とんかつはソースで食べるもの。そう信じて私(佐藤)は48年間生きてきた。他の調味料で食べることなど考えられない。ところが名古屋には味噌をかける「味噌かつ」がある。恥ずかしながら私は1度も味噌かつに挑んだことがないため、どんな味がするのか見当もつかない。

そこで、名古屋発祥の味噌かつチェーン「矢場とん」に人生で初めて訪ねてみたら……。ヤバい! 矢場とん、ヤバすぎだろ!! どうやってこんな美味い食べ方を思いついたんだッ!!

・屋台から始まった

矢場とんは愛知県を中心に、東京・大阪・富山にも店舗を展開している。私が訪ねたのは、東京駅・グランルーフの店舗だ。


そもそも味噌かつはどのように誕生したのか? その答えはお店の公式ページに記されていた。それによると、味噌かつは偶然の産物だったそうだ。

戦後、屋台で客がどて煮(もつ煮込み)の鍋に串カツを漬けて食べるのを目撃した創業者・鈴木義夫。その味を商品化できないものかと試行錯誤を繰り返し、味噌かつのルーツを作り上げたのだとか。そして昭和22年、小さな屋台から矢場とんは始まっている。なるほど、そういう歴史があったんだな。


・どて煮の思い出

入店してメニューを見ると、一般的なとんかつ屋と内容は微妙に違って、やはりメインは味噌かつ。一部ソースを選べるものもあるけど、やっぱここでは味噌かつを食うべきだよねえ。


注文したのは、メニューの味噌かつ人気ランキング1位の「わらじとんかつ定食」(税込1800円)と「どて煮」の小サイズ(税込200円)だ。


どて煮を頼んだのにはワケがある。今から5年前の2017年に名古屋へ行った時、めちゃくちゃ美味いどて煮(どて串)のお店に行ったことがある。あの味が忘れられなくて、思わず注文してしまった。矢場とんのどて煮はどうかな?


もつを味噌で煮込んだものをどて煮というのだが、このどて煮は味噌がちょっと重めかな。名古屋で食べたのはもうちょっと軽かった記憶がある。とはいえ、味が濃いから酒のツマミにするにはちょうど良い濃さかもね。


・ヤバい!

さて本題の味噌かつだ。ジャジャーン! デカいッ!! 実は提供された時は味噌ダレはかかってなくて、その場でジャー! と盛大にぶっかけてくれるのである。そうとは知らなかったから、気づけばかつが味噌まみれ。無垢なかつの写真を撮り損ねた……。


ひと切れ食った瞬間に、私の脳天に雷が落ちるような衝撃が走った!


ウマいーーーッ!!



ソースかつしか知らない私の舌は、一瞬パニックに陥った。サクサク衣に濃厚な味噌ダレ。「これはデミグラスソースではないのか?」と間違えそうなところ、「ちょっと待てよ、味噌だ! この味は味噌だ!!」と軌道修正するような認識になった。

つまり味の理解が追いつかなかった。が! 結果として「これは美味いものである」という回答を導きだした。卓上のゴマをかけると、風味が増してさらに美味しさが高まる。


これが白ご飯と合わないはずがない! 乗せるでしょ、ご飯に乗せちゃうでしょ!!


コレを食べた後に「みそかつ丼定食」(税込1300円)があったことに気づいた。しまった~! ご飯に合うとわかっていれば、そっちにすりゃよかったよ~。


仕方がないので、みそかつ丼はまた次回だな。ということで、私の人生初の矢場とん体験はヤバヤバでした。「とんかつはソース」とかたくなにこだわる人は、1度試してみて欲しい。脳天に雷が落ちるぞ! 飛ぶぞ!!


・今回訪問した店舗の情報

店名 矢場とん 東京駅グランルーフ店
住所 東京都千代田区丸の内1-9-1 グランルーフ地下1階
時間 11:00~23:00(L.O.22:00)
定休日 なし(施設に準ずる)

参考リンク:矢場とん
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24