみたところ──

最も新しくても今から約半年前の2022年11月──と、全員、そこはかとなく生気の感じられないアカウントなのであった。

遠い昔に投稿してから放置したまま──のような、実に “廃墟み” のあるアカウント。時の止まりの冷たさを感じるほどに。

これらアカウントの中の彼らは本当に “存在” しているのだろうか。もしかして、魂を抜かれた “抜け殻” なのでは──。



今日もヤホーでニュースをチェックすると、



例の広告が “とてもいい位置” に表示された。

ヤホー以外の、誰もが知ってる超有名なIT企業のサイトでニュースをチェックしても、


また出た。


また……。それも3箇所!


ずーっとこの広告は追ってくる。それはまるで怨霊のように。


「いいね」も「フォロワー」も「コメント」も。


神出鬼没の広告も。


我々は、何を信じたら良いのだろうか。



執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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