
家のお風呂に入れる入浴剤の中でも、“温泉のやつ” が大好きだ。さらに好みを言えば、“にごり湯” のやつなんて最高!
たとえばそれが別府だったら、「これが別府の温泉かぁ……」なんて遠くの地へ思いを馳せながら入浴するのであるが、別府は別府でも、いろんな温泉があると思う。はたして、“どこの別府の温泉” をモデルにしているのであろうか?
ふと気になり、可能な限りの温泉入浴剤を入手して調べまくったり、さまざまなメーカーに問い合わせたりしてみたところ……衝撃事実が次々と発覚! 情報共有しておきたい。
・狂気の徹底調査
今回調べてみたのは、Amazonや楽天、Yahooショッピングで売られている、いわゆる“温泉系” の入浴剤だ。誰もが知っている大手メーカーから、あまり聞いたことのないメーカーまで、以下のように場所と温泉を分類してみた。
その結果、わかったことが山ほどあった。たとえば、今回入手した温泉入浴剤の中で人気の温泉地はどこかというと……
【温泉地別ランキング】
1位:別府(大分) 12商品
2位:草津(群馬) 8商品
2位:有馬(兵庫) 8商品
3位:登別(北海道) 7商品
5位:箱根(神奈川) 6商品
5位:道後(愛媛) 6商品
てな感じに。そして6位以下は、那須塩原(栃木)、由布院(大分)が各5商品ずつ……と続く。となると、当然、県別ランキングも……
【県別ランキング】
1位:大分県 18商品
2位:群馬県 13商品
3位:北海道 11商品
4位:兵庫県 9商品
5位:神奈川県 8商品
5位:栃木県 8商品
5位:長野県 8商品
まあそうなるよな。では、温泉系の入浴剤にリキを入れまくっているメーカーはどこなのかというと……
【メーカー別ランキング】
1位:白元アース 48種類
2位:五洲薬品 29種類
3位:バスクリン 25種類
4位:クラシエ 13種類
5位:アース製薬 12種類
と、「いい湯旅立ち」シリーズの白元アース、「名湯百景&湧湯めぐり」シリーズの五洲薬品、「日本の名湯」シリーズのバスクリンが3強となった。ちなみに版画のパッケージが印象的な「旅の宿」シリーズは4位クラシエの商品だ。
・次々と発覚する衝撃事実!
さて、ここまでまとめて気づいたことがいくつかある。ある意味では衝撃的な発見であり、もしかしたらこの事実に気づいているのはメーカーの人たちだけかもしれないが、あえて今、発表したい。その衝撃的な事実とは……!!
・アース製薬は少しニッチな温泉地を選んでいる。どういうわけだか、やたらと長野を攻めているのが特徴。
・それに対してバスクリンは東北に強い。
・バスクリンは同じ地名(温泉名)でも、透明湯と濁り湯の製品をそれぞれ作っている。
──以上である。長野攻めに東北攻め。これらは開発者の好みなのか、それとも……!? ま、それはさておき、そろそろ最も衝撃的すぎる事実をお伝えしたいと思う。
この記事の冒頭で疑問に思った「具体的にモデルとなる源泉や土地はどこなのか?」という素朴な疑問を各メーカーにぶつけたところ、ななな、なんと、ほとんどの有名メーカーが、
「具体的にモデルとなる源泉地、土地などはございません」
「本品は温泉のお湯を再現したものではありません」
「具体的なモデルのないイメージ優先の商品でございます」
と回答したのである。
もちろん、具体的なモデルはないにしても、“全国各地の温泉の泉質を研究し、温泉に含まれる成分(温泉ミネラル、温泉含有保湿成分)を配合” していたり、“温泉分析表のイオン比率に基づいた商品設計” がされていたり、化学的なアプローチで本物に近づけさせようとしているメーカーも多々あった。
だが、「温泉成分以外にもモデルの泉質を模倣した点はあるか?」「オリジナルの温泉にはない色や香り付けをしたのはなぜか?」という問いに対しては、
「社内アンケートをとって選出し商品化した」
「開発者が現地に行って温泉地の情緒や風情を五感で “体感” し、色と香りで再現した」
「実際にお湯に浸かり、景色や雰囲気も味わいながら開発を進めた」
──など、つまるところ大雑把に言えば「なんとなくこんな感じ」で作っていることが判明したのである。そ、そんなファジーな感じだったのか……!!
しかしながら、ほとんどの有名メーカーが言うのは「自宅にいながら “温泉気分” を味わえる入浴剤である」ということ。版画のイラストが印象的な「旅の宿」シリーズを有するクラシエさんの回答が分かりやすかったので、以下に引用したい。
「“温泉気分” を味わうには、温泉の効果・効能だけでなく、温泉の景色、色、香りなどの五感に訴えかけるものが大切だと考えています。「旅の宿」の商品開発にあたって、開発者が温泉地を巡って感じたものが、色や香り、パッケージデザインの版画に込められています。
温泉入浴剤と分類される入浴剤には、それぞれの泉質を忠実に再現することを訴求しているものもありますが、「旅の宿」は、それぞれの温泉の湯を再現するのではなく、“こだわりの温泉成分” を配合したうえで、色や香り、温泉地を描いた版画のパッケージなどで「温泉気分」を楽しんでもらう商品であるとご理解いただけますと幸いです。」
一方で、この回答からわかることは、温泉入浴剤は「雰囲気系」と「ガチ系」に二分されるということ。クラシエさんの言葉を借りるのなら、“五感に訴えかけるもの” が雰囲気系で、“泉質を忠実に再現することを訴求しているもの” がガチ系となる。
ガチ系の特徴は、ずばり “ガチな温泉成分が入っている商品”、ならびに “できるかぎり忠実に本物の温泉に近づけさせようとしている商品” だ。
たとえば「天然湯の花」が入っていたり、非常に細かい数字まで成分表が書かれていたり、商品そのものが「大分県別府『海地獄温泉』のお湯を噴霧乾燥した粉末」……みたいな。
その中でもガチ中のガチと言える商品が4つある。
あくまで独断と偏見で選んだものだが、吉高屋『カメ印自宅湯原料』、あしたるんるんラボ『温泉入浴剤るんるんの湯』、ヤングビーナス『湯躍』、村上商会『別府温泉 薬用湯の花』からなる温泉入浴剤ガチンコ四天王である。
特に前者2つのガチ度は、TBSオールスター感謝祭の赤坂5丁目ミニマラソンにおける猫ひろし or 森脇健児、もしくは現役時代の貴乃花(貴花田)を凌ぐと言っても過言ではなく、たとえば「カメ印」は公式ページに
「種々の制約で天然湯の花の自社製造や販売が不可能な現在でも、いわゆる”ご当地イメージの入浴剤”を発売しなかったのは、 メーカー企画品の香料入り入浴剤に、名前だけ『有馬』を冠する商品には納得がいかなかったからです。」
──と告白し、「るんるんの湯」のほうは公式サイトにデカデカと
「実は『温泉』と書かれた多くの入浴剤は温泉をイメージして作られたもので、実際の温泉とは異なるんです。」
と、宣戦布告気味にハッキリ書いてある。
ひとくちに温泉入浴剤といえど、こうしたエンタメ vs ガチンコの戦いが、さらに言えばそれぞれのポリシーやイデオロギーのぶつかり合いが、お風呂の水面下で繰り広げられているのである。
──しかし、ただただ純粋に温泉ファンの私としては、あくまで「どちらも好き」なスタンスだ。ふんわりと雰囲気で表現してこられるのも「そう来たか」と楽しめるし、超絶ガチに攻めて来られて「まんまやん!」と驚くのも悪くない。
ガチ系が雰囲気系を黙らせるのもかっこいいし、逆に雰囲気系がガチ系を “なんとなくなイメージ” だけで駆逐したら、それはそれで事件である。何が起きても、ロマンだなぁ〜。
──いずれにしても、いつか有名な温泉地に行く機会があれば、本物の温泉と温泉入浴剤を比較しつつ、独断と偏見で個人的なナンバーワンを決めてみたいと思っている。ごちゃごちゃ言わんと、どれが一番 “っぽい” のか決めたらええんや。最強の温泉入浴剤、出てこいや〜!
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24
GO羽鳥






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