キャンピングカーに乗ると宿泊費がいらなくなる、これは事実だ。家族4人でホテルに泊まるようなケースと比べると、だいぶ節約になるかもしれない。中には「家賃を払うよりもいい」と、思いきった決断をする人もいる。

ではバンライフはお得か、といわれれば筆者は違うと思う。生活がメインか観光がメインかにもよるが、現実には雑多な金がかかる、というのが正直な実感。

というわけで、キャンピングカー暮らしには1日どれくらい生活費がかかるかというマネー事情をご紹介。筆者の場合、自宅は別にあるので「旅行」の色合いが強いが、1カ月ほどの車中泊1人分の費用だ。


・滞在費

過去記事でも書かせていただいたが、「道の駅」での車中泊はグレーな行為だ。なので、もっとも滞在費を節約できるのは、北海道などに多い無料・低額のキャンプ場を利用する方法だろう。

自然の中でくつろぐのが最大の楽しみである人にはそれもいいが、「観光したい」「ネット使いたい」「いろいろな場所を訪ねたい」という筆者のような人は、日本RV協会が整備する各種パークに滞在することになる。公認の車中泊地だ。

料金はピンキリだが、肌感覚では1泊2000円~3000円が相場。トイレや水道の利用が可能で、わずかな追加料金でゴミ処理や電源使用までOKなところも多い。つまり生活インフラが整っている!

一部の利用者が「道の駅」に生活ゴミを捨てたり、勝手に充電したり(盗電だ!)、駐車スペースを自分の家のように使っているのを見かけるのは本当にいたたまれない。

まだまだ欧米には及ばないが各種パークは全国各地に設置され、札幌市、函館市、京都市といった観光都市にもあるし、なんと東京では「よみうりランド」にRVパークがある!

都市部やリゾート地では利用料が1泊5000円を超えることもあり、「ホテルの方が安い!」という逆転現象も起きるのだが、コインパーキングに24時間駐車することを考えると納得せざるを得ない価格でもある。


【滞在費】便のよい車中泊地で過ごすなら1泊2000円~3000円


・食費

食費はもっとも節約しやすく、自宅での暮らしと変わらない水準まで下げられる。車内でご飯を炊いたりおかずを作ったりする手段はたくさんあるからだ。場合によっては地元の安くて新鮮な食材が手に入ることもあるかもしれない。

たとえばある日の筆者の食事。朝食はパンや乳酸菌飲料など、自宅と変わらない内容だ。200円くらいだろうか?

昼食は取材やら観光やら、あるいは単に「食べたいから」という理由で外食するので1000円くらい。観光地では名物にど~んと2000~3000円かけるときもある。以前なら「またいつでも来られるや」と思うところだが、そうではないことをコロナ禍で知った。

夕食は炊飯器でご飯を炊いて、レトルトおかずで500円くらい。サンコー「2段式超高速弁当箱炊飯器」のほか、シガーソケットで炊飯できる「タケルくん」といった商品も定番。

筆者は「自炊しない」派なので結構かかっているが、目玉焼きひとつでも自分で焼く、という方はもっと費用を抑えられるだろう。

同じく筆者はちょいちょいジュースや菓子を買ってしまうが、お茶を淹れて水筒で持ち運ぶなど、普段から丁寧な暮らしをしている人はもっと節約できるはず。


【食費】人によるが、外食中心だと1日2000円くらい


・入浴費と洗濯費

実は自宅にいるときよりも確実に費用がかかってしまうのが「風呂」と「洗濯」である!

日本では温水シャワーを備えるキャンピングカーは少数派なので、どうしても「外注」になってしまう。歴史の古い町や学生街には銭湯もあるだろうが、狭い街路はキャンピングカー殺し!

必然的に日帰り温泉施設などに行くことになり、毎日のように数百円の出費である。痛い。

そのため旅人は、雑誌を買うと入浴料が無料・割引になる『温泉博士』を購入したり、地域ごとの温泉パスポート雑誌を入手したりと、涙ぐましい努力をする。

洗濯もまたしかり。街のコインランドリーで乾燥までしようと思ったら1000円近くかかるだろう。インターネットカフェ「快活CLUB」で洗濯機300円、乾燥機30分100円のコインランドリーを見つけたときは狂喜した。

同チェーンでは無料シャワーサービスを実施している店舗もある。もし公共のシャワールームが気にならない性格なら利用価値大だ。

珍しいところでは、コインシャワーつきのRVパークも。4分200円などでお湯が出る。早風呂に自信があれば、これもよいと思う。


【入浴費と洗濯費】入浴700円くらい、洗濯は数日ごとに500円くらい


・もし観光をするなら……

あれこれ合計すると、ざっと1日5000円くらい! しかもこれはあくまで生活費で、観光すれば入場料がかかったり、自転車で行けないところなら運賃、移動すればガソリン代もかかる。

月15万円稼ぐフリーランスなら最低限生活できることになるが、ほかにもスマホ料金や社会保険料など、生きているだけでかかる費用がたくさん隠れている。おまけにキャンピングカー自体が大きな買い物だからな。


もちろん、もっと低額のRVパークだけ選んで滞在する、風呂はコインシャワーで済ます、観光は無料スポットだけなど、まだまだ節約の余地はあるだろうが、「生活に無理が出てくる」と思う。無理すると健康を損なうし、なにより長続きしない。

好きなところに移動し、たまには外食し、暑さや寒さを我慢せず、そこそこ観光して暮らすとなると、筆者基準で1日5000円は欲しい。う~ん、厳しい!!

誰かがいっていた。帰るところのあるのが旅、ないのは放浪。今日も筆者は財布の残りを確認しながら旅をしている。


参考リンク:くるま旅クラブ公式サイトよみうりランド快活CLUB
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.