本日4月27日は2021年におけるもっとも重要な一日として、主に私(あひるねこ)の胸に深く刻まれることになるだろう。なぜなら松屋の至宝『ごろごろ煮込みチキンカレー』が待望の復活を果たしたからだ。ついに、ついにこの日がやって来たぞ……!

約1年ぶりに降臨する我らが「ごろチキ神」。当然、朝10時の販売開始と同時に店に駆け込むのが最低限のマナーであるが、発売を前に私の頭にはある思いがよぎっていた。「ごろチキ」を最高の状態で迎えるため、私にできることは何だろうか?

・「ごろチキ」のために……

よく考えたら私は、松屋に行ってただ「ごろチキ」を食べているだけだった。「ごろチキ」から受け取るばかりで、私から「ごろチキ」に何かしてあげたことは一度もない。ならばせめて、「ごろチキ」を最高の状態で味わうための努力をすべきではないのか? そこで……


丸一日断食して発売に臨むことにした。

・初断食

発売前日は水だけで過ごし、翌日の「ごろチキ」との対話にすべてを懸ける……。これが今の私にできるベストな行動であろう。さて、断食をするのはこれが人生初だが、今回はダイエットや健康が目的ではなく、あくまで「ごろチキ」のための “ごろ断” である。

よって、お茶や野菜ジュース、すまし汁といった水以外の飲食物は一切禁じることを自らにルール付けた。そう、これは制約と誓約! 覚悟の証!! リスクはバネ! 制約と覚悟が大きい程、「ごろチキ」はウマくなる!! なに、たった1日だ。死にはしない。


ところがこの断食、私が思っていた以上に過酷なものだった。すぐに体が慣れるかと思いきや、何時間たっても空腹感が消えないのだ。忙しく動き回っているならまだしも、座って仕事をしているだけだと気もまぎれずで非常に辛い。

なんならこの状態で他のグルメ記事を書いたりしてるからな。セルフ拷問か。

・予想以上の苦行

断食が直接の原因なのかは不明だが、夜になるとさらに症状が悪化。体温の低下と手足の痺れを感じるようになってしまった。中でも特にヤバイと思ったのが歯磨きの時である。まさか歯磨き粉をウマいと感じる日が来るとは思わなかったぞ。


こうして初の断食に耐えること24時間……。いよいよ私は神との謁見の場に辿り着いた。普段ならやらないが、今回ばかりはライス大盛りをブチかますのもやぶさかではない。さらにプラス60円で『ミニ牛皿セット』へとクラスチェンジを果たし準備は完了である(合計790円)。


そして、運命の瞬間は訪れた──。


か、神よ……ッ!


・悲願

おお、我らが「ごろチキ神」。やっと会えましたね……! 貴方との再会をどれほど夢見たことでしょう。約1年ぶりではありますが、気分的には5000年ほど待ち申した。相変わらずの容赦なき “ごろごろ” っぷり。お変わりないようで何よりです。

昨日からの断食はすべてこの時のため。味覚と嗅覚が研ぎ澄まされた今の私に、果たして「ごろチキ」はどのような景色を見せてくれるのだろうか?

神なき時代を振り返りながら、再び出会えたことへの感謝と共に万感胸に一口目を頬張る。次の瞬間、私の頭に浮かんだのは以下の言葉だった。


でっけぇ……!

・荘厳

かつてこんなにもスケールの大きな「ごろチキ」を味わったことがあっただろうか? 味が濃いとか、いつもよりもスパイシーとか、そんな一面的な感想には決してとどまらない。

例えるならそれは、雄大な大河の流れを呆然とうち眺めるかのような、ある種スピリチュアルな感覚……!

私の記憶の中に棲む「ごろチキ」の味そのものであると同時に、これまで体験したことのない未知の「ごろチキ」であるという圧倒的矛盾。断食によってハイになった影響もあるのだろうが、尋常ならざる無敵感である。「ゴロチキ」とのシンクロ率、無限大です!

・味覚に突き刺さる

食べれば食べるほど舌に馴染んでいくカレールーは、ごろごろが過ぎるチキンの軍勢とどちらが主役かを争っている。この両者のせめぎ合いこそが「ごろチキ」特有の化学反応を起こしていることは言うまでもないだろう。

そして先ほどから、何を食べても味の解像度がハンパではない。


「ごろチキ」、うめぇ……!


牛皿、甘めぇ……!!


味噌汁、しょっぺぇ……!!!

いきなりこんな刺激の強い料理を食べたら体がびっくりするかと思いきや、意外にも「ごろチキ」は優しい温もりをもって私の胃を満たしていった。スパイシーさや切れ味の鋭さは何ら変わらずに、だ。もしかしたら神はツンデレなのかもしれない。

・分かった

「いつもよりおいしくなるかなぁ」くらいの軽い気持ちで始めた断食。しかし結果的に私は、一口食べて「ごろチキ」のことが分かってしまった。いや、分かったような気がしているだけなのか。具体的には言語化できない。そう、それは得も言われぬほどにサイケデリックで、そしてキケンな体験だったのだ。

参考リンク:松屋
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

▼やべえ。