突然だが、エレベーター内に鏡がある本当の理由をご存知だろうか。駅などの公共機関はもちろんデパートやマンションなど、2基あれば必ず片方には鏡が設置されている。かくいう私も、これまで全く気にしていなかったのだが、実は鏡には大事な役割があったのだ。

私も含めて、おそらく多くの方が「身だしなみを整えるため」や「痴漢犯罪の防止のため」と思っているだろう。ま、別に「不正解!」と言いたいわけではなくて、エレベーター協会に教えてもらった “本当の理由” が意外だったので皆さんにも共有しておきたい。

・エレベーターの鏡

理由を教えてもらってからエレベーターを確認すると、いわゆる壁正面にドーンと設置されている鏡もあれば……


上部にさりげなく設置されている鏡があることにも気がつく。


正直これまで理由を気にしたことなど1度もなかったが……たしかに必要なのだ。もったいぶっても仕方ないので、日本エレベーター協会に教えてもらった「本当の理由」を紹介しよう。


実は……

車椅子の方が乗り降りしやすいように鏡がある。



日本エレベーター協会のホームページ「よくあるお問い合わせ」には、以下のような答えが書いてあった。


「車いすのお客様が乗り込んだ状態で、かごの中で回転ができない際、後ろ向きで出るときに後方を確認するためです」


なるほどたしかに。これまで私は「車いす専用ボタン」は、扉の開放時間がちょい長く設定されているだけなのかなと思っていた。しかし、たとえばビル内にエレベーターが2基ある場合……


普通のボタンを押してエレベーターを呼んだら、鏡のないタイプがやってきて……


車いす専用ボタンで呼んだら、鏡と手すりのあるタイプのエレベーターがやってくる。


設置されている建物によるかもしれないが、どこもだいたい同じような仕組みとなっている。現在エレベーターを新設する際、公共機関では鏡の設置が義務付けられており、一般の建物では各自治体による福祉のまちづくり条例等で基準が定められているそうだ。


車椅子の方と同乗することがあれば配慮するようにしよう。鏡が設置されている理由を知らなければ悪気がなくても相手に迷惑をかけてしまうかも……理由を知っていれば最善の行動をとることができるはずだ。


・他にも知らないことは色々

ちなみに、防犯のために設置されているのは「扉の窓」とのこと。また、エレベーターはワイヤーが切れても「非常止め装置」が作動して落下しない仕組みになっているらしい。

これ聞いて本当に安心した。高所恐怖症の人間にとって「高層階行きのエレベーター」はほぼ絶叫マシンだからな。

高齢者や障がい者、小さな子供や海外旅行客などなど……様々な方が利用するエレベーターは、すべての方が安全かつ容易に移動できるよう工夫されている。知らないうちに、人に優しい移動の技術がどんどん向上していたわけですね。勉強になりました。


執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼このタイプの鏡は歩道橋などのエレベーターで自転車で乗るときに便利だった

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