大阪において笑いは武器。私(中澤)も大阪出身なのだが、学校ではイケメンより面白いヤツの方が人気だったりした。「イケメンでも面白くないとダメ」という価値観が確かに存在する。そこで、大阪人はみな幼き頃より笑いをある程度嗜んでいるのだ。
この伝統のトップに位置するのが漫才師。漫才師はみな尊敬の対象であるが、中でも「天才」との呼び声が高い漫才師が日常を描いたマンガがある。その名も『パパは漫才師』。これがなかなか泣けるのである。
・大阪で「天才」と呼ばれた漫才師
大阪に生まれたからには、漫才と阪神ファンに関わらずに育つのは不可能だ。小・中・高の担任の先生の中に必ず猛烈な阪神ファンが1人はいる。そして、クラスに1人は猛烈なお笑い好きがいるものなのだ。
そんなお笑い好きたちが、結構な勢いで「天才」と推していたのがシャンプーハット・小出水さん(現在はこいでに改名)である。その影響か、私もこいでさんの持つ唯一無二の世界観は天才的だと思う。オーマイガット出水トゥギャ樹が東京のテレビにほぼ出ないのが悲しい。
・「サンデーうぇぶり」で連載
『パパは漫才師』は、こいでさんが描いているマンガで、マンガアプリ『サンデーうぇぶり』で連載中。アプリ上では4月23日現在、95幕までが公開されており、4月30日まで2巻分39幕までが無料公開となっている。
それ以降はチケットやコインを使って読むわけだが、チケットは1日に1枚配布されるため、待っていれば無料で読み進められるわけだ。
・噂の嫁
子供3人と嫁との5人家族の日常がメインで描かれる本作。こいでさんの嫁と言えば、面白い人なことで一部では有名だ。私が大阪にいた13年くらい前からたまに芸人さんのトークで名前があがっていたことを覚えている。
マンガを読むと「これが噂の嫁はんか」と感動すら覚えた。芸人さんが「面白い」というのも分かる気がする。さらに3歳、4歳、6歳の子供は、幼児ならではのフリーダムさがあふれ出しており、あのこいでさんが真人間に見えるレベルだ。
・漫才師ならではの目線と愛
そんなファン心理を抜きにしても、家族を見る目線の端々には漫才師ならではの切り口が感じられる。優しい世界かつシュールな雰囲気がシャンプーハットの漫才のようだ。
それでいて、第11幕「三角定規」第47幕「子供番組」などはなんとなくじんわり来る。子供のような純粋さを持ち続けているからこそ描ける雰囲気だと思った。
大人って何だろうか? 子供に驚かされながら、時には大人げなく怒りながらも、親としての日々を紡ぐ『パパは漫才師』を見ていると、そんなことを考えずにはいられない。
なお、本作は現在5巻までがコミックス化されているが、前述の通り、アプリで無料で読むこともできる。1話が短く少しだけ空いた時間にも最適なので、お暇な時に試しに読んでみてくれ。
参照元:Instagram @shampoohatkoide、サンデーうぇぶり
執筆:中澤星児