
今をさかのぼること数十年前……「学研の科学」を愛読していた筆者は「アリの巣観察セット」や「カブトエビ飼育セット」をよく楽しんでいた。水生生物を育てたことも何度もあるのだが、どうしても思い出せないことがある。「最後はどうなったんだろう?」ということだ。
親が片付けていたのだと思うが、自然に全滅するのだろうか。まさか生きたままトイレに流したりはしていないと思いたいが、なにぶん汲み取り式トイレの時代のことだ。
もしかして、上手く育てると世代交代してずっと飼えるんじゃないだろうか。長年の疑問を解決すべく、アルテミアの飼育キットを買って育ててみることにした。今回は前編として、飼育開始から1週間の様子をお届けしたい。
・「ちょこっと実験箱 誕生アルテミア フシギなイキモノ観察キット」
キットはエイチ・エヌ・アンド・アソシエイツの「ちょこっと実験箱 誕生アルテミア フシギなイキモノ観察キット」。類似商品は他にもあるが、ケースなしであれば1000〜2000円程度で買えると思う。
アルテミアのタマゴ、アルテミアのエサ、海水のもと、観察用カード型ルーペ、説明書がセットになっている。容器や水温計は自分で用意する。作れる海水が300mlなので、水槽というよりはボトルやプラケースなどの小さな容器になるだろう。
適正水温は22℃〜30℃ということで、かなり温かくないといけない。家の中でもっとも日当たりがよく、明るい部屋を保育室に決めた。
小さな粒の1つ1つが命かぁ……と感慨深く眺めていたら、卵ではなくエサだった。
日光でカルキ抜きをした水を用意。カルキ抜き剤の使用は不可とのこと。
確かに金魚やメダカを入れるのにカルキ抜きは必須だったが、しばらく飼っていなかったので忘れていた。知らなければいきなりドボンと水道水に入れてしまいそうだ。
同梱の「海水のもと」を入れて水を作る。以後の水替えでは、家庭にある塩を溶かして作ればいいとのこと。
アルテミアは別名「ブラインシュリンプ」ともいい、英語でブラインは「塩水」という意味。ただし、海ではなく塩湖に生息しているのだという。日本にはいなく、遠くアメリカやヨーロッパから来たらしい。
世界的にヒットしている人気ゲーム『あつまれ どうぶつの森』にも「アルテミアすいそう」という家具が登場する。薄い縦型の水槽で、観察目的であることがわかる。アルテミアの飼育は世界共通なのだろうか?
準備は整った。説明書では、卵を「入れ過ぎないことがポイント」だと強調されている。孵化する個体が多いと酸欠で死んでしまうのだとか。爪楊枝の先にほんのちょっとつけるだけでいい、とある。
キットには小さじ1杯は入っているから、このさき一生飼える分の卵があるな。
すくすく育て〜!
・わずか20時間後
20時間後、少なくとも2匹の孵化を確認! 溶け残っている塩の粒よりもさらに小さく、写真ではとらえられない。けれど、確かにピョコピョコと動いているものがいる。
底に沈んでしまった塩を溶かしたいが、水をかきまぜてもいいものだろうか? 塩湖にだって水流はあるだろうが、まだ赤ん坊の彼らには隕石の衝突のようなインパクトかもしれない。
かきまぜるのはやめたが、底面の水質が心配だ。普通の海よりもかなり濃い塩分濃度で育つらしいので、大丈夫だと思いたいが……。
さらに20時間後、アルテミアは20匹以上に増えていたので、初めてのご飯。耳かき4分の1程度を4〜5日に1回与えるとのこと。
エサは水面に浮いており、上まで泳いでこられない個体を心配したが、時間とともに自然に沈んでいった。先ほどから「心配、心配」とやたら過保護になっている自分に気づいて怖い。
・3日後……
完全に孵化した。筆者の目には「うじゃうじゃ」と言っていいほどたくさんの半透明の生き物が見える。小さ過ぎて写真に写らず、証明できないのが口惜しい。このままでは筆者にしか見えない幻だといわれても反論できない。
成長の早いものだと1mmくらいにはなっただろうか。底面近くを漂っているのもいれば、かなり上の方まで泳いでこられるのもいる。元気なのをよく見ると、クリオネみたいに羽を広げた形もわかる。
・1週間経過
ほとんどの固体が1mm以上になった! ボトルの中は大変に賑やかだ。
ようやく写真にも写るようになってきた。はっきり言って水中を漂うゴミのように見えるが、目をこらすと泳いでいる姿がわかる。孵化は成功といっていいだろう。
自分が育てていると思うと、ものすごく可愛く見える。ええ、親バカですとも。繰り返すが、はためにはゴミにしか見えない。
・変化があり次第、報告する
類似商品も含めて口コミを見ると「孵化しなかった」という声も見かけたので、ひとまず安心した。説明書によると彼らの寿命は1〜2カ月だという。今後の展開としては、いくつかのパターンが考えられる。
まずは2カ月経たずに全滅した場合。それは筆者の飼い方が何かしら間違っており、飼育失敗ということだ。2つめのパターンとして、1カ月を過ぎて全滅した場合は、天寿をまっとうして一代で終わったということだろう。
そして最後のパターン……これから「明らかに他よりも小さい個体が出てきたり」「2カ月を過ぎても群れが存続していたり」したら、それは繁殖したということだ。今後の展開を注意深く見守っていきたい。変化があり次第、追って報告する。
冨樫さや














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