俺はいま猛烈に興奮している──。出だしからイキナリ変態的発言をしたのには理由があって、久しぶりに栃木県宇都宮の「正嗣(まさし)」を食べることにしたのである。当編集部にとって、正嗣は餃子の美味しさを教えてくれた大先生!

正嗣を知ってからというもの、私たちの餃子史は紀元前ならぬ「正嗣前、正嗣後」に二分されるほどの衝撃だったが、あれからおよそ1年半。数々の餃子を焼き、何ならプロ直伝「焼き餃子を美味しく作るコツ」を学んだことで餃子偏差値を上げてきた。そんな今、改めて食べたらどんな気持ちになるのだろう。

・久しぶりの正嗣

ふとそのように気になったから確かめたのが今回の話。難関の餃子校も合格できるほどに勉強してきたことで、味の感じ方に変化はあるのだろうか。注文してから数日後、さっそくブツ(1箱30個入り1100円・送料別)が届いた。ただ、この時点で意外なことに気づく。

そう……


文字だけでウマそうなのである!!


それはまるでパブロフの犬のよう。マサシスト(正嗣好き)であるがゆえ、段ボールの文字だけでもヨダレが出てしまう自分がいたのだ。フォントで興奮するなんて、もう私たちは正嗣の手のひらの上で踊っている。餃子の味覚が研ぎ澄まされている今、正嗣を食べたら死ぬかもしれぬ。

……だがッ!


それも本望ッ……!


久しぶりに対面した正嗣は美しく、白いボディから放たれる戦闘力がハンパない。前回は120個をみんなで食べる「狂乱の正嗣祭り」だったが、今回は編集長のGO羽鳥、営業のじゅんくん、そして私の3人で冷静にジャッジすることにした。

前回と大きく違うのは前述の「焼き餃子を美味しく作るコツ」を使用すること。このやり方は蒸し、揚げ、焼きのトリプルコンボをぶち込むスタイルだけに、皮はパリパリで中身はアツアツジューシー。どんな餃子であっても、高確率で美味しくなるのが特徴だ。

それを正嗣に使うとなると、鬼に金棒……いや、鬼にロケットランチャーを持たせるようなもの。今、最高と最高が組み合わさる!


・前回と感じ方に違いはある?

実際に焼き上がると見た目から素晴らしく、前回超えをしているようにしか思えない。とりま(とりあえず、まあ)一口食べてみると……

あっ……


おおおぅ……


そりゃウマいよね〜


……というありきたりな感想になったが、本題はここから。なぜなら、前に食べたものと幾分か味の感じ方が違うのだ。前回、私たちが感じたのは一に生姜、二に生姜と何かと生姜だった。まるで生姜でぶん殴られたかのような衝撃。それでいてスルリと胃に入るところが最高だと思ったのを覚えている。

しかしながら、不思議と今回は生姜の割合が少なめだ。皮のパリパリが倍増してウマさを感じるも、どこか皮の甘さが先行している。おそらく正嗣の味は変わっていないため、私たちの舌(スカウター)の方が変化した……のか?

・火加減で左右される?

どうにも煮え切らない結果になったため、「焼き餃子を美味しく作るコツ」を取っ払って……つまりは加える油と湯を少なめにして焼いてみた。皮の焼き面のパリッパリ具合がちょっと減ってしまったが、これはこれはウマい。だがしかし……

確かに生姜を感じるものの、依然として皮の甘さを舌が読み取る展開に。1年半前とは全然違う顔を見せてきたのだった。う〜む、やはり餃子舌が肥えたのが理由かなぁ……そう考えていたところ……

餃子が入っていた箱の裏に焼き方が書いてあって、それによると正嗣は「強火」がデフォ(ほとんどは中火)。そういえば前は強火で焦がしたこともあったっけ……と思い出したのだった。もしかしたら火加減で生姜の引き出し方が変わるのかもしれない。

何はともあれ相変わらず正嗣はウマかったし、改めて餃子という食べ物は面白いことに気づかされた。火加減1つで見せる顔が変わるのであれば、それはそれで興味深い。まったく……これだから餃子はやめられない。また先生に教えられたようだ。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.