ディズニー&ピクサーの世界でミッキーマウスやドナルドダックやプリンセスたちと友情を育む……そんな夢がゲームになった。『ディズニー ドリームライトバレー』だ。

早期アクセス版にもかかわらず、Steamでは95%のユーザーが高評価をつけ「圧倒的に好評」にカテゴライズ(2022年9月21日現在)。

一方で海外ユーザーの「ミッキーにストーキングされた動画」をはじめ、「目が怖い」「実はホラーゲーム」といった感想も一部で見られる。いったいどういうことなのか。

なお、すでにゲームをパーフェクトだと感じているユーザーや、ミッキーマウスの大ファンであるユーザーは、そっとブラウザバックしてほしい。用意はいいかな?


・『ディズニー ドリームライトバレー』で起きているホラー

後述するが、本作は「神ゲー」になりそうなポテンシャルを秘めている。かなり楽しいし、ディズニー好き、もしくはスローライフゲーム好きなら間違いなく「買い」だ。

しかし、あくまでアーリーアクセス版。現段階ではまだバグや未完成部分が多く残っており、今後のアップデートで少しずつ完成版に近づいていくイメージだ。

筆者の環境(Nintendo Switch)でもイベントの進行不能、強制終了、特定の場所で音楽がブツブツ途切れる、視点変更カメラが動かなくなるといった不具合が散見された。ゲームそのものも重く、画面描写のタイムラグもある。

なにより話題となっているのが、主役であるミッキーマウスの挙動……というか視線だ。


「目の焦点が合っていないように見える」角度が多数! サイコな無表情に見えてしまう一方、口元は全開で笑顔なので不自然さが際立つ。ちょうどそれはピエロに抱く違和感のような……。


さらにミッキーは、少しだけ腰をひねった「ジョジョ立ち」のような姿勢がデフォルトになっている。カートゥーンではよく見る立ち姿なのだが、ものすごい雷雨にもかかわらず自宅前でポーズをつけてじーっと静止しているのを見たときには狂気を感じた。ミッキーそっくりなのに、本物のミッキーじゃないみたいな……。

少々オーバーアクションなこともあって、どこか人形っぽいというか、決められた動きを無感情に繰り返すオーディオアニマトロニクスのような印象なのだ……!

なお、ミッキー本人に関連するクエストを実行中はプレイヤーに追従するので、海外ユーザーの「執拗に追い回された」という報告は、そういったシチュエーションだったと思う。仲間キャラを連れ歩く描写はゲームではよくあるから、それ自体は珍しくない。


しかし登場の仕方は唐突だ。プレイヤーの意図しないタイミングでクエストが切り替わると、ワープしてきたかのように亜空間からミッキーが登場する。

ゲーム内の自宅で調理をしていて、ふと必要数を確認しようとクエストを切り替えたら背中にピッタリくっついていたということも! いきなりゼロ距離で背後に立たれるのは心臓に悪い。


サウンド面での違和感も少々。演出なのかバグなのか、村にBGMが入らず無音のときがある。耳に入るのは環境音だけで、これはこれで静かでいいなぁなんて思っていると、イヤホンの耳元から「タラッタ~タラララララ~!」と鼻歌が聞こえてきてギョッとしたことが一度ではない。たぶんプレイヤーの視界に入っていないフレーム外をミッキーが通ったのだと思う。


なお、このような奇異な印象を与えるのは、いまのところミッキーマウスがダントツ。これまでスクルージ・マクダックやグーフィーやレミーなどのキャラクターと出会ったが、彼らの挙動はもっとナチュラル。クエストも「終わったら話しかける」というパターンが多いので、ワープしてきたり背後に張りつかれたりという衝撃も少ない。

おそらくこの怖さは、ミッキーマウスの「黒目が小さすぎる」のが最大の原因ではないかと思う。今後修正が入る可能性もあるので、現在の姿はレアかもしれない……。


・それでも神ゲーである理由

話は戻るが、上記のような不安定さがあってもなお人気を博している『ディズニー ドリームライトバレー』。その魅力も紹介したい。

本作は2022年9月6日にNintendo Switch、PlayStation、PCなどで同時発売。価格はプラットフォームにより異なるが3000円から3600円ほど。2023年中にはアーリーアクセスが終了し、基本プレイ無料のゲームとして配信される予定となっている。

住人と交流したり、素材を揃えて料理やクラフトをしたり、アイテムを収集したり、ジャンルとしてはライフシミュレーションアドベンチャーゲームだ。釣り、農業、採掘、模様替え、自宅のアップグレードなど、システムは『どうぶつの森』シリーズによく似ている。

バンダイナムコの『ディズニー マジックキャッスル マイ・ハッピー・ライフ』にハマった人(筆者だ)なら、時間ドロボウ間違いなしの作品。

プレイヤーが飛び込むのは、不吉な「忘却」が訪れて仲間たちが離ればなれになってしまった世界。仲間たちの記憶を取り戻し、美しいドリームライトバレーを復活させることが目的となる。

ゲーム開始当初の村は、どこも廃墟のようにボロボロ。スローライフゲームにおいて「修復」「再建」「施設のアップグレード」といったキーワードは、よだれが出るほど美味しい!

図鑑を見ると716種の衣類、973種の家具、164種の料理など、収集要素のボリューム感もすごい。(画像は英語版。日本語対応あり)

ひとつひとつのデザインがディズニーモチーフになっているから、好きな作品のアイテムを入手できたときの感激もひとしお。細部までじっっっくり眺めてしまう。今後のアップデートで追加される可能性も考えると、膨大な数になるだろう。

ファッションが好きな人ならコスプレが楽しいし、インテリアが好きな人ならシリーズ家具の収集や模様替えに夢中になれる。地形をいじる要素はなさそうだが、道をひき、家や街灯や樹木まで移動が可能。村づくりができる。

序盤が終わる頃にはこの世界に魅了されているはず。トゥーンタウンのような可愛らしい家々、時刻によって移り変わる空の色、どこもかしこも魔法がかかっているかのようなキラキラした空気。

ストーリーを進めるためのクエストは「アイテムを集める」「写真を撮る」「住人との友好度を上げる」など、どれもシンプルなものだが、普段から類似ジャンルが好きならまったく問題ない。

設定も優しく、ゲーム性というよりは世界観やロールプレイを楽しむゲームだ。

近ごろ「採取した食料が時間とともにどんどん腐敗していく」「急いで家を建てないと寒さで死ぬ」といったハードなサバイバルゲームばかりプレイしていた筆者には、ホッとするような環境。

そして、やはりキャラクター! 挙動の不安定さはあるものの、動いたり、しゃべったり、プレイヤーに手を振ってくれたりするディズニーキャラクターたちは控えめにいって最高だ。

衣装やアングルを考えながらキャラクターと記念撮影をするだけで時間が溶ける。「この空間に居るだけで幸せ」という至福の体験ができるだろう。


・2023年中に正式版リリース予定

現在は早期アクセス期間のため、訪問できるスポットや出会えるキャラクターが限られている。正式版は基本プレイ無料になる予定なので、十分にバグフィックスが終わり、コンテンツが充実してからスタートするのもありだ。

もしバグや調整不足も楽しめるなら買って損はない。少なくとも筆者は、新たなキャラクターに出会うたびに感激して写真を撮りまくり、入手した家具や衣装を見ては「カワイイィィィ!」と歓声をあげている。ちょっぴりホラーなミッキーも含めて興味をもったなら、ディズニーの世界に存分に浸ってほしい。


参考リンク:『ディズニー ドリームライトバレー』公式サイト
イラスト・執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES