このたびフロリダで、これまでに記録されている限りでは生物史上最大級の便秘を患ったトカゲが発見されたもよう。しかも、その便秘レベルがぶっちぎりで半端ない。

どれくらい半端ないかと言うと、科学者に発見された時には体重の約80%がうんこだったのだとか。平常時の体重が50キロの人間で例えるなら、便秘の果てに体重が250キロ(体内のうんこが200キロ)になるようなもの。めっちゃ苦しそう。この哀れなトカゲに何が起きたのか、詳しくお伝えしよう。

・ゼンマイトカゲ

今回記録的な便秘で発見されたトカゲは、フロリダではよく見られるゼンマイトカゲの仲間。フロリダ自然史博物館やLive Scienceが報じるところによると、発見したのはフロリダ大学のNatalie Claunch氏。見つけた当初は、妊娠しているのかと思ったそうだ。



しかし触った感触から違和感を覚え、トカゲをCTスキャンへ。すると体内のほとんどがうんこで占められていることが判明したそう。もはや体内には心臓や肺、肝臓のためのスペースしか残されていない状態だったとか。ちなみに卵の場合は大きなジェリービーンズみたいな感触だそうだ。


・ピザの油

悲しいことだが、研究者たちはもはや助ける術はないと判断し、トカゲを安楽死させたとのこと。解剖したところ、うんこによる圧迫でトカゲの内臓は萎縮していたことが判明。トカゲの体重が約28グラムだったのに対し、体内のうんこは約22グラムに達していたそうだ。

また、致命的な便秘の原因には、このトカゲが住んでいたフロリダはココアビーチ周辺のピザ屋が深く関係していたことも明らかに。と言ってもトカゲがピザを食べたわけではなく、ピザの油でギトついた砂を飲み込んでしまっていたのが全ての始まりだったのだとか。

トカゲが虫や他の小型のトカゲなどの獲物を食べる際に、多少の砂も飲んでしまうのはよくあること。通常ならそのまま排泄されるため、トカゲにとって特に問題は無い。しかしピザの油でギトついた砂は、トカゲのお腹の中でくっつき合い、次第に肥大化。

ついには自力で排泄することができないサイズとなり、トカゲは便秘に。それでもトカゲは食事をするため、体内のうんこは増え続けてしまう。その果てに、今回の記録的かつ致命的な便秘レベルに至った……というのが事の経緯だと考えられている。

体内のうんこは栄養素をすっかり吸収されつくされており、もはや物理的に食べ物が入るスペースも無いことから、トカゲは飢えていただろうと目されている。まあ、空腹感はなかったかもしれないが。

ちなみにフロリダ自然史博物館ではCTスキャンの結果をもとに作成した3Dモデルを公開中。トカゲの体内に、いかに膨大な量のうんこが詰まっていたのかを360度好きな方向から見ることができる。

参照元:フロリダ自然史博物館Live Science(英語)、Instagram @floridamuseum
執筆:江川資具
Photo:WikimediaCommons