iPhoneのいろいろな動作を自動化できる「ショートカット」機能、使っているかな? 文中画像をiPhoneで撮影することが多い筆者は、まとめてJPEG変換してリサイズしてパソコンに転送! なんていう一連の作業を設定している。

似た機能に「オートメーション」がある。条件を満たすと自動で発動するのがオートメーションだが、いまいち活用場面が浮かばなかった。ところが、市販のNFCタグと組み合わせると最強だというじゃないか。

さっそく試してみたら「ええっ、これ便利」と感動。「今さらかよ!」と思われるかもしれないが、ちょっと聞いていただきたい。


・サンワサプライ「NFCタグ」(標準価格:税込2090円)

今回用意したのはこちらサンワサプライ「NFCタグ」。10枚入りで実売価格1000円~1500円程度だが、メーカーを問わなければもっと安価なものもある。

直径2cmほどの小さなシールで、壁から小物まで目立たず貼れる。パッケージにはAndroid用と書かれているが、NFC対応のiPhoneなら読み取りできる。

オートメーションを設定するには、きっかけとなる開始条件が必要。ここでNFCタグを登録すると、「スマホをピッとかざしたとき」をトリガーにできるというわけ。たとえば……


・アプリを探さなくてよくなる!

長くスマホを使っていると、直面するのが「アプリありすぎ」問題。

よく使うアプリだけ厳選してホーム画面に……と思っていても、そもそもよく使うアプリが多すぎる。フォルダにまとめて深い階層にあったりすると、目的のものを探すのも一苦労だ。

決まった場所で、決まったアプリを使うという場合、NFCタグに紐づけるとワンタッチで起動できる。

たとえば筆者の場合、仕事中の基本的な作業はパソコンだが、完了前に必ず1度スマホを使う場面がある。目的のアプリを開くアクションを設定してマウスパッドにでも貼っておく。

直前にスマホでなにをしていても、タッチすればその画面が一瞬で開く。これは結構な時短! 開きたいアプリが複数ある場合は、ペンなどで目印をつけて、たくさん貼っておくのもいいかも。なんてったって1枚100円ちょっとだ。


・習慣化しているアプリを登録

家のトイレでは必ずニュースアプリをチェックする、体重計のそばで「ヘルスケア」アプリを開く、なんて習慣化している作業も登録すると便利だ。

キーホルダーなどにNFCを貼っておいて会員アプリを起動、というのもアリ。「ドコモか楽天のポイントカード……」と定番のセリフをいわれたときに、レジ前でアワアワしなくてよい。

タグは紙1枚ほどの厚さなので、ノートや手帳にも貼っておける。手帳とスマホのカレンダーをよく見比べる人ならカレンダーアプリを開く設定。決まったノートで英語の勉強をする人なら翻訳アプリを開く設定。

アプリには「ただ開くだけ」の動作しかできないものと、もう1歩踏み込んだ設定ができるものとある。たとえば純正の「ヘルスケア」なら、よく使う「身体測定値」の画面にダイレクトで飛べるぞ。

ずらっと並んだアイコンからアプリを探す作業、1回1回は数秒のことだけれど、毎日やっていると結構なロス。パソコンのショートカットキーを覚える利点と似ている。


・手探りでなにかしたいとき

災害時の備えでおすすめしたいのがフラッシュライト。停電時や、家具のすきまに小物を落としたときなど、iPhoneを懐中電灯代わりに使う人も多いのでは。

NFCタグにかざすと点灯するよう設定しておき、枕元に貼る。

これ、普段はコンタクトレンズを使っていて、就寝時は極端な近視になっている筆者にはありがたい。寝ぼけ眼(まなこ)でも、手探りで点灯できる。確実に動作したことが触覚でわかるよう「デバイスを振動させる」というアクションを足しておくのもよい。

ちなみに理論上は「もう1度かざすと消灯」ができるはずだが、筆者の環境下ではフラッシュライト使用時にはNFCを読み込めず、実現できなかった。


・憧れの “Get Wild退勤”

少し前に話題になった “Get Wild退勤” もNFCタグをトリガーにできるぞ。

もともとの「オートメーション」でも、Bluetooth接続や、職場を出発した位置情報をトリガーにすることはできた。けれど1日に何度もイヤホンを着脱する人や、規則的に職場を出入りしない人には再現が難しかったよね。

さらに毎回、実行確認が表示されるので(※参考)スマホを開いてタップする動作が入り、完全な自動化とはいえなかった。

NFCタグでは実行確認のオン・オフを選べる。楽曲を所持していることが前提だが、さりげなくスマホをかざすだけでシームレスに「Get Wild」が再生。ものすごくいい仕事をした気分で退社できるぞ。

さっそく会社の出入口にこっそり貼っておこう! 壁紙が白いところがバレにくくておすすめ。


……なんてことが許されるのはロケットニュースくらいだろうから、イヤホンケースなどに貼っておくといいかもしれない。イヤホンを忘れてスマホから直接流れると恥ずかしいからな。


・アイディア次第でいろいろ使えそう

ここで紹介したのは、おもに「アプリを起動する」という単純なものだけれど、知識があれば便利なことからおバカなことまで、もっともっと多彩にできそう。

これまでネット上では、せっかくのオートメーションなのに、トリガーを細かく設定できないのが不便、という声も見かけた。「決まった場所をタッチする」というトリガーはアナログながら、なかなか使い勝手がいいんじゃないだろうか。

ただ単純に「ショートカットを呼び出す」こともできるから、シェアされている上級レシピを活用するのも手。すでにショートカットを使いこなしている人なら、「スマホでピッ」の便利さを実感すると思う!


参考リンク:Appleショートカットユーザガイドサンワサプライ株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.