2019年に公開された映画「ターミネーター」シリーズ最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』をみなさんはご覧になっただろうか? サラ・コナーの復活、ジェームズ・キャメロンの制作復帰……などなど、何かと話題になったあの作品である。

海外での評判はイマイチだったようだが、個人的には「アクション映画はこうあるべき」と感じるほど、最高に楽しめたことは以前の記事でお伝えした。今回お話させていただきたいのは我が父。My Fatherヨシオさん(70代)が同作を鑑賞しに劇場に足を運んだものの「ラスト15分を見なかった」というのだ。その理由に……全俺が泣いた。

・映画大好きヨシオさん

私(P.K.サンジュン)が幼い頃から、映画館にはよく連れて行ってくれた父、ヨシオさん。当時、父が新宿に事務所を構えていた関係で「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」「バットマン」「エイリアン2」などは、新宿コマ劇場で鑑賞した記憶がある。


年老いてからも父の映画好きは変わることなく、今でも60歳以上は割引きになる「シルバー割」を活用し、しょっちゅう映画館に出かけているようだ。週1ペースで映画館に足を運んでいることを考えると、私より遥かに多くの作品を鑑賞していることになる。

・アクション大好きヨシオさん

さて、そのヨシオさんが好きなジャンルはズバリ「アクション」である。むしろ「アクション専門」と断言してしまってもいいかもしれない。父は邦画は基本的に観ず「ハリウッド系アクション映画」が大好物。ミーハーと言われればそれまでだが、事実だから仕方ない。

さらに言うと、どれだけアクションが素晴らしくても “バッドエンド” だった時点でヨシオさんの採点では「0点の映画」となる。過去にその理由を尋ねたところ「なんで金払って観に行ってるのにイヤな気持ちで終わらなきゃならないんだ!」とややギレしていたものだ。

つまり、ヨシオさんの好きな映画は「ミッション・イン・ポッシブル」「トランスポーター」「ボーン・アイデンティティー」などの、わっかりやすーーーいアクション作品ということ。中でも「ミッション・イン・ポッシブル3」に関しては「もう10回以上レンタルしてる」とのことである。いや、もう買えよ。

・ラスト15分を観なかったヨシオさん

本題に入ろう。ヨシオさんの傾向からすると『ターミネーター:ニュー・フェイト』は大好物であり、事実『ターミネーター2』は数えきれないほど鑑賞している。一足先に同作を観た私は父に絶対の自信を持って勧めた。「ターミネーター:ニュー・フェイト、父ちゃん絶対に好きだから観た方がいいよ」と──。

んでもって、ちょいと月日が流れたつい先日のことである。親族で食事をしていたところ、父が唐突に話しかけてきた。「ターミネーターのラスト15分どうなったんだ?」と。以下で再現しよう。


「サンジュン。ターミネーターの新しいヤツ、あれ結局どうなったんだ?」

──ん? 観たの?

「観たよ」

──んん? 観たんでしょ? アレそんなに余韻を残した謎っぽい終わり方だったっけ?

「最後の15分だけ観てないんだよ」

──え? どういうこと? 映画館まで行って最後の15分観てないの? 1番盛り上がるところじゃん。

「そんなことはわかってるんだよ。いいから、どうなったんだよ?」

──だから〇▼×※★〇▼×※★(ネタバレ)で終わったよ。

「そうか……」

──いや、ちょっと待って。なんでラスト15分観てないの? 珍しくない? 普通は観るでしょ。なんでなんで? 

「…………」

──え、無視? なんでなんで? なんでラスト15分観なかったのさ?


「オシッコが我慢できなかったんだよ!」



まさか──。その場は大笑いしてしまったが、よくよく考えたらしみじみと泣けてきた。思えば父も70代。42歳の私ですら頻尿や尿漏れに怯えて生きているのだ。大好きなターミネーターのクライマックス、ラスト15分を見届けられぬほどヨシオさんの泌尿器はバカになっているのか。父よ、察してあげられなくてすまぬ。

・父よ、すまぬ

その後「映画観る前にトイレ行ったの?」「どうしても我慢できなかったの?」「どういう気持ちで映画館を後にしたの?」などと聞いてみたが、全てガン無視されたことはお伝えしておく。ヨシオさん、あなたの息子は勢いで聞いてしまったが、今は深く反省しています。

というわけで、もし映画館の席を途中で立つ人がいたら「そういう可能性もあるな」と思い返していただければ幸いだ。あと、ターミネーター:ニュー・フェイト、めっちゃ面白いからね!

参考リンク:映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:c 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.