1つに絞り込むのは難しいが、オードリー・ヘプバーンの代表作といえば、やはり『ローマの休日』は外せないだろう。実在の名所が次々と登場し、もしローマを訪ねたことがあるなら、映画そのままに広がる風景に感動するはず。

イタリアの明るい陽光や、茶色い街並みが思い出されるような気がするが、実際にはスペイン広場で彼女が食べたジェラートが何色だったかはわからない。モノクロ映画だからだ。

この往年の名作を、AIの技術でカラー化する夢のようなプロジェクトが進行中。開始1日にして目標金額の80%を達成してしまうという注目度だ。


・京都大学映画カラー化同好会「十人十色」

現在「Makuake(マクアケ)」でクラウドファウンディングを行っているこの企画、京都大学映画カラー化同好会「十人十色」が立ち上げた。AIと画像処理技術を使って画像や動画データの加工・復元をしているプロジェクトチームなのだそう。

古写真に着色して歴史の1ページをよみがえらせる、という取り組みは最近よく見かけるようになった。カラーになると一気にリアルになり、身近に感じられるのが不思議だ。しかし動画となれば、写真の比ではない膨大な作業量になるのではないか?

同グループによると、AIの力で効率的にカラー化できることに加え、フレームとフレームの間を補間して動画のFPSを倍増させるという。よりなめらかに動く、高品質な映像で作品がよみがえるということだ。最終工程では人間の手による着色の修正も入り、高速化しながらも完成度の高いものができるのだという、

同グループ発表のスケジュールによると、2020年10月下旬にはカラー化を完了。2020年12月下旬にはリターンの発送を始めるというスピード感だ。

なお、映画の権利関係については「国内において2003年に著作権による保護期間が終了しました。付随する権利等に関しましても検討した上で、弁護士への相談もしておりますが、万が一侵害等がございましたら速やかに対応致します」とのこと。


・かなりの注目度

募集は2020年10月25日まで。「お礼のメール・手紙(3000円)」から、「DVD+名シーン集ほか(5万円)」まで複数コースがある。が、前述のとおりわずか1日で目標金額の80%を達成してしまい、リターンの不足が予想されることから補充を検討中とのこと。

DVDは不要で、動画の閲覧だけでよければ5000円のコースもある。2021年末までオンラインで公開予定だという。

プロジェクトページでは着色されたデモ映像やサンプル画像も見られる。映画ファンならずとも、最新の映像技術にびっくりするのでぜひ見てみて欲しい!


参考リンク:Makuake京都大学映画カラー化同好会「十人十色」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.