みなさんは映画「スパイダーマン:ホームカミング」で声優デビューを果たし、第2作「ファー・フロム・ホーム」に出演。さらには最新作『ノー・ウェイ・ホーム』でも2役を務めた、ほぼ主役級の大物声優をご存知だろうか? 何を隠そう、私、P.K.サンジュンである。えっへん!

セリフの総量が全部足しても10秒に満たないことはさておき、下積みの無さを考えたら私ほどのエリート声優は世界中を探してもそう多くないハズ。今回は日本きってのエリート声優、P.K.サンジュンさんの収録現場を、ロケニュー読者のみなさんだけにご報告しよう。えっへん!!

・輝かしい声優キャリア

P.K.サンジュンさんが「スパイダーマン:ホームカミング」で声優デビューを果たしたのは2017年のこと。役どころは「ピーターが学校帰りに寄るサンドイッチ屋の外に座っている白い服の男」で、セリフは「よう」の一言であった。

その「よう」のOKが出るまでに費やした時間はおよそ1時間半、なんだかんだ20回以上はNGを出しただろうか? だがその甲斐あってか「よう」は “魂のよう” とも称され、一部映画関係者から高い評価を受けた……と私の左脳が言っている。

第2作「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」では「イタリアの花売り役」を務めたP.K.サンジュンさん。「シニョリーナ。シニョリーナ、ドイツ人? アメリカ人? お花どう?」という難しいセリフをそつなくこなし、またもや声優としてのキャリアアップに成功した……らしい。

・主役を超えた2役を担当

で、2021年1月7日公開のシリーズ最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』である。またしても日本語吹き替え版の声優に抜擢されたP.K.サンジュンさんは、本作で2役を担当! これはある意味で “主役越え” と言ってもいいのではないだろうか?

1つめの役は「スパイダーマンの正体を知ってザワつく群衆の中の男」でセリフは「おい、あいつじゃないか?」である。映画開始1~2分で登場するセリフのため、要するに “掴み” を任されたというワケだ。

言うまでもなく、映画で掴みは非常に重要な要素である。プロ野球の日本シリーズでもエースは初日に登板し、柔道の団体戦では先鋒に実力者を置くのがセオリーだ。最新作で掴みを任された私は「日本語吹き替え版スパイダーマンのエース」と言っても大げさではあるまい。

2役目はピーターたちが登校する際に登場する「熱狂する眼鏡デブのガヤ」で、セリフは「MJとキスして!」だ。映画において「キスシーン」は物語のピークであることも少なくないが、そのキスシーンをセリフでストレートに表現してしまうとは、なんと大胆なモブキャラなのだろうか?

映画本編に出てくる彼(眼鏡デブ)が、将来的にハリウッド俳優たちの仲間入りを果たす可能性もゼロではないハズ。その吹き替えを担当した私も、いずれは山寺宏一さんらと肩を並べ日本を代表する声優になる……のかもしれない。

その眼鏡デブのセリフ「MJとキスして!」では、声優の師匠でありピーターの親友のネッド役「吉田ウーロン太」さんと念願の掛け合いを果たした。さすがにサンジュンさんも3作目ともなれば余裕しゃくしゃくで、さほど緊張もせずに収録は終わった。


……というのは、大ウソである。


・吐くほどの緊張感

確かに収録時間は1時間ほどで、NGもそれぞれ片手で数えられるほどであったが、それでも毎回声優チャレンジは吐くほど緊張する。今回も私の膝の震えでスタジオが軽く揺れるくらい緊張した。実際には揺れてないけど。

なにせ、ウーロン太さんや監督さんを始めとするスタッフの方たち全員がプロフェッショナルである。3流ライターの企画に貴重な時間を割いていただくという事実だけで、死ぬほど気が引けるというものだ。……って、誰が3流じゃ! 2流くらいあるわ!!

・感謝 & 感謝

それはどうでもイイとして、声優など1度も経験がない私に貴重な時間を割いてくれただけでなく、根気よく丁寧に指導をして下さったウーロン太さんや監督さん、そしてスタッフのみなさんには感謝の気持ちしかない。もちろん、企画してくれた関係者のみなさんにもである。本当にありがとうございました。

ご承知の通り、声優としては “稚拙 of 稚拙” な私であるが、ただ1つだけ言えることは「真剣にフルパワーでやった」ということ。逆に言うとそれくらいしか出来ない。ぜひ劇場で渾身の「おい、あいつじゃないか?」と「MJとキスして!」に耳を澄ませていただきたい。

また大変ありがたいことに、日本語吹き替え版では今回も「P.K.サンジュン」の名がクレジットされている。これは本当に宝。まだ5歳の娘は理解していないが、一生自慢し続ける所存だ。いつか娘が誇らしい気持ちになってくれるといいなぁ。

というわけで、爆発的大ヒット間違いなしの映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、2022年1月7日公開だ。日本語吹き替え版の「おい、あいつじゃないか?」と「MJとキスして!」にもぜひぜひご注目いただきたい。エンドクレジットもね!

参考リンク:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:©2021 CTMG. © & ™ 2021 MARVEL. All Rights Reserved. / RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼監督、何度も何度もありがとうございました!

▼予告編はこちら。

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]