カレーの隠し味にハチミツ、これ古来より定番。ポイントはルーより前に入れて煮込むことで、後から入れると小麦粉のデンプン質が分解してとろみがなくなってしまう。うっかり後入れしてシャバシャバカレーになってしまった経験もお持ちかもしれない。

一方、高温でぐつぐつ煮ると、とろみは残るのだがハチミツの風味は失われてしまう。この難しさから、ハチミツはあくまで隠し味で、メインにはなり得ない……と思っていたのだが、東北の養蜂農家から『山のはちみつカレー』なるレトルトカレーが誕生した。

開発したのは以前にもご紹介した『山のはちみつ屋』というなんともラブリーな名前の会社で、秋田県の山間部で養蜂を営むハチミツ専門店だ。まさしく “ハチミツの専門家” と言える。


・さっそく買ってみた

外箱も絵本のように可愛らしく、本棚に立てておきたいようなパッケージ。イラストは「みっちぃ」という公式キャラクターだ。1人前200g入りで税込864円。レトルトカレーとしては高級品と言えるだろう。

作り方は簡単、レンジでチンするか、湯せんをする。

開封すると、ゴロゴロと豚肉が出てきた!

というのも前述の『山のはちみつ屋』はハチミツやハチミツ加工品の専門店なのだが、食事ができるピザレストランが併設されている。そこの人気No.1メニューが「はちみつポークのピザ」。秋田県産「八幡平ポーク」の自家製ローストポークが具材として使われている。

ローストポークの調理時には端肉が出る。その端肉を使った「まかないカレー」がスタッフに大好評なんだそうだ。そう、まかないから生まれた商品が今回ご紹介する『山のはちみつカレー』。まかないって、それだけですごく旨そうに感じる。お客さんには内緒のスタッフだけの特権、みたいな?

色はかなり黄色っぽい。「仕上げに入れるのが倉持シェフ(同店のピザ職人)流」とのことで、最後にハチミツが入っているようだが、ちゃんととろみがある。


・食べてみよう

では、いただきます……


甘い! まったく辛くない。小さな子どもでも確実に食べられる。すごくすごくマイルドで優しい味。カレーじゃないみたい。この味、どこかで……

小さい頃に食べた「カレーの王子さま」だ! 「離乳食が終わったお子さまの “はじめてのカレー” に」と謳う同商品は、1歳くらいから始まり、普通の甘口に移行するまでの、ごくごく短い期間しかお世話にならない。「人生甘くないんだ」と言わんばかりに、すぐに家族と同じカレーになったお宅も多いだろう。

しかし『山のはちみつカレー』は、いい大人になった筆者のことをも大きな愛で包みこむような、穏やかさと優しさを全面に感じる。カレーらしい刺激はまっっったくない。

これもしかして……足しミツしたら美味しいんじゃない? お土産に買っておいた秋田県産のハチミツありますよ。

トロ〜リ……

旨い! グッとコクが出て、足しミツお勧め。


・甘いカレーが好きなら

筆者はココイチの『とろ~り甘くなるソース』が大好きで、卓上にあれば必ず使うのだが、人を選ぶ調味料であることを知っている。カレーが甘くなることはもちろん、あろうことかライスがシロップで甘くなることを許せない人も多いはずだ。

もし甘いカレーが好きなら、『山のはちみつカレー』+ハチミツをお試しあれ。筆者が買った秋田県産ハチミツはアカシヤ、トチ、里山の百花蜜の3種セットだが、ローストポークに使われているのはアカシヤ。サラサラして上品な甘さで、カレーにも合う。一方のトチは粘度が高く、こってりした濃厚な甘さ。百花蜜はどこか野性的で独特の匂いがし、個性が強い味だ。

ぜひ秋田県の店舗でハチミツとともに買い求めていただきたい……と言いたいところだが、あまりに遠すぎるという方のためにオンラインショップもある。今や希少品になってしまった国産ハチミツも並んでいるのが嬉しい。

ちなみに、カレーは子どもでも食べられる優しい味だが、1歳未満の乳児のハチミツ摂取は「乳児ボツリヌス症」のリスクがあるため注意して欲しい。お酒は20歳を過ぎてから。ハチミツは1歳を過ぎてから!


参考リンク:山のはちみつ屋、厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.