日本人があまり行かない国クロアチア。人気の観光地は海沿いに集中しており、内陸部の都市ザグレブは首都であるにも関わらず静かで物価が安めだ。遊ぶところはあまり無いけれど、の〜んびり滞在するにはオススメな街である。それはそうと……
こんな田舎で日本食が食べたくなった場合、我々は一体どうすればいいのだろう? 急に不安になった私は、Googleマップで「ラーメン屋」と検索。すると市内に1軒だけ、正真正銘の “ラーメン専門店” が存在することが明らかになったぞ。
クロアチアのラーメン……どう転ぶか分からんぜ!!!!
・超オシャレラーメン屋
ちなみに海外で「ラーメン屋」と検索すると、『中華料理屋』や『ラーメンも扱う寿司屋』がヒットする場合が多い。今回の結果は「ラーメン専門店」という条件でリサーチしたものである。
ザグレブの一等地に建つ店の名は『RAMEN BAR TORIKAYA』。日本語を目にする機会がほぼ無いザグレブ市内で、「ラーメン」とカタカナで書かれたのれんは目を引く。
「No Ramen NO LIFE(ラーメン無しでは生きられない)」というオシャレな電子看板も……外国の方がそう言ってくださること、日本人として感激の極みであります。
店内もやたらオシャレ。
棚に置かれた『サントリーウイスキー 響』のボトルがなければ、日本料理店であることすら気づかないだろう。
ふむふむ……『ギョウザ』が60クーナ(約1102円)、『ミソラーメン』が90クーナ(約1653円)か〜。ザグレブの物価を考えるとかなりの高級品だなァ。
よし。こうなったら思い切って、最も高価な『エビのテンプララーメン』(110クーナ / 約2020円)いっちゃおう! 天ぷらのラーメンとは妙だが、まぁ最近は『唐揚げラーメン』的なものも増えてきているからな。その一種だろう、きっと。
15分ほど待って運ばれてきたのがこちら。
おおお…………っ!
・ツッコミどころ多すぎ問題
想像したより豪華なラーメンであることは確かだが、思わずツッコミを入れざるをえない箇所がある。まず1つ目。
エビフライなんよ…………!!
誰がどう見ても『エビフライラーメン』だった『エビのテンプララーメン』。さらに目を引くのは堂々と中央に鎮座する “生のエノキダケ” である。調べたところ欧米ではエノキを食べる習慣があまりないのだそうで、外国の人から見れば「日本っぽい食材」なのかもしれぬ。
とはいえ、日本でもエノキを生で食べる習慣はあまり無いが……。
丼に顔を近づけると、強烈な乾物臭に思わず顔をしかめる。ニオイの正体はメンマとおぼしき茶色の千切りだ。おそらく中国あたりから輸入した缶詰なのだろうが、ラーメンに入れるには風味がキツすぎる。減点1。
しかしメンマを避けてスープをすすると……これがなかなかウマイ。甘くてダシが効いて、例えるなら『鴨南蛮そば』のツユみたいだ。色々とツッコミどころはあるものの、「そばつゆ+天ぷら」の組み合わせは日本食的に大正解と言えるだろう。フライではあるが。
肝心の麺はどうか…………おっ!? 極太ストレート乾麺がいい感じにアルデンテ。デュラムセモリナ粉のプチプチとした歯ごたえがヨーロッパの大地を感じさせる。これにケチャップを合わせたならば、きっと最高のナポリタンが完成することだろう!
ってか……
パスタなんよ…………!!!
・エビフライパスタなんよ
『エビのテンプララーメン』のはずが『エビフライスープパスタ』だったクロアチアのラーメン。しかしこのエビフライパスタがおいしくなかったのかというと、決してそんなことはない。
まずメインのエビフライがウマい。サクサク衣にミッチリ身が詰まり、エビフライとして最高クラスなのではないか。それが4本も乗っかっているのだから、2000円超えの価格も納得というものだ。
さらにダークホースのエノキがビックリするほどウマい!!! スープの温度でほのかに加熱され、絶妙なシャキシャキ食感に仕上がっている。このアイデア、誰の発案なのだろう? うまくすれば日本でも流行るかもしれないぞ。
そして……色々言っといてナンだが、麺がウマい!!!!! もちろんパスタではあるのだが、だんだん「あえてパスタ使ってるのかな?」って気がしてくるほど、悔しいけれどウマいのである。「あっぱれ」あげちゃう!
日本へ帰国したら絶対にパスタラーメンを作ろう……そう心に誓ったクロアチアの夏。あまり行く機会は多くないかもしれないが、もしザグレブへ来たら絶対に確実に『RAMEN BAR TORIKAYA』の扉を開けてみてくれ!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.