先日、大手スーパー「西友」のレトルト食品コーナーを眺めていたら、カレーの種類がやたらと多いことに気が付いた。西友が独自に販売しているオリジナル商品だ。で、ふと思った。西友のレトルトカレーを全部混ぜたら、西友カレー王が誕生するのではないかと。

そこで今回、西友のレトルトカレー全21種類を購入し、それらすべてをひとつの鍋にブチ込んでみることに。王が生まれる瞬間を、どうか見逃さないでほしい。

・西友カレーをコンプリート

西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」シリーズには私(あひるねこ)も日頃から大変お世話になっているが、まさかこうもレトルトカレーが充実しているとは思わなかった。2023年2月22日時点で、なんと21種類も発売されているのだ。カレーだけで21種類である。

それらをすべて並べた結果が……これだ!


専門店でもないのに力を入れすぎだろ。せいぜい甘口・中辛・辛口くらいかと思いきや、グリーン・ポモドーロ・マッサマンなどなど、様々なカレーが顔を揃えている。

中でも強力なのが、限定企画品として発売中のプーパッポンカレー・プラウンマサラカレー・シンガポールチキンカレーの3品だ。本当に西友か? ってくらいガチなラインナップだが、価格もそれぞれ400円弱とかなり強気。

「安いだけじゃねぇかんな」という西友側の強い意気込みを感じる。

・カレーリスト

参考までに、今回用意した商品21種類を価格別に並べてみた。あなたのお気に入りカレーはあるだろうか。


【税込91円】
・甘口カレー 200g
・中辛カレー 200g
・辛口カレー 200g


【税込192円】
・しびれる辛さの麻辣ドライキーマカレー 160g
・まろやかなコクと旨みクリーミーバターチキンカレー 160g
・トマトの爽やかな辛さ ポモドーロカレー 180g
・フォン・ド・ボー仕込み ビーフカレー(甘口)180g
・カシューナッツ香る マッサマンカレー 180g
・ひよこ豆と野菜の チャナマサラカレー 180g

・ほうれん草と生クリームのサグダールカレー 180g
・北海道産クリームのコク フォン・ブランカレー(ビーフ)
・青唐辛子の爽快な辛み グリーンカレー 160g
・爽やかにカルダモン香る キーマカレー 130g
・チキンと野菜の旨み スープカレー 180g
・完熟トマトとバターのコク バターチキンカレー 180g


【税込270円】
・大豆ミートのキーマカレー 160g
・ワインビネガーがきいた ポークビンダルー 180g
・1食分の野菜と食物繊維がとれるカレー 180g

【税込378円】
・蟹の旨みにこだわった プーパッポンカレー 180g
・海老の旨みにこだわった プラウンマサラカレー 180g
・ココナッツミルクとスパイスにこだわった シンガポールチキンカレー 180g


・創造開始

それでは用意した鍋に全カレーを投入していきたい。と言っても、21袋を湯せんしてから入れるのは手間なので、中身を鍋にあけた後、かき混ぜながら弱火で温めることにする。

以前、無印良品のレトルトカレーを全部混ぜた時も同じことを思ったのだが、グリーンカレー系の存在感の強さは異常である。香りも他と比べて明らかに強いので、コイツに現場(鍋)の空気を支配されないか心配になってくるぞ。カレー界における柚子胡椒、それがグリーンカレーなのだ。

鍋の中では袋を追加するごとに混沌(カオス)が深まっており、その様は小宇宙の誕生を私に予感させた。あとは全体がしっかり混ざるよう、焦げ付かないよう、お玉でゆっくりかき回していく。こうして最初のカレーを投入してから約30分──。


さあ目覚めよ……! 西友カレー王……!!


21種類を混ぜた結果、生まれたのが……


みなさまのお墨付きが結集した奇跡のカレーが……


これだァァァァァァアアア!!!!!!!



ただのカレーやないかッ!

・想定外

完成したのは、誰がどう見ても、どう考えても普通のレトルトカレーだった。同じく西友で購入した簡易カレー皿に盛り付けたら炊き出しみたいになってしまったぞ。どこの石原軍団なんだ。ポークビンダルーやらプーパッポンやらサグダールやらは一体……。


しかし一口食べてみると、こ、これは……


_人人人_
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 ̄Y^Y^Y^ ̄


・カレー王

あまりにもバキバキに仕上がりまくった味わいに、私も驚きを隠せなかった。ウマすぎる……! 別に西友をナメていたワケではないが、PB商品を混ぜただけで、果たしてこんなにウマくなるものなのか? 想像以上に非の打ち所のない完璧なカレーが完成してしまったぞ。

平凡なルックスに反して、いざ食べてみると意外に具沢山なのも西友カレー王の特徴だ。ん? これは……蟹か? と思ったらキーマカレーのひき肉が。今度は何やらシャキシャキした野菜が入っていたりと、食感もさながら万華鏡のようで楽しい。

そして不思議なことに、これだけ様々なカレーが混在しているにもかかわらず、突出した味の系統が一切ないのである。チキンでもビーフでもシーフードでも、豆でもましてやアジアンテイストでもない。ただただウマいカレーだけがそこにあるような感じだ。

味に深みや奥行きが生まれ……と書くのは簡単だが、ここまで見事な融合を果たされると、実は元々ひとつのカレーで、それが何らかの理由によって21の個体に分割され今の状態になっているんじゃないかという気すらしてしまう。まさに封印されしエクゾディアカレー。

・唯一の弱点

ただし、西友カレー王にはある致命的な欠陥も存在した。試しに撮影に協力してもらった上司のYoshioに食べてもらったところ……




何も言わねぇ。


・ガチで無言

そう、ひとつのカレーとしてあまりにも完成&完結しすぎているが故に、気の利いたコメントがまったく出てこないのである。最初は純粋にYoshioがポンコツなだけかと思ったが、他の編集部メンバーも呼んで振る舞ってみると……




──なんか言えや。

・沈黙のカレー

マジかよ、揃いも揃って「ウマい」とか「おいしい」くらいしか言わないぞ。このカレー泥棒めらが! こうなったら編集部屈指のカレー好き・御花畑マリコ女史にコメントをお願いするしかない。


御花畑「口に入れた瞬間はまろやかなのに、食べすすめると辛味がガンガンくるのがビックリ。こんな摩訶不思議なギャップのあるカレーは初めてかもしれない……。個人的には『お墨付き』出せますね」


──とのことである。なるほどなるほど、さすがマリちゃんだ。どうもありがとうございます! それでは最後に、今回の検証にかかった費用を発表しよう。西友のレトルトカレー21種類の合計金額は……なんと!


税込4521円!!!

・割と妥当

いや高ェェェェェエエエエエ! と思いきや……あれ? そこまででもないか? さすが西友のPBだ。無印の時とは違って(約2万円)、マネしようと思えばマネできる金額である。キャンプ等でみんなでやったら絶対盛り上がると思うぞ。

ちなみに余るかと思ったら、全員ほぼ無言のまま普通に完食してしまいました。まあカレーとしてのレベルは無印カレー王の方が上なのかもしれないが、個人的には文句なしの出来で大満足である。機会があったら、ぜひまた王を誕生させたい。

参考リンク:西友「みなさまのお墨付き」
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.