飲み会、就活、英会話、フィットネス……これまで会場に足を運んで行うのが当たり前だった活動が、「あれ、オンラインでも十分できるじゃん!」ということがどんどん発見されつつある。外出を避ける意味ではもちろん、いろんな事情で自宅から出ることが難しかった人にも、新しい挑戦ができる可能性が広がった。

そんな中、新型コロナウィルスの影響で毎年恒例のいちご狩りを開催できないある観光農園が「オンラインいちごジャム作り教室」を企画。筆者はジャム作り、インスタライブ、料理教室、すべて初めてだったのだが、参加してみたのでその模様をレポートしたい。オンラインで料理を習うメリット、デメリットも分析するぞ。


・「オンラインいちごジャム作り教室」(材料費2700円)

今回の教室はいちごとぶどうの観光農園「美作(みまさか)農園」が主催。つまりいちごのプロが、いちごジャムの作り方を教えてくれる企画だ。

しかもユニークなポイントは、事前に材料一式が届くこと。(材料を購入せずに視聴だけすることも可能)

教室開催の前週にクール便で食材が到着。中には冷凍いちごとトッピング用チョコレート2種、レモン汁、ガラス瓶が入っていた。自分で用意するのは砂糖だけでいい。これは助かる。

いちごはものすごく大きくて立派! ジャムにするのがもったいないくらい。冷凍庫で保管しておいて、前日から解凍を始める。

当日はInstagramのライブ機能で配信されるので、事前に同農園のアカウントをフォローしておく。


・当日の流れ

当日はパソコンなどInstagramを表示できるものと、鍋、ヘラ、おたまをスタンバイ。ライブだと思うと、待っている時間がすごくドキドキする! 思わず時計を凝視しながら心の中でカウントダウンしてしまった。

始まった! いちごハウスの中から生配信! 画面の向こうにリアルタイムで相手がいるというのは、録画番組との大きな違い。今この瞬間を共有している一体感がすごい。なんと美作農園は遠く岡山県の農園なのだ。

なお、視聴者からは文字入力でコメントを送ることはできるが、直接こちらの映像を届けたり、話しかけたりすることはできない。

それではジャムを作っていきます。


鍋にいちごを入れて、砂糖と一緒に煮込む。基本はこれだけ。


なのだけど、筆者は料理に不慣れで、熟練の講師陣とは作業スピードが全然違う。「あれ、鍋のフタはどこだ!?」「火加減はどれくらい?」とワタワタしているうちに、教室は流れるように進んでいく。

農園紹介もあったのだけれど、自分の鍋を見ているので手一杯で、とても注意を向ける余裕がない。背後でヤギのベリー園長がいちごを食べているサービスショットもあったというのに!!

煮込み中には、小さなお子さんでもできるようにということで、いちごアイスのトッピングも行った。

チョコレートはすぐ湯煎(ゆせん)できるようにパッキングされていて、そのまま絞り袋になる。とても便利。

好きなようにチョコレートを絞る。同梱のチョコはたっぷりで、捨てるのがもったいなかったのでビジュアル無視の大盛りにしてしまった。

そうこうしているうちにジャムが煮詰まってくる。レモン汁を入れて、あとは瓶に詰めるだけ。2瓶にみっちり詰めて、少し余るくらいの分量。

できた〜!


作業時間は20分ほどだろうか? 初めての手作りジャム!! 普段からお菓子作りなどをしている人には特別なことではないかもしれないが、筆者には感激の瞬間だ! まさか自分がジャムを作る日が来るとは!


・食べてみた

翌日、さっそくパンやヨーグルトと一緒に食べてみた。

保存料も着色料も一切なし、いちご本来の甘酸っぱさが広がる。

具だくさんで「いちごそのもの」を食べているみたいだ。はっきり言って、激うま!

自分で作ったという心理的効果が加わっているのかもしれないけれど、今までの人生で食べたジャムの中で1番うまい。

大粒いちご丸ごとアイスも、シャリシャリで美味しい。体験料込みだと考えると、これ全部で2700円(税込・送料込)は破格だと思った。


・オンライン料理教室のメリット・デメリット

今回の体験に限らず、オンライン料理教室は「あり」だと確信した。むしろどんどん習いたい! 定員オーバーもないし、自分の不慣れっぷりをさらして恥ずかしい思いをすることもない。パジャマでもステテコでも参加できる。会場は使い慣れた自分のキッチンだ。

今回、材料がセットになっていたのは筆者としてはとてもよかった。そもそも料理を初めて「習おう」と思う人にとって、食材を自分で用意する時点でハードルが高いのだ。例えば地元では手に入らないような珍しい材料が届いたりすれば面白いと思う。

料理動画はYouTubeなどでもたくさんあるかもしれないが、ライブはやはりワクワク感があっていい。日時を合わせる大変さはあるが、画面の向こうの講師を身近に感じるし、ファンになってしまう。遠く離れたところに「知っている農園」ができた気分。インターネットのおかげで本当に「世界はひとつ」という感じがする。

ただし、デメリットもある。画面を見ながら、かつ自分の手元を見ながらというのはかなり忙しい。1つでも事前準備を忘れた道具や材料があったらその時点で遅れてしまう。例えば「調味料○○g」と言われたときに、その場で計っていては教室は先へ進んでしまうことになる。

なので、あらかじめレシピの予習が入念にできると初心者にはありがたい。流れが頭に入っていて、重要なポイントだけ、例えば火加減や鍋の中の様子などを画面で実際に確認できる、というのが理想だろう。もし双方向の配信サービスを使えば、参加人数は限られてしまうが講師に質問したり、自分の鍋を見てもらうこともできる。


・意欲的な企画だった

全国で外出自粛が求められた今春、いちご狩りへ来た気分を少しでも味わってほしい、というこの企画。観光業界にとっても大打撃だったと思うが、ピンチをチャンスに変える創意工夫にあふれた素晴らしいアイディアだった。

ちなみに、ライブ映像は後からでも見直すことができたので、農園紹介やベリーちゃんは調理後に改めて確認した。ヤギ園長に会いに、いつかリアルで農園の方にも遊びに行ってみたい。


参考リンク:美作農園
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.