鉄道旅行に欠かせない「駅弁」には、地域を代表するロングセラー商品が数多く存在している。やはり鉄旅には、旅情をかきたてる「昔ながらの弁当」が合うのだ。たとえば、大正10年から100年近く愛されている東筑軒の「かしわめし」なんて最高だろう……食べたことないけど。

今回は、福岡県を代表する名物駅弁「かしわめし」を食べてみたい! ということで、JR九州の折尾駅(北九州市)に行ってきた。ちなみに博多駅でも……東京駅でも「かしわめし」は買えるらしいが、まあ少しでも “鉄旅気分” を味わうために現地入りした次第である。

・立ち売りも有名

折尾駅の「かしわめし」といえば、実は駅弁そのものと同じくらい “弁当の立ち売り” も有名。古き良き時代の情景は必見……だったのだが、記者が駅に到着した時間が遅すぎたため見ることができず。クソッ、悔しいです。ただ、駅西口を出てスグの東筑軒でも弁当は買えるっぽい。

てことで、西口前の東筑軒へ。こちらメインは「立ち食いうどん」だが、テイクアウトで「かしわめし(770円)」を買うことも可能。17時を過ぎていて完売の不安があったものの、なんとか……なんとか最後の1箱を買うことができた!

それにしても、歴史ある駅弁の昔懐かしいデザインはとてもイイ。包み紙に描かれた「路線図」と「この駅弁の味から、夢多き九州の旅が始まるのである(石黒敬七談)」という文章が旅心をそそる。アルコール、もしくは熱いお茶でも買って遠くへ行きたい。

・かしわめし

弁当箱は「経木(きょうぎ)」と呼ばれる昔ながらの木製折箱だ。通気性が良くて水分を吸ってくれるから、食品の鮮度を保てるらしいぞ。パカッとフタを開けると、かしわめしの甘い香りと、ほのかな木の香りが広がる……! 優しい香りいいい~!

そして目に飛ぶ込むのは、「かしわ肉」「錦糸卵」「海苔」の鮮やかな3色。遊び心のある昔ながらのスタイルがとてもクールだ。いやもうマジでたまらんね。変わらないって素晴らしい。それではさっそく、いただきます。パクリ……

うん、美味い。鶏ガラスープを吸い込んだ炊き込みご飯は、間違いなく絶品だ。木の容器が余分な水分を吸っているから、米が適度なかたさを保っている。粘りと柔らかさのバランスがちょうど良いぞ。これが100年近く受け継がれている伝統の味か……おそるべしクオリティ。

そして「かしわ」。九州では鶏を “かしわ” と呼び、冠婚葬祭のときに庭先で育てた鶏で客人をもてなす習慣があったのだとか。つまり、最高のごちそうだ。単体でも美味しい炊き込みご飯と、旨味がギュギュッと凝縮された鶏の刻み肉……冷めていてもしっかり美味しいな~

弁当の定番メンバー「錦糸卵」と「海苔」も、炊き込みご飯との相性が抜群。派手さはないが、安定感のあるベテランらしいナイスな働きをしている。もちろん、お茶とも合いますよね~。

・次は「立ち売りの方」から買いたい

なんとも駅弁らしい駅弁だったから、やはり駅ホームの「立ち売り販売」から購入するのが最もオススメ。とは言え、福岡が誇る「かしわめし」は、評判通り、見た目・香り・味の三拍子が揃っているのでチャンスがあればぜひ食べてみてほしい。九州の旅が始まる味を……ぜひ!

Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.