ひつまぶし、きしめん、手羽先、味噌カツ、あんかけスパと名古屋のグルメは枚挙にいとまがない。「地名+グルメ」で検索して、これだけメニューが出てくる都市ってなかなかないのではないだろうか。

逆に、私(中澤)は名古屋に行くといつも何を食べようか迷ってしまう。どれも決め手に欠ける気がするのだ。しかし、見つけた。見つけてしまった。『かつ丼 大樹』を。「名古屋 グルメ」とかのまとめにはまだ載っていないが最強説あるでこれ

・閑静な住宅街

降り立ったのは市営地下鉄名城線で栄から少し離れた黒川駅。名古屋城が近いので外れというほどでもないのだが、この駅の周りは閑静な住宅街となっている。

そんな駅周辺から南下して高速のインターを越えると、閑静さにもさらに磨きがかかった。学校からバスケの音とか聞こえて、いっそほのぼのしている雰囲気。そんな飲食店どころか店すらほぼない路地を歩いていると、住宅の合間に見えてきたのは「大樹弁当」の文字。弁当……?

・整理券

あまりにもひっそりとあったため、飲食ができる雰囲気を感じなかったのだが、よく見ると中は定食屋になっている。行列もないので入店してみたところ、整理券と共に「12時30分頃になります」と時間を教えてくれた。現在、11時15分くらいなので約1時間後である。

なるほど、そういうシステムだから行列がないわけか。隠れ行列店と言えるだろう。特に急いでなかったので名古屋城公園に行ってまったり時間を潰した。チルいぜ。

・至高のかつ丼

12時10分頃に店に戻ると、予約の人が来ないとのことで先に通してくれた。そこらへんの対応はフレキシブルにやっているようだ。メニューはかつ丼、かつカレー飯、味噌かつ丼、ソースかつ丼と丼物中心。基本的には豚肉が150gで1380円、250gで1980円。ソースかつ丼だけ200gだからか1680円となっている。

せっかく名古屋だし1時間待ったし、どうせなら一番高いものを食べたい。というわけで、豚肉250gの「至高のかつ丼(1980円)」を注文したところ……


とじてない

卵の絨毯すら覆い隠さんばかりの肉の存在感。もう米が見えるとか見えないとかのレベルじゃない。動いたらヤられる……そんな肉のプレッシャーは『日本橋とんかつ一(はじめ)』や『丸七』などの焼きカツ丼の名店を彷彿とさせる。

食べてみると、肉がホロッと溶けるように柔らかいのも同じ。あの2店と違って、インディーズ感があるのにこのクオリティーは素晴らしい。価格的にも相場より大分安めと言えるだろう。しかし、私が衝撃を受けたのはここからだった

・2つの衝撃ポイント

まず、タレ。これが今まで食べた焼きカツ丼やとじないカツ丼のどれとも違う。大体、鰻丼みたいな甘いタレか、かつ丼っぽい出汁のきいたタイプに二分されていたのだが、ここのは醤油の香りがする

それでいて甘みもきいており、まるで生姜焼きみたいに後味にちょっとした爽やかさがあるのだ。醤油系のタレとかつ丼ってこんなに合うの!? これはこれで全然イケる!

しかし、食べ進めると、さらなる衝撃を受けずにはいられなかった。それはふるふるの卵の絨毯を越えた時にやって来る。そう……


ご飯が高菜飯なのである

実は高菜飯であること自体はメニューにも書かれているのだが、こんなにも合うとは。肉の柔らかさ、ふわっとした卵、醤油ダレの甘み……それらで甘やかされた舌を高菜の濃い味とシャクシャクした食感が引き締めるようである。

ただ単に詰め込まれているのではなく、ビックリ箱のようなアイデアが1枚のタペストリーを織り上げるようではないか。食べ終わる頃には、私はこう思っていた。「このかつ丼を食べにまた名古屋に来たい」と。

・予約方法

なお、私が食べている途中にも整理券を取りにお客さんが来店していたが、昼すぎからになると2時間待ちと待ち時間も長くなっていたことを追記しておきたい。名古屋ではすでに話題沸騰のようだ。とは言え、表の看板によると店のInstagramアカウント「@katudondaijyu」をフォローしていれば予約もできる模様。

そういう手段も用意されているところは旅人からするとありがたい。のんびり待つ時間がないことも、そもそも予約ができない飲食店も多いから。何を食べるか迷った挙句、結局コメダ珈琲やよもだそばなど東京にもある店で食べることも多かった名古屋旅。次からはもう迷わない。

・今回紹介した店舗の情報

店名 かつ丼 大樹
住所 愛知県名古屋市北区清水4-6-15 ビル琴 1F
営業時間 10:00~16:00
定休日 火曜日

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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