
山と道路があれば、そこにはトンネルがある。
国土の70%近くを山地が占めるという山大国・日本には大小さまざま、数えきれないほどたくさんのトンネルが存在している。その中でも岡山県にギリギリ過ぎるトンネルが存在すると聞き、実際に見に行ってきた。
それは完成からまったく姿を変えず時が止まっている……と見せかけて、現代的なスポーツを愛する人々の憩いの場があった。この状況はちょっとカオス過ぎるって!
・まるで洞穴!なトンネル
そのトンネルは県道300号線上にある。
やってきたのは岡山県高梁(たかはし)市。街を出発して15分ほど、道はどんどん狭くなり、脇には草まで生えていてお世辞にもキレイとは言い難い。
何度も念を押すように現れるのは「この先大型車通行不能」の看板だ。逆に今この道は大型車通行可能なのかと聞かれると首をかしげたくなるが、万が一進み続けられては困るのだろう。
そんな道を更に5分ほど進んだ頃であろうか。
あった!!
トンネルっていうか……洞穴!?
事前情報によるとトンネル自体は全長32mほどと短いはずなのに、体感ではその2倍ぐらいに感じられた。
上にも横にもゴツゴツとした岩が迫っているだけでなく、出口でカーブしていることから外界の光が入りにくくトンネルの中は真っ暗。慎重に運転せざるを得ず目をかっぴらきながら進んだ結果、筆者の頭の中ではゆっくり時間が進んだように感じたのだろう。
トンネルから出た瞬間は明るさに目がくらんだが、すぐにたくさんの人がいるのが目に入った。皆顔を上に向けてなにかを見ているようだったが 走りながらその理由を確認することはできず、広い場所に車を停めて徒歩にて戻ってくることにした。
・不思議な形状の理由は鍾乳洞
ということで改めて歩いて見に来た。こちらが岡山県が誇る(?)珍しいトンネル「羽山第二隧道」なのだが……なんだこれ?
トンネルってものはかまぼこ型 もしくは四角い形が多いように思うのだが、このトンネルときたらただの岩の隙間みたいな形をしている。特に左側なんて何故崩れないのか疑問になるし、いかに言っても低すぎる。
そしてなにより驚いたのは、トンネルの周囲の岩をたくさんの人々がよじ登っていること。近くにいる人に聞いてみると、ここはロッククライミングのスポットとして人気なのだという。クライミングと言えば、東京オリンピックから採用された今をときめく人気スポーツ。
命綱をつけ数人でグループになっているため安全性は高そうだが、一般県道のすぐ真上を人間が登っているというのはかなりカオスな状況と言って間違いないだろう。
それにしても……みんなよくあんな岩を登るな。どこを掴んでどこをに足をかけるのか、筆者ではまったく見当もつかない。
さて、トンネルに戻ろう。やはり気になるのは左側、なだらかに低くなっていっている部分である。有難いことにすぐ目の前にその答えが書いてあった。
「穴小屋」と書いてあるが、要は鍾乳洞である。実は低くなっている部分の奥には更に鍾乳洞が続いており、ぐるっと1周できるコースのようになっているらしい。
しかし入り口手前まで来てみればこの低さ、暗さ。一歩入れば自分の手足すらまったく見えなくなるだろう。
ということでもしも鍾乳洞を探検したい方は這いつくばって汚れても良い服で、強力な懐中電灯を持ってくることをオススメするが、現在も地図通りの道が続いているとは限らない。洞窟探検家のようなプロの方以外は入らない方が良いだろう。
鍾乳洞を覗いていたら、背後のトンネルを車が通過していった。傍から見ても本当にギリギリだな。
・すべて手作業で掘られていた
高梁市役所のホームページによると羽山第二隧道は大正3年(1914年)に着工、昭和4年(1928年)に完成したもの。
工事はすべて原始的な手作業で行われ、高所は上から人を吊るして鑿(のみ)で削っていたという記録が残っているらしい。そのため壁面にはこのように鑿(のみ)や鶴嘴(つるはし)が刺さった跡が残っている。
現在は中国地方の国道・県道に残る唯一の大正時代建設のトンネルということ。地形の問題からも丸い形のトンネルへ改修される可能性は低そうであるが、災害などの影響もあるかもしれず、今後もこのままの姿で残り続けるとは断言できない。
古いトンネルは通れるうちに通っておくべき、ということでお近くに来られた際は是非見に行ってみてほしい!
参考リンク:高梁の近代遺構⑫(高梁市のホームページより)
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼反対側の出入り口もギリギリ過ぎる!
▼県道30号線を更に北へ走り続ければ羽山第一隧道があるが、こちらもかなりギリギリサイズ。
▼内部は改修が入っているようで、壁面はコンクリートできれいに覆われている。
▼真ん中付近の壁に扉のようなものがあり、その中は……
▼水路であった!
高木はるか













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