「男なら、いつ何時も強くありたい!」そう考える男性諸君は多いはずだ。私(耕平)も40代後半でありながら、歳を取っても自分の身を守るため、そして身近な人が何かのトラブルに巻き込まれた時のために対処できるくらいの強さを手に入れたいと常々思っていた。

ただ、この歳でキックボクシングや総合格闘技のような、バッキバキに身体を鍛えて強くなろうと思うと、正直キツかったりする。だからと言って何もしない人生も面白くない。そんなモヤモヤした感情を払拭すべく、半年前から習い始めた武術。

道場に通うのが環境的に厳しいということもあり、オンラインで学ぶことになったのだが、相手もいない1人稽古で本当に強くなれるのか? 実際に道場にお邪魔して効果検証してみたので、その様子をお伝えしよう!

・自宅で稽古ができるオンライン道場に参加

私が学んでいるのは、先日大盛況の中幕を閉じた格闘イベント『敬天愛人』を開催した、武術格闘家の菊野克紀さんが運営する「誰ツヨDOJOy」のオンラインコースだ。


ちなみに菊野さんを知らない人のために説明すると、かつては世界最大の総合格闘技団体「UFC」にも出場し、日本格闘技界のトップ戦線で活躍していたファイターだ。

直近ではYouTubeで大人気の朝倉未来選手がプロデュースしている ”1分間の格闘技大会”「BreakingDown(ブレイキングダウン)」の第1回大会のメインカードに出場し、自分より体重が40kg以上重い「元力士キックボクサー」相手に、59秒でKOした実績を持っている。

そんな菊野さんが運営している「誰ツヨDOJOy」は ”誰でも何歳からでも強くなれる” をコンセプトとしている。どういうことかと言うと「沖縄拳法空手」をベースとした身体操作を駆使することで、パワーやスタミナに頼ることなく技や威力を出すというもの。これにより老若男女、年齢、性別も関係なく強くなれるというわけだ。


このコンセプトに共感して、空手経験が全くない私が「誰ツヨDOJOy」のオンラインコースに入会したのは6月初旬。本来なら池袋にある道場に通いたいところだが、千葉県に住んでいて在宅勤務が多いこともあり、環境的に難しいことからオンラインコースを選んだ。そして半年が経過。マイペースに自宅で稽古に励み、何となく強くなっている実感が湧いてきた次第だ。


果たして私は本当に強くなったのか? 確かめるために本部道場のリアル稽古で検証することにした。


・効果検証

初めてのリアル稽古に参加すべく、本部道場がある池袋のキックボクシングジム「レグルス池袋」に足を運んだ。


この日の稽古は「鍛錬クラス」と「護身術クラス」。通常オンラインクラスの会員が参加できないクラスなのだが、今回は検証のため特別に参加させてもらった。中に入ると、10代〜70代まで幅広い年齢層の生徒さんたちが稽古に参加している。


そして、代表の菊野さんが満面の笑みを浮かべて出迎えてくれた。


メッチャ爽やかな笑顔だが、その拳や足から出る打撃力は凄まじくエグい。格闘技や武道の猛者たちも絶叫するレベルの威力で、菊野さんの打撃を食らう動画がYouTubeを中心に話題になっているほどだ。


さぁ、いよいよオンラインの稽古でも強くなれているのか? さっそく検証してみよう。


まずは沖縄拳法空手の「セイサン」という型の姿勢を見てもらう。この型は強くて重い状態のまま体重を浮かすことなく、並行移動するというもの。


これが単純に見えて、なかなか難しい。やはりオンラインで画面を見ながら1人でやるのとはワケが違う。ここで菊野さんに一つ一つ丁寧に指導をしてもらう。


さすがにすぐにできるわけもなく、この動きについては まだまだ稽古が必要だ。


次に投げ技の指導をしてもらう。単に投げ技と言っても柔道みたいな投げではなく、一切力を使うことなく相手を崩す「求心力の投げ」というもの。これもオンラインで習ってはいたものの、対人でやるのは初めて。どこまで通用するのだろう……。

まずは菊野さんに手本を見せてもらう。投げ方は両肩を掴んで横に投げるという動き。まずは力だけで倒そうとすると耐えられてしまう。


ところが、菊野さんが軽く触れながら後ろに下がって膝をつくだけで、耐えられず吹っ飛んでしまう。


「おい、耕平やらかしてるな?」という声も聞こえてきそうだが、力が感じ取れない分、耐えようとする反応ができないので本当に簡単に投げられてしまうのだ。次に私が菊野さんに試してみると予想通りというか、やはり上手くいかない。


ここでも菊野さんの丁寧な指導が入る。コツとしては相手を崩そうと思わないで、相手と繋がることを意識しながら自分が崩れる。決して相手を変えようとはしないことが重要らしい。そしてアドバイス通りにやってみたところ……

できた!!


元UFCファイターを投げてしまった……ただ不思議なことに投げている感覚が全くない。しかし自分も先ほど投げられて体感しているので、改めてスゴい技だと実感した。


最後に突きの威力を試してみる。


前述したが、菊野さんの突きの威力は本当に凄まじい。その証拠として、現役時代は海外で「菊野 ”ワンパンチ” 克紀」という代名詞がついていたくらいだ。そして、その威力のコツはパワーではなく独特の身体操作による体重移動。

簡単に説明すると、自分の体重をできるだけ拳に揃えて突きを打つことで凄まじい威力が生まれる。つまり、仮に体重が40kgしかなかったとしても、その10分の1の重みを拳に揃えることができれば、4kgの鉄アレイで殴るのと同じくらいの威力が再現できるというものだ。


これもオンラインで何度も見て練習したが、実際やってみると、なかなかうまくいかない。


ここでも菊野さんが丁寧に打ち方を指導してくれる。コツとしてはボクサーのような全身を使って腰から打つような打ち方ではなく、出している手から全身が引っ張られるイメージで打った方がいいとのこと。


すると……

えっ???


これまた、打ったという実感がない。ただ何となく、体重が拳に揃った感覚はあった。何かの漫画で読んだことがあるが、実際に効くパンチは力を抜ききって打った方が、パワーで打つより何倍も威力が増すというが、これがその感覚なのか? 実際に屈強な肉体を持っている菊野さんを、アラフィフのおっさんの突きで飛ばしている。


・オンライン稽古で強くなったのか?

まず率直な感想だが、オンライン稽古で強くなったかというと、始める前に比べたら確実に強くなった実感はある。ただし道場で稽古している会員さんに比べたら、対人稽古でしか得られない感覚や個人のクセなどのアドバイスが無い分、どうしても成長スピードが遅くなるというのが個人的に感じたことだ。

実際、私より武術歴の浅い、入会3ヶ月の齢74歳の会員の方は凄まじい突きを身につけていた。


こちらは先ほどの突きとは違って、遠心力も取り入れているものだが、年齢を感じさせない威力がありそうだ。ただ見た目だけじゃないのか? そんな疑惑も湧いてきたので、体を張って受けてみようと思う。


まずは軽く受けてみる。


まぁ、これくらいならなんてことないと思った次の瞬間……

ドーーーーーン!!!!!!


凄まじい衝撃力……右胸を打たれたのだが、衝撃が頭にきて思わず後ろに吹っ飛んでしまった。改めて「誰ツヨDOJOy」でリアルに指導を受けている人たちの凄さを感じた。まさに ”誰でも何歳からでも強くなれる” というコンセプトは伊達じゃない。

話を戻して、武術をオンラインで半年間習った検証結果は、「強くなれるが、成長度合いは自分の鍛錬の量による」というのが個人的な結論だ。マジメに動画コンテンツを見ながら、ちゃんと鍛錬していれば未経験から強くならないことは無いが、ずっと1人だと効果検証ができない。

そういった不安材料を解消すべく「誰ツヨDOJOy」では、その地域ごとに「稽古会」が開催されている。ちなみに私は千葉県に住んでいるので毎月1回行なわれている「千葉稽古会」に参加して、同じ県に住む会員さんと交流させてもらっている。


また道場で認定されているインストラクターが、マンツーマンで指導してくれる有料のサービスもあるので、稽古会が無い地域に住んでいて習いたいと思っている人は、オンラインで基礎を学んで、こちらのサービスを使って効果を検証するのもありだろう。

そんなわけで「強さを手に入れたい……」と思っていても一歩踏み出せない人は、入口として武道・武術のオンライン稽古から手軽に始めるのも一つの選択肢としてオススメしたい。きっと人生観も変わると思うぞ!

参考リンク:誰ツヨDOJOy 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.
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▼道場の皆さん、ありがとうございました!


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