2022年3月23日から、マクドナルドにて新作「桜もちパイ」が登場した。お値段は150円。ちょうど桜も満開だし、ビジュアルもウマそうだったので食べたくなってしまった。
ということでマックに行くと、その日の分は売り切れていた。明日には補充されるという。マジかよ……。でもまあ、マックのパイっていつも人気だしな。月見パイの時もヤバかったと記憶している。こればかりは仕方がない。
しかし気分は完全にパイ。何でもいいからパイ食いてぇなぁ。そう思いつつ隣のケンタッキーを見ると、そちらでは「いちごチョコパイ」が販売中だった。お値段230円。これは……
・両者のパイ
そもそもケンタでパイが売られていることを把握していなかった筆者。ケンタに行く時は、完全に脳をチキンに乗っ取られた状態にある。チキン以外のものを認知する能力は失われているのだ。是非も無し。
それにケンタには悪いが、パイ自体がそこまで注目されていないというのもあると思う。マックのパイはSNSでも話題になっていたりするが、KFCはどうだ?
例えばこの記事を書いている2022年3月30日の時点だと、マックはパイのツイートをトップに固定。そしてケンタも4月6日から定番化するチョコパイのツイートをしたばかり。
マックのパイはツイートから半月近く経過しているというのもあると思うが、約9000RTに、25.4Kの「いいね」を獲得。対するKFCはツイートから1日だが、642回のRTに、3829「いいね」。
KFCのもジワジワと伸びていくとは思うが、こういうのは初動が大事。恐らく半月後でも、現時点でのマックほど伸びることは無い気がする。
話題性や注目度でも、やはりマックのパイがぶっちぎっているのだと思う。そこで気になったのだ。両者のパイには、それほどまでに差があるのだろうか……と。
・パッケージの比較
ということで、比べてみることに。今回、味については全く違うので、そこは見ないことにする。それよりも外装や生地など、味が変わっても同じままと思しき部分の仕様を比べていきたい。
まずはパッケージから見ていこう。まずは、お馴染みマックのパイからだ。ピンクと緑で桜もちをイメージした仕上がり。キャッチーで良いと思う。
底面には、熱いので火傷に注意すること及び、餅をのどに詰まらせないよう呼びかける記述がなされている。「ホットアップルパイ」は火傷についての注意のみなので、餅についての記述は「桜もちパイ」に固有のものだと思う。
続いてはケンタ。いつもの赤と白でプリントされた、紙の封筒的なものに入っている。非常にシンプルだ。
裏には早く食べることと、加熱しすぎないよう諭す文面。
なるほど。外装は味に影響しない。が、なんとなく「こういうところなんだろうな」と思ってしまった。個人的には外装などどんなものでも気にしない。
だが、マックのこの凝った包装は、イメージ戦略的に無視できない効果がありそうに思える。誰が見ても一瞬で「マックのパイだ」とわかる仕上がりだ。
これを持って歩いている人がいるだけで、マックのパイの歩く広告になる。KFCのは地味で、パッと見ても中身が何なのかわからない。マックの戦略は強いと思う。
・中身の比較
それでは中身を見ていこう。まずはマック。表面はいかにも硬そうな質感で、デコボコしている。
半分にしてみると、生地の薄さが興味深い。「桜もち」ということで、餡子と餅が入っているのがわかる。
続いてケンタ。なんとなく硬そうな感じがするが、スベスベした表面はマックと対照的だ。3か所に切れ込みが入っている。
半分にしてみると、生地がわりと厚いことが発覚。厚さはあるが、しかし空洞が多め。パイと聞いてイメージする生地に忠実。
両方の断面を並べてみると、サイズは似たようなものだが、両者が驚くほど違うのがわかる。
食べてみても、生地の仕様の違いは明らかだ。ケンタは表面がツルツルで固めだが、中はサクフワ感があり、「パイだなぁ」という感じがマックより強いと思う。
対してマックは、薄いことは薄いのだが、そのおかげもあってか具材の質感や味がわかりやすい気がする。中に詰めた具で勝負している感。
アップルパイやで! と売りだしたものは何よりもリンゴの味が最初に来るし、桜もちやで! と売り出したものは、何よりも先に桜もちの味が来るのでわかりやすい。
どちらが優れているのか……となると、そのジャッジは難しい。同じ仕様のまま、中に詰める具材を短いスパンで変えていくというスタイルなら、具材を優先的に味わわせるかのようなマックのパイの造りはアリだ。
しかしパイである以上、ケンタの厚みと空洞をしっかりと有する生地による「パイ感」もまた、アリだと思う。両者完全に方向性が異なっている。
・ケンタのパイ
これは難しい戦いだ。確かにマックは150円という価格で、ケンタよりも手を出しやすい。ポップなデザインで、一目でそれとわかるパッケージによる宣伝効果など、その辺の巧みさはマックが圧倒的。
むしろマックのパイが持つ最大の強みは、パイ本体のウマさ以上に、デザインなどを含めた宣伝力にあるのではないかという気すらしてくるくらい力が入っていると思う。
しかしパイ本体のみを比較した場合、1つ間違いないと思うことがある。それは、ケンタのパイはもっと話題になって良いということ。値段に80円という差があるところは少しマイナスだが、生地のパイらしさはダンチ。
そこに惹かれる人は一定数いることだろう。方向性は別物だが、パイそのもののクオリティはマックに全く負けていない。
参考リンク:Twitter @KFC_jp、@McDonaldsJapan
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼念のために買ったアップルパイも、桜もちとほぼ同じ仕様だった。