2023年4月10日、『リゾートバイト』が映画化されることが発表された。某大型掲示板のスレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」に投稿され、まとめでも殿堂入りの扱いを受けているこの話。

実は、私(中澤)は洒落怖が流行っていた当時、めっちゃ読んでたクチなので胸アツだ。あの影でクスクス語られていた書き込みがここまで来たかと。

一方で、熱い時期から10年以上経っているからこそ冷静に受け止められる自分もいて、この一報に次のような感想を抱いた。「リゾートバイトって映画化したらリングみたいになりそうだな」と

・『きさらぎ駅』を映画化したチーム

本映画の監督は映画『きさらぎ駅』チームで製作されているという。『きさらぎ駅』も映画化されてたんか。洒落怖を映画化するのが流行りになっているのかもしれない。とは言え、『きさらぎ駅』と違って、『リゾートバイト』には映像化したら一気に陳腐になりそうなポイントがある

・映像化にあたって『きさらぎ駅』と大きく違う点

大学生の男3人組が海辺の民宿に泊まりこみのリゾートバイトに行くことから始まるこの書き込み。そこはごく普通の民宿なのだが、2階は立ち入り禁止になっている。そんな2階へ女将さんがご飯を運ぶのを目撃した3人が、階段を上がったことから事態は急変するのだが……問題は急変するキッカケだ

そう、奇妙な雰囲気だけで確たるものは何も出てこず謎だけが残る『きさらぎ駅』と違い、『リゾートバイト』にはハッキリとしたキッカケが存在する。そのキッカケと言うのがクリーチャー的なヤツなのである。

・ネット書き込みと映像の違い

元の文章は、極めて一人称な視点で断片的な情報しかなく、そこに怖さがあった。が、映像化するとなると、クリーチャー的なのを登場させざるを得ない話かと思うのだが大丈夫なのだろうか?

そんなの登場した日には一気に『リング』みたいになりそうなんだけど。いや、『リング』も最初の映像化であるドラマスペシャルまでは怖かった気がするんだが、『リング2』とか公開されて貞子にもはやギャグしか感じなくなった。ネット書き込みである当時の洒落怖は、そういう死んだホラーへのカウンターもあったと思うのだが

・主人公

なお、主演はバブリーダンスで注目され、女優として活躍が著しい伊原六花さんが抜擢されているとのこと。ひょっとしたら、唯一登場する女子である美咲ちゃん視点の話なのだろうか

民宿の事情を知ってそうな割に全く怪しい素振りが見受けられないので、地味にクリーチャー召喚してる女将さんとかより謎の人物である。それならそれで創作的な面白さはありそうだ。

と思いきや、よく見ると、伊原六花さんは民宿のアルバイトで訪れた大学生・内田桜を演じるようである。つまり、男子大学生3人が女子になっているわけか。アホな男子大学生のmixi日記みたいな語り口なのもよかったんだけど、まあ文章と映像は違うからな。

ゆえに、一体どうなるのか全く想像がつかない映画『リゾートバイト』。ひょっとしたら、色んな意味で死ぬ程洒落にならない一作になるかもしれない。ガクガクブルブル。

執筆:中澤星児
画像:©2023「リゾートバイト」製作委員会