高速道路を利用するとき、筆者にとって一番の楽しみがパーキングエリアのお土産物売り場だ。

地元の特産物を利用したお菓子や ローカルチェーンのレトルト食品など、所狭しとならんでいる様子は圧巻。必ず立ち寄ってチェックすることを自分に義務付けている。

ほとんどのお土産は正統派──というか、パッケージ自体が「美味しそうでしょ?」と問いかけてくるようなデザイン。だけどたまにいるんだよな。ネタに走った変わったお土産が……!

・サメのジャーキー

東名阪自動車道を利用していた時のことだ。休憩で立ち寄った御在所(ございしょ)PA内のファミリーマートにて、気になるものを発見した。

それは、サメジャーキー。

世の中で大量に出回るB級サメ映画の影響だろうか。筆者にとってサメといえば、人間が食べるというよりも 人間が食べられるイメージの方が強くある。

どんな味なのか気になったのはもちろんだが、全然怖くないコミカルな表情のサメに誘われてつい手に取ってしまった。

ちなみに価格は税込400円。内容量30gと少ないため、ちょっと高級品感なのかな。


・特徴的な香り

自宅に持ち帰り、さっそく開封してみる。ハサミで封を開けると、中からは真空パックになったジャーキーが出てきたのだが……

なんか臭い!!!!


気のせいかと思ったのだが、間違いない。魚臭さというか生臭さというか、得も言われぬ臭いが袋から漂っているのだ。

真空パックの中から臭いが漏れるとは考えにくいため、きっと袋に染みついているのだろう。

「サメにはアンモニア臭がある」と聞いたことがある。子供のころの理科の授業だっただろうか。たしか体内に尿素をためて浸透圧調整をしているとか、そんな話だったような気がするが……袋の臭いの正体とはちょっと違う気もする。


ジャーキー自体もさぞかし臭いことだろう。そう思いながら真空パックにもハサミを入れたところ、意外にも広がったのは燻製の香りである。

そして燻(いぶ)し感のあとに遅れてやってきたのが、マグロフレークのような魚の香り。このふたつが合わさることで第一印象からの緊張が解け、食欲がそそられ始めたのであった。


・かつお節のようなテイスト

まずはひとかけら取ってみる。サメジャーキーはもろく、ホッケの干物みたいに手で簡単にちぎることができた。

表面にはテラテラとした光がある。脂だろうか?


そのまま口に入れると……むむっ?

無味(むみ)!?!?


──3秒ほど空白の時間があった。

幸いなことに、その後は噛むごとに旨みがジワァと染み出してきた。白身魚のような淡白な印象で、胡椒のピリッと感とよく合っている。ビールのおつまみにいいかもしれない。

どこかで食べたことがあるような味なんだけど思い出せず、隣にいた夫にも試食してもらったところ「かつお節っぽい」という意見。

自宅にあったかつお節と食べ比べてみたところ、方向性としては似ているかもしれない。

ただし風味や上品さではかつお節が圧勝。噛みごたえやジャンキーさではサメに軍配が上がるかな?

正直な意見としては、400円のおつまみとしてはもの足りなさが否めない。

しかし、サメが意外と美味しいなんて実際に食べなきゃ知らなかったことだし、個人的には一生に一度食べてみてもいいんじゃない? なんて思っている次第。

製造元によると、三重県の伊勢志摩地域にはサメを食べる文化があるということ。気軽に異文化食品を試せるのはお土産の面白さのひとつだよね。

参考リンク:利八屋 サメジャーキー
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼材料はサメ、食塩、黒コショウのみと超シンプル。これでアンモニア臭がしなかったのはすごいことなんじゃないか?