長く続いた入国規制が緩和されたのを受け、3年ぶりにタイを訪れてみた私。西洋やインド人を中心に観光客の姿が見られるものの、やはり “かつての賑わい” とは程遠いのが現状だ。無くなってしまったお店も多くあり、つい「コロナがなければ」と言ってみたくもなる。
そんな閑散としたタイの街を歩いていると、マッサージ屋の店先で『ドクターフィッシュ』の水槽を発見。かつてブームとなった頃はそこらじゅうで見かけたが、そういえば最近ずいぶん少なくなった。観光客が来ない2年間、ドクターフィッシュたちは元気だったのだろうか?
おや…………!?
・デカくね?
ご存知ない方のために説明しておくと、ドクターフィッシュとは「人間の古い角質を食べてくれる」とされる魚のこと。その美容効果が注目され、日本でも観光地や温泉施設などに広く普及した。私も何度かやったことがあるけど、コチョコチョくすぐったいんだよね〜!
しかしながら、この店のドクターフィッシュは……
なんか……デカくないか?
私は店のオバチャンに30分ぶんの料金100バーツ(約374円)を支払い、水槽へ足を投入してみることにした。ワラワラと我が足へ群がってくるドクターフィッシュたち。
ホラ……やっぱデカくない? デカいよね!? 私の足サイズは女子にしちゃデカめな26cmであるため、フィッシュのデカさが伝わりづらくて歯がゆいのだが……計測したところ、軽く体長10cmを超える個体が多数。
そもそも店頭に貼られた見本と比較すると、サイズの違いは明白である。以前、日本のスーパー銭湯で体験したドクターフィッシュは “大きめのメダカ” 程度のサイズだったが、今回のは “小さめのシシャモ” くらいある。何がどうなっとんねん……。
・仮説を立ててみた
中でも今回ひときわ存在感を放っていたのが、主(ぬし)っぽい風格の “金色の個体” だ。
こいつ、そう簡単にパクついてはこないのだが……
しゃぶりついたが最後、ものすごい吸引力とアゴの力で角質をこそげ取っていくッ!!! もはや「パクパク」なんて可愛らしいもんじゃない……これは「ガリガリムシャムシャ」だ。むしろ角質というより皮膚食ってない? と不安になるレベル。
魚たちが巨大化している件について、私はひとつの仮説を立ててみた。観光客がほぼいなくなったコロナ禍のタイで、魚たちは栄養のあるエサをもらい悠々自適な生活を送っていたのではないか? 客が来ないってことは水が汚れない。恐らく健康レベルも上がっただろう。
スクスクと成長した魚たち……そこへきて先日の入国制限緩和だ。観光客の到来を期待し、あるいは店の人はエサの量を減らしたかもしれない。この尋常じゃないパクつき方は腹が減っている証拠……つまり現在、世界各地のドクターフィッシュたちの “食いつき力” は過去最大レベルに達している可能性があるってこと!
・今こそチャンス
お店の方に尋ねてみたところ、やはり「コロナ禍の間は魚たちにエサを与えていた」との証言を得ることができた。「魚たちにとってコロナ禍は安らぎの時間だったのかも」と思うと少し切ない。しかしタイの観光産業ため、魚たちには頑張ってもらわねばならぬ。
巨大化したドクターフィッシュたちが一斉に足に喰らいついてくる感覚は、かつて経験したことのない刺激的なものだ。30分間たっぷりガリガリされた私の足はツルツルのピッカピカ! 心なしか肩こりも治った気がするような!?
ってことで、夏休みの旅行を計画されている皆さん! ドクターフィッシュをやるには今が絶好のチャンスであります!! 世界の観光地の景気回復・経済活性化のため、みんなでやろうドクターフィッシュ! 現場からは以上です!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.