ここしばらく、新宿区のとある豆腐屋が話題だ。ネットやテレビでご覧になった方もいるだろう。地域の学校に給食用の豆腐をおろしていたものの、新型コロナウィルスの影響で休校に。そのため予定されていた売り上げが吹っ飛んでしまった土佐屋豆腐店である。

何とかしようと急遽ドーナツを売ることをTwitterに書き込んだところ、ツイートがバズってワイドショーに取り上げられるなど、時の人ならぬ時の豆腐屋状態。ドーナツの販売目標はトータルで1万個。気になったので行ってきたぞ!

・1個120円

最寄りの駅は都営大江戸線の落合南長崎で、そこから住宅街を10分程度歩いたところにある。古き良き「地元の豆腐屋」的な感じ。


店先でお客さんの相手をしていたのは、川田マナブさん。ドーナツのアイディアを思いつき、運営しているTwitterで広めたご本人だ。元芸人という経歴の持ち主でもある。


注目されるきっかけとなったのは、2020年3月2日に投稿されたツイート。それから数日が経過した記事執筆時(2020年3月6日)まで連日その日の分は完売と順調。筆者が訪れた時は、前日までと比べれば割と落ち着いてきた方だとか。


それでも見ている間は客足が途絶えることが無く、常に何人かがドーナツなり豆腐関連商品を購入しにきていた。ネットの力もあるかとは思うが、割と常連な感じの人も多い雰囲気。きっと普段から地域住民に愛されている店なのだろう。

筆者も話題のドーナツをとりあえず5個購入。1個120円だ。豆乳やおからなどが入った、豆腐屋感のあるドーナツ。


味は素朴でほのかな甘さがくどくなくて美味い。普通のドーナツと比べて弾力があり、腹持ちが良さそうな気配。何日も連続で売り切れるだけのことはある。ゴリゴリに甘くないので何個も余裕でいける。5個買ったが一瞬で食べてしまった。


・ドーナツ以外

……とまあ、ここまではもう色々なところで語られたかと思う。ところで、当たり前の話だが、土佐屋豆腐店は豆腐屋である。昨今めっきりと減ってしまった個人経営の豆腐屋

スーパーに行けば1パック80円とかで買えてしまう時代だしな。そんな中で生き残っているということは、その辺の豆腐よりも美味いからだろう。これは食べてみなければならない。ということでドーナツ以外の商品を見てみると……

寄せ豆腐、焼き豆腐、もめん豆腐といった豆腐類。他には豆乳、大豆、油揚げ生揚げなど、色々と大豆由来の製品が売られている。


豆腐屋だし、豆腐はマストよな。ようし、寄せ豆腐(260円)にしよう。寄せ豆腐というものを食べたことが無かったので。というか、寄せ豆腐自体初めて知りました。


もう一つ気になるのが がんもどき。大、中、小とサイズ展開されているが、その辺の がんもどき よりデカい。そして分厚い気がする。まるで がんもどきが主食の民族向けみたいなボリューム。これは尋常ではない。ようし、購入するしかあるまい。サイズは大で。


・寄せ豆腐

まずは寄せ豆腐からいってみよう。とりあえずそのまま食べてみることに。


おぉ、豆腐って本当に大豆からできてるんですね……。いやまあ、当たり前の話で申し訳ない。しかしよく考えてみてほしい。その辺のスーパーの豆腐から、がっつりと大豆の味がすることなどあるだろうか?

筆者の味覚はどう考えても良くない方だが、豆腐から大豆を感じたことなど無い。ぶっちゃけると、豆腐に味を感じたことも無い。無味無臭の白くて柔らかいカタマリという認識しかない。いやもう食べ物という認識より、バイオハザード2の隠しキャラという印象の方が強いかもしれない

それがどうだ。この寄せ豆腐というものは実に大豆じゃないか。匂いも凄い大豆感がある。大豆のムースみたいだ。凄いなぁ。人生初の寄せ豆腐なので、美味さの判断基準をどこに置くべきなのかよくわからない。しかし、とりあえず産まれて初めて豆腐に味を感じた。美味いぞこれは。


・がんもどき

続いてがんもどきである。これについては、買う時に川田さんから食べ方を聞いてある。焼くといいとのことだった。ぶっちゃけがんもどきも、もしかしたら小学生とかの頃以来な可能性がある。

そんな貧弱ながんもどき経験ではあるが、やはり土佐屋豆腐店のがんもどきがデカいということは分かる。おでんの大根よりもデカい。ちなみに、焼いたら表面がパリパリになった。


とりあえず割ってみると、中に色々入っているもよう。かじってみると、ザクザクと野菜感がある。具が何なのか判別できる味覚は無いので正体は不明。しかし、豆腐製野菜ハンバーグ的な感じで、圧倒的に「モノが違う」感がある


筆者の知るがんもどきとは、せいぜいが椎茸よりも一回りくらい大きいサイズで、やる気のないフニフニした食感のものだ。ふてくされた厚揚げを丸くしたみたいな。しかし土佐屋豆腐店の厚揚げの、尋常ならざるザクザク感よ


・お酒によく合うんですよ

とりあえず検分はこの辺にして、しっかり堪能するとしよう。まずはお店で推奨されたとおりに醤油をかける。寄せ豆腐にはワサビか生姜なんかもあったら良かった気がするが、残念ながら無かったので醤油だけで頂くことに。


次に、焼酎などを用意。こいつはマストだろう。


そして、おもむろに分厚いがんもどきをかじり


寄せ豆腐をチュルリとやりながら、焼酎を飲む。


何か洒落た食べ方を紹介できれば良かったのだろうが、まあそれはそれ。料理が得意な方にお任せしよう。筆者が推すのは、焼いて醤油をかけたがんもどきと、寄せ豆腐、そして焼酎である。これが素晴らしく合うのだ。豆腐屋というのは、酒のつまみをゲットするのに実にいい場所なのだな

特にがんもどきだが、5個くらい買えばよかったと後悔している。デカいのでそんなに何個もいらないと思っていたが、実際には無限に食っていられる。ザクザクしてて香ばしくて止まらない。

この調子なら、普通に木綿豆腐なんかを買っても良かっただろう。さて、ドーナツで土佐屋豆腐店を知って、実際に足を運んだりしている皆さん。寄せ豆腐とがんもどきはとても良かったですよ。特にがんもどきは、一番デカいのを何個か買って焼いて酒と共に頂くと最高です。

・今回ご紹介したお店の詳細データ

店名 土佐屋豆腐店
住所 東京都新宿区西落合2-6-4
営業時間 11:00~19:00(昼休憩あり)
定休日 日曜、年始、ほか

参考リンク:土佐屋豆腐店、Twitter @TokyoTOSAYA
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼途中で電車が置いてあった。西落合の散歩コースとか、がんもどきや寄せ豆腐を美味く活かせるメニューとかあると盛り上がるかもしれない。

▼ちなみに焼酎は青ヶ島焼酎の「青酎」ってやつ。伊豆諸島の青ヶ島の焼酎。これも美味しい。

日本、〒161-0031 東京都新宿区西落合2丁目6−4