沖縄は赤やブルーのカラフルな魚が食べられるイメージ。たしかに都市部の市場へ行くと、色々な珍しい魚が売られているのだが……正直それなりのお値段はする。少人数の旅行でも、もっと手頃に、たくさんの種類を、少しずつ食べる方法はないものだろうか?
そんな旅行者に強くオススメしたいのが『道の駅』である。沖縄県糸満市にある『道の駅いとまん』は日本一に輝いたこともある有名な道の駅。ここはいろ〜んな珍しい海産物をかなりお手頃な価格で食べられるうえ、けっこう空いている。つまり、穴場なのだ。
・地図と相談しよう!
ちなみに『道の駅いとまん』へ那覇中心部からバスと徒歩で向かってみたところ、想像したより長い道のりだった。周辺は特に何もない郊外であり、荷物が増えた帰り道は少しキツイかもしれない。心配な人はレンタカーを手配しておこう。
とはいえ、何もないこともまた旅の楽しさ。道の駅いとまんの敷地内には、主に農産物を売る『うまんちゅ市場』、海産物を売る『お魚センター』とが隣接しているほか、おみやげコーナー、植物コーナー、情報館まである。半日くらいなら余裕で過ごせるのだ。
お魚センター内は魚屋が連なるように並ぶ。
「時価」と書かれた高級品にはさすがに手が出せないけど……
小分けにされたものなら1皿200〜400円ほどとお安い。魚、貝、甲殻類、刺身に焼きにフライまで、沖縄の海の幸を存分に多能することができるぞ。ワッ!!! 憧れの『夜光貝(やこうがい)』がタッタの200円だと!?
……と、思ったら貝殻だけか。そりゃそうか。
・お店の人と相談しよう!
さて「沖縄の変わった魚が食べたい」という漠然とした願いはあったものの、想像したより種類が多いようだ。いくら少量とはいえ、1人で全種類を試食するのは不可能と判断。
そこでお店の人にオススメを尋ねたところ、「人気があるのは『マチ』の刺身です」と教えてくれた。マチ? ハマチの親戚かな? さっそくお刺身コーナーを覗いてみると、シチューマチ、チョウチンマチ、クルキンマチにアカマチなど……
マチだらけだった \(^o^)/
・イケるだけいってみた
聞くところによると『マチ』とは沖縄独特の呼び名。主にタイの仲間を指すが、割と範囲が広くアバウトな表現らしい。沖縄っぽいな〜。
焼きやフライにまで手を出してはキリがないので、今回はとりあえず刺身に限定して “聞いたことのない魚” を全部購入してみることにしようと思う。
まず沖縄の魚としてトップクラスに有名な『イラブチャー』から。一瞬「噛み切れない」と思うほどに皮が硬いが、よく噛めば食べられるようだ。むしろ噛んでいるうちにウマさが染み出してくる。付け合わせのシークワーサーとよく合うな〜。
『アカマチ』も皮にけっこう歯ごたえがある。タイのようなヒラメのような、万人ウケする味だ。
皮の歯ごたえナンバー1は『クルキンマチ』。ここまでくると、もはや身ではなく皮を楽しむものと言っていいだろう。
『チョウチンマチ』は見た目のとおり赤身魚の味がする。カツオような、ちょっぴりカンパチ要素も入っているような……。芸術的な皮はフルフルと舌ざわりがよく、五感で楽しむ大人の世界って感じ。
『シチューマチ』はスズキとマグロの中間のようなクセのない味。しかし今回購入した刺身の中では唯一皮を剥ぎ取られており、もしかすると皮にとんでもないクセがあるのかも知れないが……あくまでも想像なのであしからず。
さて、憧れの『夜光貝』は…………硬っ!!! 硬さレベルで例えると “タン先の一番硬い部分” くらいだろうか。おそらくこの歯ごたえが夜光貝の醍醐味なのだろうが、それにしてもスゴイ硬さだ。味自体はメチャ淡白。
『シャコ貝』はホタテとタイラギ貝の中間みたいであり、シャクシャクとして貝らしさが強い。シャリに乗せてもよさそう。
最後の『アカニシ貝』はボイル済みとみえ、カマボコみたいな味がした。コンビニで売っているおつまみ用の貝にソックリだ。昼間っから1杯ひっかけたくなるなァ〜。
ちなみに私が今回購入した中で最もおいしいと感じたのは、意外にも “みそ汁” だった。お魚センター内には海鮮汁の専門店があり、購入した刺身などと一緒に食べることができる。みそ汁とはいえ高級品の『セミエビ汁』は約4000円もするようだ。
私が購入したのは780円の『タマン汁』だが、タマンなる謎の魚のエキスがよ〜〜〜くしみ出て非常に美味。メチャクチャ濃厚なのに魚の臭みがない。聞けばタマンはわりとよく釣れる魚のようだから、うまくすればビッグビジネスになるかも? 起業家の方、ぜひ!
ところで沖縄の人は魚の揚げ物が大好きらしいが、商品名を見ると『魚のフライ』『魚天ぷら』などとしか書かれていない場合が多い。沖縄でいう「魚」とは一体どの種類の魚を指すのだろう? 沖縄七不思議のひとつだ。
ま、そういう細かいところを気にしない大らかさも沖縄の魅力ですよね。ちなみに本日4月22日は『道の駅の日』。みんな沖縄へ行ったら道の駅いとまんに立ち寄ってみてね〜!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
▼施設内には広〜い飲食スペース