公衆電話といえば、その存在自体がレアな昭和遺産である。どうやらスマホにメールを送ることもできるみたいだが、そこまでフル活用している方はマジでいないだろう。なんなら「普通に通話する方法すら知らない」という方も少なくないはずだ。
そんな公衆電話の中でも、レア中のレアと言われているのが「デュエットホン」。日本に数台しか存在しない公衆電話で、噂によると受話器が2つあり3人で通話することが可能らしい……マジかよ。あまりにも謎すぎるので、実物を見に行ってきた。
武蔵小杉駅から徒歩約5分。ウルトラレアな公衆電話「デュエットホン」は、神奈川県川崎市の中原区役所にあるという。探し出すのは大変……かと思いきや、庁舎前で妙なオーラを放つ電話ボックスを発見。間違いなくアイツが……
デュエットホンだッ!!!!
噂どおり受話器は2つ、なんというビジュアル! 聞くところによると、デュエットホンは1990年の「NTT電話100年記念」に制作された限定モデルで……利用シーンはとくに想定していないらしい。たしかに全く「利用シーン」は思い浮かばない。誰が使うんだよ。
一応、使い方を確認すると……
左側の送受話器を上げて……
右側の送受話器を上げて……
テレホンカード、もしくは硬貨を入れたら相手と3人で話せる。試しに自分のスマホにかけてみると……
お、お、おおおおおおおおお!
どっちも繋がっている……すげえええええ!
けど、やっぱり……
利用シーンが全く思い浮かばねぇぇぇえええええええ!
・レアなだけでいい
……いや、いい。ただレアなだけで十分じゃないか。だってめっちゃ便利だったら「日本に数台」なわけがない。これでいいのだ。
もしかしたら、直接言いにくいことをデュエットホンで伝えるのが地元民の伝統儀式だったりするのかもしれない。愛の告白もデュエットホンを使えば一生の思い出に残るだろう。遠目に見ると「相合傘」みたいだしな。ただ、どちらも2人で使う設定だけど。
ちなみに緊急通話(110、119等)は、公衆電話から無料でかけられる。受話器を上げて「ツー」と発信音が聞こえてからダイヤルすればOKだ。同じくデュエットする必要はない。
勝手な予想だが、デュエットホンは100周年のテンションで制作されたのだろう。関係者は完成後にゾッとしたはずだ。一体コレを誰が使うんだよ……と。とはいえ、だんだん愛おしくなってくるから不思議。
・地元のシンボルとして
なお、関係者曰く「限定モデルだから修理やメンテナンスも困難」とのことだが、利用者が少なく収益性も見込めないから撤去……ではなく、今後も “街のシンボル” として大事に残していきたいという。やはりみんな好きなんだな。
・普通に公衆電話としても使用できる
1990(平成2)年に設置されて30年以上が経過した今も現役バリバリのデュエットフォン。昭和レトロな電話ボックス「ふれあいの樹」とともに川崎市中原区のシンボルなので、機会があればぜひ使ってみてくれたまえ。3人でね。
最後に、公衆電話なら通話相手が固定電話で同区域の場合「10円で約1分間」通話できるぞ。距離が長くなれば料金が上がる仕組みだ。併せて覚えておくこと。
・今回ご紹介したスポットの詳細
名称 デュエットホン
住所 神奈川県川崎市中原区小杉町3-245 中原区役所
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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