神奈川県鎌倉市の大船といえば、東海道線や横須賀線の車窓から見える「大船観音」が有名。顔面の迫力がMAX過ぎる白亜の観音像は、街を見守るシンボル的存在だ。1度見たら忘れられない強烈なインパクトを放っている。大船のラスボスと言っていいだろう。

そんな大観音様より古い歴史を持つのが……知る人ぞ知る駅弁、その名も「大船軒サンドウィッチ」だ。日本初の駅弁サンドウィッチとして大ヒットし、サンドウィッチが国内に普及するきっかけになったレジェンド弁当である。たまたま品川駅で見つけたので買っちゃいました!

・品川駅の駅弁屋

JR品川駅構内にある駅弁屋は、東京駅や新宿駅と比べるとだいぶ小さめ。ただ、弁当の種類は少なくても、厳選された人気駅弁がしっかりベンチ入りしている印象。上皇陛下も愛する「チキン弁当」や、今回の主役「大船軒サンドウィッチ」がスタメンに名を連ねていた。

・大船軒サンドウィッチ

さて、大船軒サンドウィッチは530円。冒頭でも少し触れたように、明治32年(1899年)に誕生したサンドウィッチ駅弁は、美味しさと珍しさでたちまち人気商品となったという。パッケージのレトロで上品な雰囲気がたまらない。

ちなみに、当時使用した自家製ハムの評判が高く食料品業者からハムだけの注文も殺到し、ハム製造部門を独立させたのが現在の「鎌倉ハム富岡商会」なのだとか。

──といった感じで、駅弁はパッケージに書いてある「誕生秘話」や「歴史」を読んでおくのがおすすめ。街のストーリーを知ってから味わうことで、脳みそが弁当の味を引き立ててくれるのだ。たぶんね。

ま、とにかくサンドウィッチを……オープンッ

おおおお……登場したのは、パッケージ同様「ザ・昔ながらのサンドウィッチ」。逆に新鮮味を感じるほどシンプルかつレトロな見た目だ。今さらながら、明治から令和へと受け継がれる弁当に凄みさえ覚える。ビシッとキマッてるなぁ。

ボンレスハムサンドが4切れ、チーズサンドが2切れ。さっそくハムから食べてみると……あ、うまい。ハムの存在感すごいな。薄く塗られたマスタードがハムの味をうまく引き立てている。これが伝統のサンドウィッチか。明治の風景が思い浮かぶような美味しさだ。

まろやかなチーズサンドも上品で懐かしい味。とてもノスタルジックな美味しさである。ハムサンドを2枚食べたらチーズサンドを1枚……とてもシンプルだが、ちゃんと味の変化を楽しむことができるな。具だくさんのコンビニサンドイッチとは全く別の良さがある。

・心地よい余韻が残る駅弁

というわけで、なんだか心地よい余韻が残る見事な駅弁であった。巨大な大船観音とは別の意味で、ずっと心に残っている。うーむ、また食べたい。

皆さんも機会があれば、ぜひ明治から受け継がれるシンプルな美味しさを味わってみてほしい。ごちそうさまでした!

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 駅弁屋 品川店
住所 東京都港区高輪3-26-27
時間 6:00〜21:00
休日 無休

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼大船観音

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