何事も初めての経験には、多少の勇気とタイミングが必要なもの。つい先日、たまたまその勇気とタイミングが上手く重なり、私(P.K.サンジュン)は生まれて初めて「インド映画」を最初から最後まで鑑賞した。

決してインド映画を毛嫌いしてたワケではなく、むしろ毛嫌いするほどの知識もなかったのだが、映画を鑑賞し終えた後、私の心に残ったのは途方もないインパクトだけ。人生初のインド映画『バーフバリ / 王の凱旋』は、なんだかとんでもない作品であった。

・Netflixで観られる

インド映画にハマっているという知人から「Netflixで観られるよ」とすすめられたものの、当初私は同作を鑑賞する気にならなかった。というのも、わかっているのは2017年に公開された「当時の史上最高額で制作されたインド映画」というだけで、アクションなのかコメディなのかサスペンスなのか、ジャンルさえイメージできなかったからだ。

知人いわく「アクションと……ラブ?」とのことで、さらに言えば「歴史もの」だという。加えて引っ掛かったのが「ファンタジーっぽさもある」という一言。歴史もののアクションラブファンタジー(インド映画)とか……初心者にはハードルが高すぎやしないだろうか?

・マジで超大作らしい

……が、調べてみたところ『バーフバリ / 王の凱旋』はそんじょそこらのインド映画とは違う、インド映画史に残る大傑作であるらしいことがわかってきた。実はこちらの作品は『バーフバリ / 伝説誕生』の続編で、1も2も世界的大ヒットを記録したというのだ。

それは日本でも同様で、あの映画秘宝の「2010年代の映画ベスト10」でバーフバリシリーズは5位にランクイン! (1位はマッドマックス 怒りのデスロード)。さらに新宿ピカデリーなどの劇場では、リクエスト上映が開催されるほど根強い人気を誇っているらしい。

バーフバリは置いておいて、映画秘宝だけはガチ……! 2010年代に何千本の映画が公開されたかは知らないが、その中で5位は快挙すぎる。これは観るしかあるまい……!! というわけで、人生初のインド映画『バーフバリ / 王の凱旋』を鑑賞することになった。

・ストーリーはわかりやすい

ネタバレにならない程度にざっくり説明すると「バーフバリ」は主人公の名前で、彼は次期の王と目される超人格者。国民からも圧倒的な支持を得ており、国王に即位する前に花嫁探しの旅に出る……といった感じの出だしである。

で、ようやく花嫁候補が見つかったかと思いきや、次期王の座を狙う兄とその一味がバーフバリの妨害をする、という内容。基本的には勧善懲悪なので非常にわかりやすく、大筋のストーリーに戸惑うことはなかった……のだが!

ぶっちゃけ、各種シーンや展開には戸惑いまくり、むしろ戸惑いの連続であった。いや、戸惑いという言葉は適切ではないのかもしれない。「ツッコミどころ」と言い換えた方がいいだろうか。特に大きく以下の3点は「マジかよ」「ウソだろ」「なんでや!」と強めにツッコまざるを得なかった。

・その1: やたらとカッコいいシーンが登場する(しかもスローモーション)

バーフバリはとにかく強い。超強い。神懸って強い。劇中に戦闘シーンは幾度となく出てくるのだが、基本はバーフバリ1人いれば何とかなる。「一騎当千」という言葉ですらバーフバリの前では軽いもので「一騎当万」くらい言わないとバーフバリの強さとは釣り合わない。

そして見せ場の「弓を引くシーン」「剣で切りかかるシーン」「相手を弾き飛ばすシーン」などの多くはスローモーションで再現されている。そしてこれがいちいちカッコいい! いわゆる “中二病” 的な描写をここまで差し込んでくる映画を私は知らない。「これいる!?」とツッコみつつも興奮を隠しきれなかった。

・その2: 何かにつけてスケールがデカい

あなたは「盗賊が襲ってくるシーン」と聞いたら、だいたい何人くらいの盗賊をイメージするだろうか? 10人? 50人? 100人? バーフバリで言うところの盗賊は「」である。これが人口1億2千万人と13億人の違いなのか、何につけてもスケールがデカい。

それは土地の広さや人口、金銀財宝などの視覚的なものばかりに限らず、ストーリーの展開も実に大胆である。想定内でありながら想定外。邦画と洋画しか観たことが無い人はド肝を抜かれるであろう「マジかよ感」もインド映画、ひいてはバーフバリの魅力なのだろう。

・その3: 明らかにおかしいヤツがいるのに誰も触れない

ネタバレになってしまうので詳しくはお伝え出来ないが、『バーフバリ / 王の凱旋』には明らかにおかしいヤツが1人だけいる。そいつのためにバーフバリはピンチに陥り、結果的に……なのだが、それでもヤツは最後までほぼ聖人として描かれているのだ。

これは日本とインドの文化の違いなのだろうか? そう思わざるを得ないほど、私はそいつの言動に「おかしいだろ!」と序盤から終盤までツッコミ続けていた。バーフバリ最大の謎であり、最高に納得がいかない点であるものの、そうしないとストーリーが成り立たないし、仕方ないのかなぁ……?


初めてのインド映画は率直におもしろかった。確かにツッコミどころは満載であったが、その大らかさもまたインド映画の魅力なのだろう。少なくとも「観て損した」とは全く思わなかったし、何なら第1作も観てみたい。映画秘宝様が5位にした理由も少しはわかった気がする。

冒頭でもお伝えした通り、何事も初めての経験には、多少の勇気とタイミングが必要なもの。もしあなたにその時が訪れたら「インド映画」もアリなのではなかろうか? 『バーフバリ / 王の凱旋』はNetflixで視聴可能だ。

参考リンク:バーフバリ公式サイト 、 Twitter@eigahiho
Report:P.K.サンジュン
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▼予告編だけでもかなり雰囲気は伝わってくるハズ。