福袋と言えば「何が出てくるかわからないワクワク感」が醍醐味であるが、一方で前もって中身がわかっているタイプの福袋も人気が高い。それだけ失敗したくない人が多いということだろう。かく言う筆者もその気質である。

「後者を選ぶくらいなら普通に商品を買えばいいのでは」と思われるかもしれないが、違うのだ。たいてい普通に買うよりも安く済むし、失敗したくはないが「福袋という非日常」も欲しているのだ。後者を選ぶ者は皆、安定志向の皮を被った餓狼(がろう)なのだ。

今回、そんな餓狼に最適な福袋を入手したのでご紹介したい。その名も「成城石井バイヤー厳選食品 7点セット」である。

・福袋の中身

この福袋には、名前の通り高品質スーパー成城石井のバイヤーがセレクトした食品が7点入っている。オンラインショップにて1000セット限定、税込3000円で販売されていた。以下に中身を羅列しておく。


・なんでもいけるゴマドレッシング
・麻婆豆腐の素
・骨付き肉を煮込んだ旨みたっぷりバターチキンカレー
・おうちでホッとカレールー 【中辛】
・鰹と昆布の旨だしそばつゆ (ストレート)
・5種豆と有機キヌアのごろごろミネストローネ
・北海道産小麦のホットケーキミックス


これらの食品は、本来なら3779円相当とのこと。とびきりお得とは言い辛いかもしれないが、「成城石井のバイヤー」というこの世で最も特別感と安定感を併せ持った存在が選んだ食品となれば、失敗を危惧する余地などなく、期待しか持てない。少し個別に商品を見ていこう。

まずは「なんでもいけるゴマドレッシング」である。「なんでもいける」と臆面もなく豪語する不遜さの裏に、しかし確かな自信が窺える。加えて公式HPには「甘すぎず、上品なゴマの香りをどこまでもご堪能いただける」と書いてあり、なんでもいける公算は極めて高い。

次は「麻婆豆腐の素」だ。四川風とのことで、山椒の香りや豆板醤の辛さ、香味野菜の風味豊かさが特徴らしい。これもとても美味しそうだ。今のところ順調である。

続いて「骨付き肉を煮込んだ旨みたっぷりバターチキンカレー」。辛い物が連続している。とはいえこちらはカレーであるし、丸鶏から炊き出したチキンブイヨンと、熟成されたチーズの旨味が織りなす味わいが絶品であることは想像に難くない。

何よりバイヤーが選んだ品なのだから、と思ったところで「おうちでホッとカレールー 【中辛】」を見て疑念が芽生えだす。3連続である。バイヤーは辛い物が好きなのか。よもや福袋に私情を挟んではいまいか。

化学調味料・動物由来原料は使用されていない商品だそうで、その配慮は嬉しいがバイヤーとの距離が少し離れていくのを感じる。一体どうなってしまうのか。

と、不安が募りだしたタイミングで絶妙に放り込まれる「そばつゆ」である。緩急がすごい。完全にバイヤーの手のひらの上である。辛い物をさんざん味わったあと、焼津産かつおぶしと稚内産利尻昆布のだしのきいたそばをすする幸福が、すでに楽しみで仕方ない。

そこへさらに趣向を変えて、「5種豆と有機キヌアのごろごろミネストローネ」がたたみかけてくる。キヌアは雑穀の一種で栄養価が高い。具材たっぷりで食べ応えもありそうだ。もはや年末年始の食事に困ることはないだろう。

そうして心が緩んだ隙に、「お忘れですよ」とばかりに差し出される「北海道産小麦のホットケーキミックス」。確かに締めのデザートを忘れてはいけない。素材本来の甘みとコクを味わいながら、落ち着いた時間を過ごさせてもらうとしよう。


・信ずるは成城石井

というわけで、なんだかんだ最後には軟着陸した「成城石井の福袋」は、どの品を取っても楽しみと盤石さに満ちていた。期待にたがわぬ特別感と安定感。欲張りな人間の想いに応えてくれる仕事ぶりには舌を巻くほかないし、餓狼としては服従のポーズを取る以外にない。

最高の年末年始を迎えるにあたって、バイヤーセレクトはまさしく一役「買って」くれたというわけである。2022年も順調に滑り出せそうだ。

参考リンク:成城石井 公式HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.