ご存知だろうか。2020年11月2日から、ピザハットが1人用ピザの販売を開始したことを。知らない人もいるだろうから言っておくと、これが日本のピザチェーンとしてはなかなかの安さなのである。現在のところ店舗限定にして期間限定ながら、価格はテイクアウトで税抜700円〜。デリバリーで税抜1000円〜。
「日本のピザ = 海外に比べたらマジで高い」というイメージを払拭する可能性があることを考えたら、革命的と言ってもいいかもしれない。ただ、安いといえば忘れてはいけないのがサイゼリヤ。イタリアンチェーンのコスパ王とも言えるサイゼリヤのピザと比べたら、どっちがお得なのだろうか?
・ピザハットの1人用ピザについて
最初にピザハットの1人用ピザのセットについて、簡単に紹介しておこう。MY BOX(マイボックス)と名付けられたこのセットは、Sサイズのピザ(約15cm)以外にチキンナゲット2個とフライドポテト(ハットフライポテト)が付いてくる。
ピザは10種類から選ぶことが可能で、そのうち5種類はテイクアウトなら税抜700円(デリバリーなら税抜1000円)。残りの5種類はテイクアウトなら税抜900円(デリバリー税抜1200円)となる。それぞれのラインナップは以下の通りだ。
■テイクアウト税抜700円(デリバリー税抜1000円)のピザ
ピザハット・マルゲリータ
デラックス
ほっくりポテマヨソーセージ
ツナマイルド
やみつきアンチョビオリーブ
■テイクアウト税抜900円(デリバリー税抜1200円)のピザ
特うまプルコギ
テリマヨチキン
特製オマールソースのダブル・シュリンプ
グランBBQ
本気のチーズキーマ
ちなみに、MY BOX(マイボックス)のピザ生地はハンドトス限定で、ハーフ&ハーフが不可。追加トッピングやサイドメニューの変更、他のクーポンの利用も不可と、何かと制約が多い。
おまけに、これは2020年12月13日までの期間限定で、先に述べたとおり店舗限定。そのお店も以下に記載しておこう。
■MY BOX対応店舗
・千葉県(2店舗)
イオンタウンユーカリが丘店 / 流山おおたかの森店
・東京都(6店舗)
板橋店 / 曙橋店 / 自由が丘店 / 東銀座店 / 東長崎店 / 三鷹店
・神奈川県(4店舗)
相模原大野台店 / 初音町店 / 神奈川新町店 / 西友二俣川店
・愛知県(3店舗)
マックスバリュ昭和橋通店 / 鳴海店 / ビバモール名古屋南店
・大阪府(5店舗)
あべの美章園店 / みなと通市岡店 /大正泉尾店 / 難波店 / 鳳店
・サイゼリヤと比較
MY BOXに対応しているのは現時点で合計20店舗と、そこまで多くない。だから「なんだぁ〜ウチの近くではやってないじゃん〜」となった人だっているだろうが、嘆くのはまだ早い。俺たちにはサイザリヤがある。サイゼリヤのテイクアウトでこと足るならば、対応店舗が近くになくても何ら問題ないではないか。
そう思い、サイゼリヤのマルゲリータピザと辛味チキンを購入した。持ち帰りならば、2つ合わせて税込680円(マルゲリータ390円、辛味チキン290円)。もちろん、ピザハットのMY BOXも買う。今回は「ピザハット・マルゲリータ」を選んだので、テイクアウトなら税込で756円だ。
この時点で、税金分を含めるとサイゼリヤの方が80円ほど安い。さすがコスパ王サイゼリヤといったところだが、サイズ的なところはどうなのか? 箱を開けて比べてみると……
サイゼリヤのピザってこんなにデカかったっけ? ——と、錯覚してしまうほどの差。客観的に見てサイゼリヤのピザは決して大きくはないが、MY BOXのSサイズピザと比べたらどうしてもそう見えてしまう。
しかも、サイゼリヤでは脇役である辛味チキンも美味い。なんなら主役でもおかしくないクオリティかと思うが、MY BOXのポテト&チキンのポテト等はメインを張るのが難しそう。決して不味いわけではないのだが、ザ・付け合せ感は否めない。
ただ、ピザの味に関してはやはりピザハットが格段に上。生地の食感、具の量、全体のバランス、すべてにおいてサイゼリヤを上回っているように思う。
したがって、とにかくピザの味が大事って人にとっては、ピザハットの方が魅力的に映るに違いない。「コスパ王サイゼリヤであってもMY BOXにはかなわない」的な印象を抱くかもしれない……が!
ここで気になるのは、「とにかくピザの味が大事!」と考えるほどピザ愛の強い人ならば、そもそも付け合せのポテトやチキンなんて不要なのでは? それよりもっとピザを食いたいと思うのでは? サイゼリヤより小さいピザでは不満なのでは? ということ。
だとしたら、MY BOX以外にも良いサービスはいくらでもある。パッと調べただけでも、ピザハットが現在実施しているピザ全品スペシャルプライスキャンペーンを利用すると、ピザ全品をデリバリーなら30%オフ、テイクアウトなら50%オフにできる(2021年1月11日まで / 一部店舗は非対応)。
そのキャンペーンを利用すればSサイズピザの大きさに嘆くこともないし、価格だって安く抑えられる。何より、そこまでピザの味にこだわるならば自分で作るとか、あるいはもう少し高いお金を出して専門店に行くというが選択肢に入ってくるだろう。
そのようなことを言い出すとキリがないので、本記事では「そこそこ美味しいピザをコスパよく楽しみたい人」が多数だとして結論を出したい。お察しの通り、サイゼリヤの圧勝だ。
MY BOXも決して悪くはない。むしろバランスの取れたセットだと思うが、ピザハットは的を絞り切れていない気がした。「やっぱり味も大事だし」「ピザの具なんだからせめてこれくらい」といろいろ狙った結果、悪く言えば中途半端になってしまったのかもしれない。
その点、サイゼリヤの効率性に対する姿勢はハンパない。徹底していると言っていいだろう。無慈悲なほどにコスパの良さを追求している。たとえば、マルゲリータピザの具を見よ!
無駄がないというか、冷静に考えたら「ちょっと寂しい」となっても不思議ではない。だが、サイゼリヤには辛味チキンのように安くても主役を張れそうなものがゴロゴロある。ピザにチキンがついて、ピザハットのMY BOXより安いのだ。つまり、サイゼリヤはなんだかんだで「この値段でこの量なら十分」という気持ちにさせてくれる。
そういう意味で、今回の勝負はサイゼリヤがピザで勝ったというより、総合力で勝ったと言えるだろう。いや、脇役で勝ったと言うべきか。
参考リンク:ピザハット「MY BOX」「ピザ全品30%50%オフ」、サイゼリヤ「テイクアウト(PDF)」
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼なお、サイゼリヤに比べてピザハット(MY BOX)のピザ生地はややモッチリ。
▼それにしても辛味チキン強い。