前回記事で、およそ2400万円の最高級キャンピングカーをご紹介した。豪華な内装、温水シャワー、家庭用のようなキッチンと素晴らしい車だったが、いくらオススメしようとも多くの方はこう思われたに違いない。

「買えるわけないだろ」と────。

今回は真逆のコンセプト、もっともリーズナブルでお買い得なキャンピングカーを探してみたい!


・リーズナブルな車を探す!

今回の選定基準としては法律上のキャンピングカー(8ナンバー登録)かどうかは置いておいて、少なくともベッド、キッチン、サブバッテリーを備えた車にしよう。

なので簡易ベッドキットを搭載しただけのような、いわゆる「車中泊仕様車」は除く。

リーズナブルな車、となればやはりスズキ エブリイやダイハツ ハイゼットなどをベースにした軽キャンパー(軽自動車ベースのキャンピングカー)が有利。カタログ掲載価格では100万円台からあったりする。

ところが、キャンピングカーは「オプション品をつけて完成させていく」のが基本。必要なものを数え上げていくうちに最終的には100万円以上プラスされることもよくある。「○○万円から」という言葉は文字通りスタート価格なので当てにならない。

とりわけ展示車は見栄えがするよう、たくさんのオプション品を装備した「最良の状態」になっているから、ざっと見たところ額面300万円が最低ライン。カタログで見るのと違って「結構するなぁ……」という印象。


そんななかで、これはどうだー!


価格、デザイン、装備品のバランスがもっともいいと筆者が思った1台は「岡モータース」の「ミニチュアクルーズ オリーブカラーパッケージ」だ!

同社のフラッグシップ「ミニチュアクルーズ」は、グッドデザイン賞を受賞するなど高く評価されている人気シリーズ。

フルフラットになるベッドは就寝定員2名。オリーブ色のマットは高級感があっておしゃれ!

ただし筆者の経験上、軽キャンパーはシングルユースで考えた方がいいと思う。横になると身体がぴったり密着するようなイメージで、ラブラブな恋人同士ならまだしも大人2人はちょっと厳しい。

車両後部、両サイドの家具に橋を架けるようにテーブルがある。1枚のテーブルに見えるけれど、実は3つのテーブルが組み合わさっている。カップホルダーのある中央テーブルは、見本のように橋にもできるし、脚を出して車外でも使える2WAY。

両サイドのテーブルは「跳ね上げ式」で、普段は収納部を隠す壁になっている。必要なときだけ出てくる仕組み。

狭い車内ではこの「兼用」や「汎用」の考えってすごく大事! よく考えられているなぁ。

家具も非常~にスリムなのがわかる。家具がたくさんあると「いかにもキャンピングカー」という感じがしてかっこいいが、車幅の狭い軽自動車では就寝スペースを確保することが最優先。むやみに家具を置くべきでない。

それでいて、しっかりシンクを確保。給排水10リットルだ。


壁収納も、狭い空間をよく利用している。余計なものを削ぎ落としたシンプルなデザインの一方、タオルハンガーやスポットライトなど細かく気配りされた造作が素晴らしい。

大きめの収納は天井近くに避難。キャンプ道具や着替えなどかさばる荷物には、ベッド下に収納庫がある。

サブバッテリーは85Ah。大容量とはいえないが、車内照明やガジェットの充電くらいなら十分だろう。もし冷蔵庫や電子レンジなどの家電を使いたいということなら、この電装設備ではちょっと心許ないので、「ミニチュアクルーズSV」などの上位モデルがある。

車内で大人1人~2人が寝ること、そして寝る前のひとときスマホを充電したり読書したりお茶したりといった目的に特化した、シンプルなキャンピングカー、そのお値段は……


およそ275万円! 300万円を切っているー!!!


前回ご紹介した車が2400万円だからおよそ10分の1……は大げさだが、天と地ほどの違いである。

もしオリーブカラーが甘すぎると思うなら、通常版のシックなミニチュアクルーズもあるぞ。どちらにしてもこの価格でこの高級感はすごい。他社と見比べても、デザインのよさには「おっ」と思うはず。

その他、300万円以下で乗り出せそうな車としては、東和モータース販売「クライン108」シリーズや、オートワン「給電くん」シリーズ(オプションによる)もいいかもしれない。

こういった軽キャンパーのいいところは、通勤や通学などの普段使いもできるところ。税金や保険料のメリットに加え、車両サイズで運賃が決まるフェリーなどの利用も有利だ。「キャンピングカーをもつ」ということが、グッと身近になるのではないかと思う。

今年のジャパンキャンピングカーショーは終了したが、これから全国各地で大小の展示商談会がたくさん行われる。もし興味を抱いたら、ぜひお近くのイベントへどうぞ!


参考リンク:ジャパンキャンピングカーショー株式会社岡モータース
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.