今、日本で最もアツい料理本といえば、間違いなくこれだろう。泣く子も黙るヒップホップ界のレジェンド、スヌープ・ドッグ(以下、ボス)による料理本「From Crook To Cook」だ。

本自体は本国にて2018年に出版されていたが、日本語版は終ぞ出そうになかった……のだが、2022年2月1日に晶文社が公式Twitterにて、どう見ても本書の日本語版な写真が載った意味深なツイートを投稿。

翌2月2日に日本語版の予約ページのURLをツイートし、3月1日に販売されることが明らかになった。

・スヌープ

英語版のタイトルは上に記した通り「From Crook To Cook」。これを筆者のセンスで直訳するなら「罪人からコックへ」というところだろうか。ヒュー、さすがはボス! タイトルからバチバチにキてるぜ!


ステイツならこの攻めたタイトルでも余裕でイケるのだろうが、ここは日本。特にボスに関する特定の側面についてはマジでアウト。どれくらいアウトかというと、人としてアウトぎみなおっさん多数なロケットニュース24ですらも、編集長からNGが出るレベル。


ということで、ボスの何がどうヤバく、なぜ原題が「From Crook To Cook」なのかについては、各自ググってくれ(まあ、みんな知ってるとは思うけど)。

そんなボスの料理本だが、日本語版のタイトルは「スヌープ・ドッグのお料理教室 ボス・ドッグのキッチンから60のプラチナ極上レシピ」というもの。超健全な雰囲気が出ている。


・ヤバいのか?

しかし、気になりすぎて3月1日まで待てない!! ということで、紀伊国屋で洋書版を取り寄せてもらった。お値段は税込み2997円。この他に送料が605円かかって、合計で3602円だった。日本語版は定価3410円なので、同じくらいだ。

それでは中身を見ていこうと思う。だが、大丈夫だろうか? だってボスの料理本だぞ? ステイツではありがちな、隠し味のベジタブル的なものがキいてるマフィンのレシピとか、そういうのが満載だったりしないだろうか? 期待と不安と共に、一通り目を通してみたところ……


_人人人人人人人人人_
> マジでクリーン <
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スヌーピーの絵本なみにセーフなレシピしか載ってねぇ!! さすがボスだぜ!!! しかも、どのレシピも非常にわかりやすく、かつマジで作れそうなものが並んでいる。


・作ってみた

どれくらい作れそうかというと、あまりに料理から遠ざかりすぎて自宅に冷蔵庫も電子レンジも無く、果てはコンロやシンクを本棚にしてしまったほど料理をしない筆者でも作れそうなレベル。最後にカップ麺以上の料理をしたのは……もう覚えていない。とりあえず何年も前だ。

と書いてもにわかには信じがたいだろうから、実際に作ってみることに。数多のレシピの中から選んだのは「Spaghetti de la Hood」だ。まあ、端的に言えばトマトとミートボールのパスタである。


これだけでは寂しいので、カクテルのレシピ(酒やスイーツのレシピも載っている)から「So Clean Me Dirty Martini」も作ることに。これ等が日本語でどう訳されるのか楽しみだ。


作るにあたり、自宅には機能するキッチンが無いため、編集部の片隅で料理することに。なお、編集部にはガスが通っていないので、携帯コンロでやるしかない。あとは、よくあるフライパンと鍋、そして包丁が全ての装備。

必要な材料は編集部近くにある、コンビニサイズなスーパーでゲットできたもののみ。実際にはサーロインのひき肉だとか、生のガーリックだとかが必要だったのだが、新宿2丁目の雑居ビル近辺では入手できなかったため、色々と代用品に変更されている点はご容赦を。


・調理開始

詳しいレシピは実際に3月1日に出る日本語版をゲットするなり、あるいは英語版を取り寄せるなりして読んでくれ! 簡単にプロセスだけお伝えするなら、まずは色々とボウルにブチ込んで……


ミートボールを作り……


パスタをゆでて……


完成だ! 料理のスキルがスラム街の治安並みに終わってる筆者でも余裕だったぜ。というか、ミートボールって簡単に自作できるものなんだな。初めて知ったわ


食ってみると、自分で作ったのが信じがたいほどマジで美味い! 特に、ミートボールの中に入れる「あるもの」が、マジでテクニカルだ。食べてみて、「そうなるのかぁ……!」と感動した。


ご自宅でお子さんにハンバーグを作ってあげる場合などにも、このアイディアは流用できるだろう。オフィス周辺では牛肉100%なミンチの入手ができず、使用したのは牛と豚が混ざったひき肉だった。

自画自賛的なのが微妙だが、それでもレストランで食べるプロが作るミートボール並みに美味かったと思う。もしレシピ通りの素材を揃えることができていたら、きっと5割増しくらいでもっと美味かったに違いない。

そして、マティーニも安定してウマかった。

ボスは特にジンにこだわりがあるようで、推奨の銘柄が指定されていた。そこについては問題なく揃えられたのだが、残念ながら指定された仕様のオリーブは入手できず


ノーマルなオリーブで代用せざるを得なかったが、それでも美味かった。酒へのこだわりから、なんとなくボスの嗜好がわかって興味深い。ちなみにどんな仕様のオリーブかは……実際に本をゲットしてみてくれ!

その他の材料についても、単に当サイトのオフィス近辺で売っていなかった(雑居ビル街ゆえか、そもそもデカいスーパーが無かった)だけで、まともな生鮮食品売り場のあるスーパーでは普通に売られているものが大半だ

今回挑戦したレシピに限らず、本書に掲載されているほとんどのレシピの再現で工夫が必要なポイントがあるとすれば、日本ではステイツほど大きなオーブンが一般的ではないという点くらいだと思う。

それについてもオーブン機能付きの電子レンジだとか、魚焼きグリルだとかを代用することでなんとかなるのではなかろうか。ということで、スヌープ・ドッグの料理本、マジで使えるし、作れるし、そして美味いぞ! さすがボスだぜ!!

参考リンク:Twitter @shobunsha
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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