8月5日(金)〜7日(日)の日程で開催中のポケモンGOフェスト札幌。7月のベルリン、シアトルに続く、2022年GOフェス・リアルイベントの締めくくりである。当サイトからはサンジュン記者が札幌へ行き、大層楽しげにしているようだ。

私はベルリン会場へ足を運んだが、今回の札幌行きは見送る決断を下した。この3日間はツイッターを開くたび現地参戦トレーナーたちの “色違い爆獲り報告” が目につき、正直言って……辛いです。

まるで自分以外の全員が札幌へ行っているような気分になるが、考えてみれば99%以上のトレーナーは札幌行きを見送ったはず。みんな一体どんな気持ちでこの3日間を過ごしているのだろう? どれ、ちょっくら傷でも舐め合いますか……!

・フレンド10人に聞いてみた

あ、1つだけお断りしておくと「現地へ行った人がズルイ」という考えは全くありません。仕事や予算をやりくりして現地へ行った人が、そうでない我々より楽しい思いをするのは当然のこと。悔しかったら万障繰り合わせの上、現地へ行けばいいだけなのである。

しかしながら、世の中には「どう頑張っても行けない」境遇の人がいるのも確か。行った人を恨む気持ちはないが、行けない辛さが解消されるわけでもない。今回は私のフレンドの中から “札幌へ行くくらいのポテンシャル” を持ちつつも “札幌へ行けなかった” 10名に「今、どんな気持ち?」と率直な質問をぶつけてみたぞ!


中でも最も気の毒だったのはBさん(50代男性)だ。札幌行きの飛行機やホテルまで手配していたにも関わらず、直前にコロナ陽性判定を受けてしまったのである。その心中たるやいかばかりか? と、思いきや……


Bさん「 こうなってしまったのは残念ですが、ポケモンの神様の思し召しと現実を受け入れております。

この3日間は家事をこなしたり高校野球をテレビ観戦しつつ、現地へ行かれた皆さんの報告を楽しく拝見しています。次の機会があれば、今回の分を取り返したい……ってか、そんなことより隔離生活で『おさんぽおこう』が使えないのが辛いんですけど〜!」


・聖人たちの集い

“神の思し召し” と運命を受け入れたばかりか他人の報告を「楽しみ」と豪語し、あまつさえ『おさんぽおこう』に興味が移っているBさん。そのポジティブな心、まさにトレーナーの鏡である。お次のDさん、Gさん、Kさん(ともに40代男性)はどうか。


Dさん「札幌……食べ物おいしいんでしょうね、うらやましい限りです。みなさんコロナに気をつけて、楽しんできてほしい。できれば交換で何か頂けると嬉しいです」


Gさん「うらやましいのは確かなのですが、残留組の私が全く楽しめていないのかというと、意外とそうでもありません。知っている人達が楽しんでいるのを見ると、自分もそれなりに楽しくなってくるんです。以前ソロプレイをしていた頃は、この感情はなかった……とはいえ、やっぱり行けたら最高でしたけどね」


Kさん「GOフェスより大切な用事とかぶってしまったので、悔しいとかはありません。皆さんが楽しまれているようで何よりです!」


う〜む。皆さん、他人の喜びを目の当たりにすることが辛くないのだろうか? これじゃまるで、私が器の小さい奴みたいじゃないか……ちなみに当編集部の原田は仕事のためGOフェス不参加。「色違い報告を見たくないので、SNSを開かない」と器の小さいことを言っていたぞ。


・ここで不穏な空気が

と、ここで静寂を破ったのがOさん(40代女性)である。「どんなポケモンもいずれ必ず取れるから、札幌へ行く必要はない」とクールに語るOさんだが、確か以前はもっとアツい人物だったような……?


Oさん「そういう考えになったのは、サニーゴのレイドで沼った時からです。アレ以降、一歩下がって無理のない範囲でプレイすることに決めました。あの時はボックスの中身も急に変わったりして……ナイアンを信用して踊らされるのが、少し嫌になったのかも。ま、ソシャゲにのめり込みすぎるのは良くないと思っているから、これで良かったのかもね」


「サニーゴのレイド」とは色違いが初実装された今年2月のジョウトツアーのこと。多くのトレーナーが時間と金をドブに捨てたあの1日は、ポケモンGO史上に残る非業と語り伝えられている。


続いてはパチモノゲームマニアとして有名な麟閣さん。個人的に彼のポケGOに対する熱意は国内でも有数と感じているのだが、近年はお仕事と育児の関係で遠征や土日のプレイが困難らしい。同じような状況のトレーナーも多いだろう。


麟閣さん「ベルリンとシアトルは遠い国の話なので『行ける人すげぇ』なんですが、札幌や沖縄イベントは日本国内なので『俺は行けなかった』という残念な気持ちが強いですね。通勤電車内でツイッターを見るとイベントの楽しげな様子が流れてきて出勤がツラくなります。

ポケモンGOは “土日休みで18時には自由な時間が取れる人” 以外は相手にしてくれないので、土日出勤することも多く、休みでも育児優先な私は仕方がないとはわかっていても『参加できない』のがつまらないです。 課金で解決するならガンガン課金するので、遠くに行けないトレーナーのために、ほんの1時間だけでもGOフェスと同じポケモンが出てくるチケットやおこうがあればいいなと思います」


アカン…………徐々に熱意を削がれるトレーナーが続出しておる。ポケGOはどうしても “土日プレイできない人” や “地方民” が不利になりがち。そういった弱者にも光が当たるシステムを整備しなくては近い将来、大きな代償を払うことになるのかもしれぬ……。


・さらに大荒れの模様

う〜む、傷を舐め合うはずが「羨ましい」だけでは済まなくなってきた。ちなみに私(亀沢)が札幌行きを見送った理由は、今回のGOフェスで大問題となった “バオップ事件” をまだ消化できていないからだ。

今年のGOフェスは「ベルリンでバオップ、シアトルでヒヤップ、札幌でヤナップの色違いが実装される」というのが事前情報だった。例えば私は「ベルリンへ行かないとバオップの色違いがゲットできない」と思っていたからこそ、わざわざベルリンへ飛んだワケだ。

しかし蓋を開けると……実際は「ベルリンでバオップ、シアトルでバオップとヒヤップ、札幌でバオップとヒヤップとヤナップの色違いが登場。おまけにフェスに参加していないトレーナーもその全てをゲットできる可能性がある」という内容だった。平等と思われていた3会場、実は “札幌の圧倒的1人勝ち” だったのである。

恐ろしいことにその事実が判明したのは、ベルリンのイベントが終了した後。もちろんベルリンのGOフェスは楽しかったが、これが詐欺でなければ何だというのだろう? 以上の理由から、私はどうしても「札幌も行きます」という気持ちになれなかったのである。


この件で私以上にブチギレているのがMさん(30代男性)だ。彼もまた万象繰り合わせの上ベルリンへ遠征したクチ。普段は温厚な彼がこれほど荒ぶっている現実、ぜひ我が身に置き換えてお考えいただきたく思う。


Mさん「今は正直、怒りしか湧きません。『ナイアン馬鹿じゃないの?』って気持ちです。今回のバオップ・ヒヤップ・ヤナップの条件が事前に告知されていたとして、果たしてベルリンへ行く人がどれくらいいたのか? と訊きたい。

私たち日本人はまだいいですよ、頑張れば札幌へ行けるんだから。でも外国の人は取り返しがつかないですよね? せっかくベルリンへ来てくれたヨーロッパのトレーナーを馬鹿にしすぎではないですか。このままだとポケモンGOは日本とアメリカでしか発展しない。ヨーロッパを実験台にするはやめるべきです」


・届け、この想い

ベルリンで現地のトレーナーに話を聞いたところ、日本やアメリカと比較してヨーロッパのポケGO人口は圧倒的に少ないのだそうだ。そんな中でポケGOを好きになってくれた彼らがバオップ事件を知った時、一体どんな気持ちになっただろう? 胸が痛すぎて想像したくない。

なお現在、外国人観光客の日本入国は基本的に不可。GOフェスは本当に楽しいイベントだが、ここへきてトレーナー間の格差が広がってきているのも事実だ。どんな境遇の人にも楽しめるチャンスが巡ってくる仕組みを、運営サイドは模索していくべきではないだろうか。


さて、最後は死ぬほど札幌へ行きたがっていたRさん(40代男性)だ。仕事の関係で泣く泣く断念していた彼。なかなか返事が返ってこないが、よほど落ち込んでいるのだろうか? すると……


Rさん「実は……仕事のストレスが爆発しまして、日帰りで来ちゃいました☆ 札幌最高!


行った人・行かなかった人・行けなかった人……様々な想いが交差した札幌GOフェスも今日が最終日。いつの日か他人の色違い報告を素直に喜べる日が来るのだろうか? ポケモンGOという名のイバラ道を、我々は明日も歩んでいかなければならない。そこにレアポケモンがいる限り……。

執筆:亀沢郁奈
Photo:c2022 Niantic, Inc. c2022 Pokemon. c1995-2022 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc. / RocketNews24.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)