ずいぶん前に、Amazonで派手なゴルフウェアを購入した。いや、韓流スターを意識した豪華衣装を買ったつもりだったのだが、届いた商品を確認して言葉を失ってしまい「ゴルフウェアとして紹介しよう」という結論に落ち着いたと言った方が正しいかもしれない。
帽子(84円)・サングラス(715円)・ポロシャツ(465円)・パンツ(28円)・スニーカー(2999円)、すべて2カ月以上前に到着。さすがにこれ以上は放置できないだろう。ってことで勇気を出して着替えてみた結果……まさかの普通。まだ秋なのに寒過ぎて震えた。
・84円の帽子と465円のポロシャツ
それでは商品を順番に紹介しよう。まずは帽子とポロシャツ。どうやら同じお店だったらしく、1つの袋でやってきたようだ。帽子から特徴を紹介すると……「光沢がありながらカジュアルな魅力で究極の定番」「オールシーズンに活躍していただけます」とのこと。
商品名は「ベースボールキャップ メンズ 和柄 人気 登山帽 軽量 レトロ サンハット 釣り 運転帽子(84円)」。もしかすると名前と実物にギャップがあるかも。なぜかと言うと、正体はキラキラしたサンバイザーなのだ。ベースボールの要素はほぼ皆無である。
ポロシャツの特徴は「上品さを適度にハズしたディテールで、アソビ過ぎていないまとまりの良さを感じさせてくれます」「運動時の可動性をトータル的に追求した、動きやすさの新基準」だという。そんな上質なポロシャツが500円以下で購入できてしまうとは……
いや、実物からは500円の雰囲気がしっかりとにじみ出ていた。生地がペラペラで安っぽいのだ。これが上品さを適度にハズして可動性をトータル的に追求した結果なのだろうか……まあでも、ゆめかわいいレインボーデザインだから着たら意外と若々しく見えるかもしれない。
・715円のサングラス
つづいて「1年中毎日着用するのに適しています」というサングラス。名前は「ヴィンテージ ロック パンクマン サングラス」である。
毎日の着用に適しているかどうかはさておき、レンズの小さな丸型サングラスは、かけるだけでアーティスティックなオーラを放ちそうだ。
・28円の真っ青なズボン
28円の「メンズメンズ ズボン 夏 ジャージ下 ポリエステル デニムパンツ ゆったり コーデュロイパンツ 53分 部屋着 春夏」はなかなかの問題児だった。商品説明には「丈夫で長持ちながら美しい光沢も備えました」と書いてある。たしかにツヤツヤな見た目と触り心地。
では何が問題なのかというと……死ぬほどスケスケなのだ。ほとんど透明と言っていい。丈夫で長持ちで光沢があっても透明はヤバい。外で履くならタイツの着用がマストとなる。ダラダラと長い商品名に “透明” という文字も入れておくべきだろう。
・2999円のスニーカー
そして最後に紹介するのが「バスケットシューズ ハイカットスニーカー ランニング フィットネスシューズ 通気性 滑り止め おしゃれ」。評価は1で、ユーザーから「謎の中国語らしき文字がちょっと……」とコメントされていた。
よく見ると「シュータン(ベロ)」と呼ばれる部分に「潮」みたいな文字が刻まれている。商品ページに吸汗性に優れていると書いてあったので「汗の塩吹きも無問題」的な単語なのかもしれない。だとしたらダサ過ぎるが、足の蒸れ対策に特化したスニーカーと言えそうだ。
・着てみた
主張の激しいアイテムたちをうまくまとめることは可能なのか。結論を先に申し上げると、サンバイザーからスニーカーまで全アイテムが派手だったので、逆にまとまったというか、全体的に “普通” な印象に仕上がってしまった。
…………
爽やかな秋風を感じるスタイルと言えるだろう。
……うむ、逆に自然というか、逆にイタくないというか、互いが互いの特徴を消し合っているため違和感はあまり感じられず。ちなみにポロシャツも透明のパンツもなめらかな肌触りで思ったよりも動きやすいぞ。このまま出かけてみることにした。
山を歩けば、ゴルフボールを探しているゴルファーに見える。だんだん統一感のあるファッションに思えてきた。つまり特徴を消し合っているのではなく、テキトーに選んだアイテムたちが共鳴し合っているように感じられるのだ。奇跡的なハーモニーが生まれた。
ついでにゴルフ練習場へ。受付の方は「突然プロが現れた」という驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべていた。あるいは「通報すべきかしら」的な困惑の表情も混じっていたかもしれない。
──というわけで、本当は大スター的豪華ファッションで街を練り歩く予定だったが、全体的に普通にまとまったというか、田舎町でゴルフ練習をするくらいの格好にしかならなかった。透明パンツ以外は機能的に問題なし。気に入った商品があればチェックしてみてほしい。
参考リンク:Amazon「サンバイザー」 / 「ポロシャツ」 / 「サングラス」 / 「透明パンツ」 / 「スニーカー」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.