「ガチャ」ことカプセルトイの魅力は、開封するまで中身がわからず、かつコレクション性が高いこと。ハンドルを回すときの緊張、狙ったものが出た瞬間の歓喜、戦利品を並べる幸福感……。

とはいえ市販のカプセルトイは、ひとつの企画でせいぜい10アイテムくらいだ。

ところがここに、カプセルトイと変わらない手頃な価格で、かつ約130種類もあるコレクターズトイを発見! しかも中身は鉱物・化石・隕石という、少年少女の心を忘れない世のトレジャーハンターたちを絶妙にくすぐるラインナップ。なんというロマン……!!


・「マッチ箱博物館」(税込429円)

その商品は「マッチ箱博物館」という。手のひらサイズの紙箱に、約130種類の鉱物・化石・隕石からひとつがランダムに封入されている。

130種もあると目的のアイテムを狙って出すのは不可能。偶然の出会いを楽しむべきだろう。

とは言いつつも、当たりと呼べそうなのは「アンモナイト」「虫入り琥珀」「サメの歯の化石」「アメジスト」「ラピスラズリ」「パイライト」などのようだ。

とくに最後のパイライトは「愚か者の黄金」とある。見た目は金と似ているけれど、まったく別の硫化鉱物だそう。そういえば剣と魔法のオープンワールドゲーム『ウィッチャー3』にも、そんな名前のクエストがあったような……。


ほかにも「水晶」「金鉱石」「アクアマリン」「電気石」「砂漠のバラ」など、ファンタジー小説やゲームが好きならテンションが爆上がりする内容物ばかり! いま話題のAmazonプライムドラマ『ロード・オブ・ザ・リング』の世界観ともぴったりマッチする。

個人的には化石が欲しい。先述のアンモナイトのほか、さんご、巻き貝、ウニやイカ、恐竜の骨などの化石が入っているらしい。ユニークなものでは「ケナガマンモスのものとされる体毛」なんてアイテムも!

さっそく開封してみよう。サイズはその名のとおり、大きめのマッチ箱くらい。ビンテージ品のようなレトロな絵柄がプリントされているが、実際はツルツルした紙質だ。

ナウシカの衣装……ならぬ「ナスカの地上絵」が描かれたひとつ目の箱。本物のマッチ箱のように、横にスライドさせて……


ちょっとドキドキしながらリーフレットをめくったなら……


乾燥させた梅干しだった。


正しくは「レッドジャスパー / 赤い碧玉(へきぎょく)」だ。「赤い彗星」みたいでかっこいいな。

不純物を含んだケイ酸塩鉱物を広く「ジャスパー」と呼ぶようで、いろいろなバリエーションがあるらしい。色や模様が違ってもジャスパーの仲間。

付属のリーフレットには「次の鉱物・化石を収集したことを証明します」とシールが貼られ、証明書を兼ねている。名称とナンバーを頼りに、公式サイトで詳細を確認することもできる。

さらにマッチ箱を裏返すと、窓を開けて標本箱のように飾れるのだ。これは集めたくなる!


次も開けてみよう。コロッセオの箱から出てきたのは……


大理石のような、あるいは消しゴムのような白いかけら。公式サイトで調べると「マグネサイト / 菱苦土石(りょうくどせき)」だそう。

建材になるのかと思いきや、マグネシウムを多く含み、なめると苦いらしい。なめないけど。

真っ白でキレイだけれど、ちょっとビジュアルが地味だな。やはりここは、宝石や化石を入手して記事としても盛り上げたい。今回購入したのは3箱なので、次で最後だ。

パッケージはアンコールワットかな。アンコールワットといえば遺跡、遺跡といえば金銀財宝だ。インディ・ジョーンズもララ・クロフトもネイサン・ドレイクも宝を求めて日夜世界を冒険している。


どうだ、どうなんだ。


…………石っ…………!?


いや、どう見ても石。その辺に落ちてるやつ。

リーフレットには「ラブラドライト」とある。正直、見たことも聞いたこともない。外観は文章化しようもないほど無個性だが、もしかしたら貴重な石かもしれないので一応調べてみると……



!!?


え、これ違うんじゃない!? 公式サイトには、筆者が手に入れたものとは似ても似つかないガラス玉のような石が載っている。まさか磨くとピカピカの宝玉になるのか? あるいは……


シールの貼付が間違っている……?


まぁ、130種もあるので誤りがあっても理解できる。幸いにも公式サイトには全種類が載っているので、正しい石を探し出そう。どれかひとつくらいは特徴が一致するものがあるだろう。

ただの石ころに見えるこの物体、よ~~~く観察すると、ツヤツヤと光を反射する角度がある。部分的に色が薄く、向こう側が白く透けて見える部分もある。基本はグレーだが、茶色っぽい色合いも確認できる。

さらに一見すると無地なのだが、積み重なった地層のように直線的なシマシマ模様があるようにも見える。野菜や果物の断面で、繊維の方向性がわかるようなイメージだ。

これらの観察結果と、公式サイトの写真を見比べて導き出される答えは……


………………


………………


………………


わからん!!!!!


そりゃ、中にはアメジストやラピスラズリといった “いかにも宝石っぽい石” もあるから、何割かは除外できる。けれど灰や茶など「なんの変哲もない石の色」も多く、また自然物にはひとつとして同じものはない。もう共通点があるかどうかさえわからない!

近いのは「グリーンゼブラジャスパー」か「ブロンザイト」と思うのだが、それともシールのとおり「磨いて磨いて磨きまくれば丸くなるラブラドライトの原石」なのか?

きっと専門に研究する人なら、見ただけで「○○だ!」と同定できるのだろう。ある人にとっては「どれも同じ」に見えるものでも、興味のある人なら段違いに解像度が高くなる。石の世界も奥が深い……。


・Amazonで購入可能

この謎を解くためには、もう一度「ラブラドライト」を出すしかない。

繰り返すが、商品全体でこのような鉱石・化石・隕石が全130種類以上! 集めるのも調べるのも楽しく、探究心をかき立てるアイテムだ。木箱などを見つけてきっちり並べたら、本当に標本箱のようになると思う。

まぁ、コンプリートするには最短でも5万5000円以上かかるのがネックだが……。なにかの記念日ごとに10箱買う、といった方法もいいかも。

発売後、販路が限られていたようでなかなか見かけなかったのだが、Amazonで誰でも購入できるようになった。歴史や鉱石が好きなら、ぜひお手にとってみてほしい。


参考リンク:マッチ箱博物館PR TIMES
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.