これまでシリーズでお伝えしてきた「レトロゲーム売上ランキング」。ファミコン編・スーファミ編はともかくとして、『プレイステーション(通称プレステ)』を “レトロ” と呼ぶには少し早いんじゃないか……と思うのは私が現在30代半ばだからだろうか?
私がようやく自費でゲームソフトを買えるようになったのはプレステ全盛期のころ。冒険の果てにたくさんの名作ゲーム、星の数ほどの「クソゲー」にも出会った。どちらもよき思い出だ。
「現在のプレステ売上ランキング」は予想外のランクインも目立つ結果となった。全部持ってる人はけっこうスゴイ!
・トップ5を発表
今回も協力してくれたのは『レトロげーむキャンプ』秋葉原店。
……の、わずか2軒隣には同じ店の『ダンジョン店』がある。こちらは買取をメインに行っているぞ!
話をきかせてくれた田中さんは取材中も「たまごっち」を器用に修理している様子だ。レトロゲームは限りある資源。こうした職人の技術があってこそ、令和を生きる我々は懐かしのゲームをプレイできているのである。感謝の気持ちを忘れてはならない。
田中さん「プレステソフトの売上はこんな感じです」
1位:メタルギア ソリッド
2位:バイオハザード
(※シリーズ1、2、3の売上はほぼ同等。まとめて買っていく客が非常に多いとのこと)
3位:ファイナルファンタジー7
4位:サイレントヒル
5位:悪魔城ドラキュラ
・ホラー系強し……!
なんとトップ5中3タイトルがホラー系という結果に! ……と、思ったら『悪魔城ドラキュラ』は “見た目がホラーっぽいアクションゲーム” であるとのことだ。『サイレントヒル』と並んで存在だけは辛うじて知っていたものの、人気作という認識は正直全くなかった。
私のような小型の心臓を所有する者にとってみれば『メタルギア』だってホラーに近い。なんなら『FF7』も近代的かつリアルに進化していて当時は怖かったため、ホラーでないとは言い切れない気もするぞ。みんなスリルが好きなんだなァ……。
それにしても当時そこまで大量に出回ったとも思えないソフトを、現在いかにして仕入れているのだろうか?
田中さん「持ち込みの買い取りがメインですが、どうしても必要なものはオークションで探したりすることもありますね」
──どうしても必要な場合とは?
田中さん「例えばお客さんから “このソフトはないか?” と言われることが何回か続くと、じゃあ試しに値段が高くても仕入れてみるか……とかね。国内と海外で人気作が違ったりもするので、市場の様子を見ながらそのつど判断しています」
──へぇ! 今後値段上がりそうなのとかあります?
田中さん「外国人によく聞かれるのが、プレステの『スパイロ・ザ・ドラゴン』っていうやつとか。向こうでは人気あるみたいなんですけど日本ではサッパリ……(笑)。以前は正直すごく安かったんですが、最近値段が上がってきていますね」
──なるほど……うまくすれば投資になるかも!? ちなみにこのお店で一番高いプレステソフトは?
田中さん「え〜と……軒並み売れちゃってるみたいで……今日のところは『アーケードギアーズ(2万2300円)』でしょうか」
──『マリーのアトリエ(筆者のベストプレステソフト)』はどうでしょうか?
田中さん「人気があるかないかで言えばある、っていう感じですかね。この作品はシリーズ通して人気です」
・トラウマと対峙
トップ5中には個人的に非常に思い出深い作品が含まれていた。『バイオハザード2』……正確には思い出というより強烈なトラウマである。
当時開始30分で自力プレイを放棄したにもかかわらず、この作品のせいで私は「窓の外を見るのが怖い」という症状を今でも患っているのだ。
今回あえて私は『バイオ2』を購入し、トラウマ克服に挑戦することにした。途中で気絶する危険性も考慮して、当サイトメンバーに見守ってもらいつつプレイ開始だ。
『レオン編』のディスクを入れるとオドロオドロしいプロローグが流れ……
ギェー! さっそくゾンビ登場!!!
あれっ、どうやって動くんだっけ? とかやってるうちにゾンビに噛み付かれ……
死んだァーーーーー!!!!!
画面には懐かしい「YOU DIED」の血文字。開始1分でゲームオーバーである。ここまでキッパリ「あなたは死んだ」と言い切られることに、当時は言い知れぬ恐怖を感じたものだ。せめて「レオンは死んだ」としてくれればいいものを……。
気を取り直して操作方法を確認した私は、全力でゾンビから逃げる作戦にでた。
逃げに逃げて……
ムービーは癒しの時間……
さらに逃げて……
やむを得ない場合は発砲……
何かが起きると分かっているのに進まなければならない恐怖……
バイオシリーズのお家芸「ギーと開く扉」の場面では瞳を閉じて……
ようやく物語の舞台である警察署に到着!
さあ、ここまでくればもう佳境だ。この後の展開こそが私のトラウマ。個人的「バイオ2で1番怖いシーン」である。深く深呼吸して挑むことにしよう。いくぞ……
セーブポイントのある部屋でホッとしたレオン。
ついたての向こうが次の扉だ。緊張も緩み、ノンビリと歩いてゆく…………さぁ、来るぞ来るぞ……次だ…………!
デターーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!
通常のゾンビとは違うバケモノがヤモリのようにニョロリと移動する様子が、窓の外に一瞬だけ見えちゃってる!!! 見えちゃってるよォォォォォ!!!!!
ここでポイントとなるのが「レオンはこのことに気付いていない」という点だ。バケモノが向かうのはこの後レオンが進む方向……ということは……。
この後バケモノと出会う運命を、プレイヤー(自分)だけが事前に知るという演出なのである!
バケモノ遭遇が120%確定しているにもかかわらず、肝心のレオンが気付いていないうえ進む道はひとつだ。辛すぎる運命にひとしきり泣いたあと、意を決して扉を開ければ天井からポタリと水滴……ギョェー!
さっきのバケモノ!!!
……が登場してしまえば、実は意外とそこまで怖くない。恐怖の根本は「 “いつか来る” と分かっている状態」にこそあるのだから。この演出を考えた人物は狂気に近い才能の持ち主に違いない。あ〜怖かった……!
他にも当時うっかりプレイした『かまいたちの夜』や『サイレン 』といったホラーゲーム。どれも開始1時間足らずで封印したけれど、今でも思い出すとトイレにも行けなくなるほど怖かったものだ。あの頃は良質なホラーゲームが量産された時期なのだろう。
怖いものを作るには「何が怖いか」を熟知していなければならない。ってことはつまり「怖がりの人」こそが良いホラーを作り出せるという仮説が成り立つワケだが……作ってて怖くなっちゃったりしないのだろうか?
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 レトロげーむキャンプ秋葉原店
住所 東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC
時間 11:00〜20:00
定休日 無休
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.