ゲームセンターで最も人気のあるコーナーといえば「クレーンゲーム」だ。たった数百円でカワイイぬいぐるみや豪華ゲームソフトが手に入る……かもしれないという “ワクワク感” がたまらない。あまり欲しくない景品でも、取れそうに見えるとお金を投入してしまう。

しかし、私がかつてショッピングセンターのゲームコーナーで出会った「サービス台」だけはワクワク度がゼロであった。コインを投入できなかった。あそこはただの……ウルトラマンの墓場だったのだ。

・クレーンゲーム

週末になると家族連れで賑わう福岡県内のショッピングセンター内で、狙ったわけでもなく昭和レトロな雰囲気を醸し出すゲームコーナーを発見した。まさに時計の針は止まったまま状態で、好奇心旺盛な子供たちもスルーするほどナチュラルにレトロ。というか、さびれていた。

しかーし、決して居心地が悪いわけではない。デパートの屋上遊園地のような雰囲気だから、昭和世代は一瞬足を止めるだろう。若い世代には斬新に映る……かもしれない。というわけで、チラッとゲームコーナーをのぞいてみることに。

もしかしたら懐かしいゲームと再開するかもなァ〜と、淡い期待を抱いてウロウロしていたところ、先に述べた UFOキャッチャーの「サービス台」を見つけたのだ。サービス台とは “商品をゲットしやすい” ということだろう。取れるかどうか確認したくなっちゃうよねっ!


どれどれ………


………………



………………



………………



………………


キャアアアアアアアーッ!


「サービス台」という甘い言葉に誘われホイホイ近寄った結果……人形が殺害現場のように転がっていた。絶句。ワクワクドキドキどころか、トラウマになるレベルの光景。数秒前に「取れるかどうか確認したくなっちゃうよね!」と思ったことを激しく後悔した。

そして冒頭でもお伝えしたとおり、コインは投入できず。ひと気のないゲーセン内で、成仏できずにいたウルトラファミリーにしっかりと手を合わせてから、その場を去ることにした。ただ今思えば、クレーンでキャッチしてあげるのが正解だったのかもしれない。安らかに眠れ

ちなみにクレーンゲームのサービス台は、一般的に「古くなった商品を、アームの強さや可動域等を調整して取りやすくしている」という。いずれにしても、恐怖のサービス台は、もしかしたらまだあのショッピングセンターに設置されている……かもしれない。キャアアアーッ!

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.