できることなら何事も、白黒ハッキリつけてサッパリと生きていきたいものだが、世の中にはどうしたって白にも黒にもならないことがある。いわゆる “グレー” というヤツだ。グレーは見方によって色が変わりやすいためモヤモヤすることが多いが、こんなケースはどうだろう?

今回みなさんに聞いて欲しいのは「席が空いてるのに客を通さない店」vs「それに食ってかかる客」である。さあ、どちらが悪くてどちらが正しいのか? それともやはりグレーなのか? あなたはどう思うだろうか?

・さっきあった実話

この話はまさについさっき、私が目撃した実話である。ランチをしようと比較的最近できた小綺麗な店に出かけたところ、「席が空いてるのに客を通さない店」vs「それに食ってかかる客」が目の前で繰り広げられたのだ。

お店に到着したのは営業開始の5分ほど前。すでに10人ほどが並んでおり、私もその最後尾に1人で並んでいた。とはいえ入店できるかの心配はナッシング。なぜならこの店は座席数が多く(70席以上)、開店直後なら余裕で入店できると思っていたからである。

いよいよ店が開店し「4名様ですね、あちらの席へどうぞ」とか「2名様、窓際のテーブル席へどうぞ」なんて客が続々と入店する中、私の前の2名が「少々お外でお待ちください」と止められた。まだまだ席には余裕があるハズなのに……である。

ただ、飲食店でこんなことはしょっちゅうあるので、実際に私はいささかも気にしていなかった。オペレーションを行き届かせるためスタッフが対応できる席数のみ解放する店もあるし、何より店のルールがあるのだろう。どうせすぐ通される……と思っていたところ、やはり1分ほどで着席できた。

・食ってかかる客登場

んでもって、問題はここからである。注文を済ませカウンター席に座っていたところ、今回のある意味で主役「クリエイター風の男性(40代くらい)」が入店してきたのだ。店員さんが「申し訳ありません、お声がけするまでお外で少々お待ちください」と告げたところ……


「え、なんで? 空いてるじゃん? 座れるじゃん?」


……と食ってかかったのである。にぎやかな店内でもそれなりにハッキリ聞こえるくらい、男性の声はボリューム大きめ。店員さんが「すぐにお席を用意してお声がけしますので……」と告げても「なんで外なの? 放り出されてるみたいじゃん」などと食い下がっている。

結局、店員さんが折れる形で空いているカウンター席にお客を通し、この件はとりあえず終わったのだが、「席が空いてるのに客を通さない店」と「それに食ってかかる客」、果たしてどちらに落ち度があったのだろうか?

・個人的な見解

私の考えをごくごく柔らかく、妖精風のニュアンスで表すならば、


「およよ~? 変なお客さんですねぇ~? ちょっとだけ待てばすぐに座れますから怒らないでくだちゃい~☆ なんか変な空気になっちゃってまちゅよ~☆ 怒り虫さん、飛んでいけ~☆」


……となる。口汚く言うならば、


「すぐ座れるんだから黙って従えや。お前のせいでメシがマズくなるだろ。イヤなら帰れ、カス


……となる。つまり、私としては「確かに席は空いてるけれど、店のルールがあるんでしょ。イヤなら帰ればいいじゃん。入りたいなら店に従おうよ」という意見だ。

ただ1点だけ男性に同情するならば、待つのは “お外” じゃなくてもいい気がした。開店直後ということもあり、店の入り口は男性以外にいなかったし、ましてや冬場は室内の方がイイに決まっている。店側が「行列を演出したい思惑」があったかどうかは知らないが、少なくともお客さんに優しくはない

・思い出したい言葉

最終的には、男性の物の言い方と態度の問題も含まれてくるのだろうが、これは白黒つけられる案件なのだろうか? 私はお客側に落ち度があると思ったが、店側も完璧な対応だったかはやや疑問の残るところだ。つまり、グレー……なのだろうか?

もう1点、こうした接客絡みの話になったときは、有吉弘行さんの名言「お客様は神様です……って客が言うな、バカ」を思い出したい。店員さんに食ってかかった男性の心中に、少なからず “お客様は神様です精神” はなかっただろうか? 人のふり見て我がふり直せ──。ともあれ謙虚に生きていきたいものだ。

というわけで、この場で白黒ジャッジはできないが、あなたならどう思うだろうか? 私は客側の目線で話しているが、もしかしたら店側の立場なら「席が空いてるのにお客さんを待たせるなんて言語道断!」なんて意見もあるかもしれない。それも含め、きっとこの件はグレー……なのだろう。モヤモヤ。

執筆:P.K.サンジュン
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.