「まかないで牛丼を食べる際、牛丼の好きなたれの量はどれですか?」 


——2020年7月に吉野家が従業員を対象に実施したアンケートで、このような質問事項があったそうだ。以前の記事で軽く紹介したから、覚えている人もいるかもしれない。で、その結果というのが……


1位:ふつう(41%)
2位:つゆだく(32%)
3位:つゆぬき(13%)
4位:つゆだくだく(7%)
5位:完全つゆぬき(6%)
6位:お皿で一丁(1%)


吉野家の従業員の中でもっとも人気だったのは、ポピュラーな「つゆだく」ではなく、社歴30年以上の社員が行き着くといわれる「つゆぬき」でもなく、「ふつう」。これはつまり、カスタムするよりもデフォが一番ってことだろうか? ……と思う人は多いかと思うが、注目して欲しいのはそこじゃない。

1番下の項目を見て欲しい。6位にランクインしている回答を。そこにあるのは……



「お皿で一丁」!?


……


……

何だこれ?


「つゆだく」や「つゆぬき」と同列に並んでいるけど、いいのだろうか? そもそも、「好きなたれの量は?」という質問の答えとは思えない。それによく見ると、アンケート回答者の1%だけが推している。そこはかとなく漂うニッチな香り。これは……気になる!


・“中の人” に聞いてみた

というわけで、吉野家の “中の人” に「お皿で一丁って何ですか?」と質問をぶつけてみた。その結果をサクっと言うと……



牛皿とご飯


つまり、別々に分けて食べることを「お皿で一丁」と言うらしい。ちなみに、なぜこのように呼ぶのかという理由についても教えてくれたので共有しておこう。“中の人” によれば……


「以前は、牛皿とご飯をご注文いただくと『なみさら一丁(牛皿並盛とご飯)』とオーダーを通したので、そう呼ばれております」


——とのこと。さらに!


「(お皿で一丁は)牛丼のたれをしっかり確認しながら、ご飯の温度や香りも確認できるので、お客様がご注文された場合は、従業員より『吉野家通』と認定される確率が高いです。しっかりと牛肉もご飯も味の確認ができるので、吉野家のベテラン社員に「お皿で一丁派」が存在しています」


・実際にやってみた

メールを読んだ直後、私は最寄りの吉野家に走った。吉野家ベテラン社員の中に「お皿で一丁派閥」アリ! さらに「吉野家通」と認定される確率高し!! ——と分かれば、やらないわけにはいかない。好奇心に引っ張られるように吉野家の店舗へ入り、席に着いた。そして、注文を聞きに来た店員さんに……


「『お皿で一丁』でお願いしていいですか?」


——決まった。覚えたての注文方法ではあるが、店員さん的には「通なヤツ来た!」という気持ちでいっぱいなのだろう。その証拠に、私のセリフを聞いた店員さんの表情は「こいつマジかよ!」と言っている……ような気がする。だがしかし! 

その数秒後に店員さんから発せられたセリフは、私の予想を大きく裏切るものだった。どんな言葉かというと、


「お皿……。サラ………………。ライザップ牛サラダでしょうか?」



私「あぁ……。牛皿とご飯で」


店員さん「かしこまりました」


…………


…………


…………


結論。滑舌が悪い奴は通(つう)にはなれない。そもそも、「通だと思われたい」という気持ちで注文している時点で通ではない。こちらからは以上だ。

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼無理するより、店員さんが分かりやすいように「牛皿とご飯」と伝える方が通なことは間違いない。

▼メールの内容。“中の人” も「お皿で一丁派」らしい。