
どこにでもある紙から、アイディア次第で無限に立体物を生み出せるペーパークラフト。雑誌の付録や学校の図画工作、広い意味では折り紙まで、誰しも一度はやったことがあると思う。とはいえ、しょせんは紙。完成品を大事に保管する人は多くはないと想像するが、思わずまじまじと見入ってしまう超精密ペーパークラフト『みにちゅあーと』をご存知だろうか。
模型製作会社「株式会社さんけい」が販売しているペーパークラフトキットで、鉄道模型向けのリアルなジオラマから、ジブリやムーミンなどのキャラクターものまで、ものすごい数の商品がある。そのどれもがまさにアート!
しかもキットになっているということは、特別な道具や技術がなくても誰でも作れるということ。今回は数あるラインナップの中から、みんな大好き「ドラえもん」を作ってみた。はっきり言って途中で挫折するかと思ったくらい激ムズだったのだが、その完成度が素晴らしいのでレポートしたい。
・ドラえもん mini タケコプター(税込2860円)
1万円を超えるキットが珍しくない『みにちゅあーと』の中で、miniは価格も手頃で「入門版」と位置付けられている。レベル5まである難易度のうち、miniは最高でもレベル3。今回の「タケコプター」に至ってはレベル2だ。全体の中ではかなり簡単に作れる方に入る。
外箱は可愛い手のひらサイズ。ドラえもんカラーのわずか6cm四方の箱にキットが納められている。
あらかじめ鮮やかに着色された小さな小さな厚紙が20枚以上も入っていた。箱が手のひらサイズなら、シートも手のひらサイズ。情景パウダーまであって本格的だ。
・キャラクターの組み立て
説明書に従って、キャラクターを組み立てていこう。厚紙はレーザーカットしてあって、何カ所かにカッターを入れるだけで簡単にパーツが切り離せる。ちょうどプラモデルのパーツをランナーから外す要領だ。ペーパークラフトの面倒な部分がほとんど終わっているという状態で、組み立てに専念できるのはいい!
と思ったのも束の間。こ、このドラえもんの鈴……小さっ……! ピンセットでつまめないくらい小さい。
ところどころ着色の指示があって、例えばドラえもんの「鼻」なんて激ムズ。
直径わずか1mmほどのパーツにハイライト! 一体どうやって!? 絵筆では絶対に無理なので、爪楊枝にホワイトをつけ、プルプル震える手で絵の具を置く。
肉眼では見えないが、写真で見るとモロはみ出してる……。ピンセットでパーツを固定することすら難しいのに、色を塗るって無理ゲーだから……。後になって考えたら、鼻だけの状態で塗るのではなく、ドラえもん本体に接着してから着色すれば、少なくとも固定はできた。手先がブレて顔に色がついてしまう可能性の方が高いが。
筆者はまだ老眼という歳ではない(はず)。それでも目のピントが合わず、手元がはっきり見えないので作業が難航する。スマホ老眼が進んでいるのだと思う。これはかなりショックだった。今日からは絶対に暗い部屋でベッドに入ってスマホを見ないようにしよう。
・家の組み立て
気を取り直して家の組み立てに入っていこう。玄関枠の細さよ……。ちょっとでも刃先がズレたら切れてしまう。縁日の型抜きのような異様な緊張感の中で作業する。一瞬の油断が命取りだ。
筆者の目も節穴ではない。バリがあるのはわかっている。しかし、しかし、バリを取るために本体を犠牲にするわけにはいかない……。苦渋の決断だ。
このドアのパーツも……正気の沙汰じゃない。もはやカメラにも写らないが、ドアノブの丸い形まで印刷されている。鼻息で飛んでいきそう。これを切り出して、ボンドつけて、位置決めして……って、このキット、レベル2だと? 何かの間違いじゃ?
ようやく大きなパーツの組み立てに入り、家らしくなってくる。のび太の家って毎週のようにテレビで見ていたせいか、遠い親戚の家みたいな感覚だ。現実には一度も行ったことないのに家の中の様子をよく知っているというか。「そうそう、こうなってた」と見覚えがある。
・外周りを作って完成
もう少しで完成だ。情景パウダーで地面や樹木を作る。植栽を植えたらグッとリアルになった。
キャラクターを接着する前の姿だけど、家が完成! この立体感! 奥行き!
普通のペーパークラフトだと、ただ表面に印刷してあるだけのところも、厚紙を重ねて立体的に作ってあるからちゃんと陰影ができる。自分で着色するのと違って、色ムラがないのも美しい。それでいて紙のマットな質感も良い。ツルツルのプラモデルとは違った味がある。
キャラクターをつけたら、今まさにタケコプターで飛び立ったところ! 完成までおよそ4時間。眼精疲労がすさまじいが、これまでの苦労が吹っ飛んだ。
・ジブリも作ってみたい
激ムズだったけど、それに見合った完成度で、自分で作ったくせにいつまでも眺めていられる。これは他のシリーズも作ってみたい!
公式オンラインショップで見ると、もっとも大規模なキットは『千と千尋の神隠し』の「油屋」で、価格は6万6000円(税込)! しかも千と千尋〜は油屋だけでなく「不思議の町」や「海原電鉄」を作れるキットも複数出ていて、それらをすべて作って台座に載せると軽く10万円越えだ! 清水の舞台から飛び下りる勇気が出るまで、とりあえずスマホ老眼を治しておこう。
参考リンク:株式会社さんけい、みにちゅあーとショップ
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
▼サイズ感はこんな感じ
▼玄関から今にものび太が飛び出してきそう
▼いつもママが洗濯物を干している庭はこっち側
▼逆側はシンプル
冨樫さや


















ミニチュアをミニチュアにする!? クリエイターМozu氏の「こびとシリーズ」をさらに小さくした狂気的キット
スリーコインズで売ってる「組み立てカプセルトイキット」を作ってみた / 対象年齢6歳以上だけど子どもには難しい気が……
「バイクの日」によみがえる苦い記憶…クラフト愛好家の私が過去にたった1度だけ挫折した激むずペーパークラフト
重機はロマン! 実物は買えないからペーパークラフトでクレーン車を所有してみる
シン・エヴァンゲリオン公開延期が悲しすぎるのでペーパークラフトを作ってみた
鳥貴族の食べ飲み放題「トリキ晩餐会(税込3900円)」が思ってたより最高だった / 忘年会に最適だと思った2つの理由
高級レザーパンツ(革パン)を買ったんで、お店で丈詰めしようとしたら「えーっ?」となったんで自分でやった
【天国】錦糸町の名銭湯「黄金湯」に泊まってみた / 昭和と令和が融合した銭湯天国を満喫!
いつも混んでる「焼肉きんぐ」、中国の渡航自粛要請で今なら空いているかも!? 確かめに行ったら…席に着くと同時にピンチが始まった
【衝撃】人生初の「スタミナ破滅系ラーメン」が超強烈だった
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
中国の「渡航自粛勧告」から2週間、現在の「奈良公園」で目の当たりにした意外な光景
【中国渡航自粛】ガチ中華だらけの上野・アメ横に行ってみたら → 取材拒否の連続に…
【極論】焼肉って結局ウインナーが一番うまくないか? 「ウインナーだけ焼肉」やってみた結果 …
中国「渡航自粛勧告」から1週間経った、東京・浅草を見に行ってみた
【納得】ガストの「ジョブチューンで唯一不合格だった」メニューを食べてみた → 不合格にする気持ちがわかった
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
所要時間2時間の超大作がこちらです! 雑誌『幼稚園』スカイマーク飛行機の付録がガチすぎる
山にまったく興味はないが富士山の山岳模型を作ってみたら……誰もが山好きになるかもしれない癒しのキット「やまつみ」
【予想外】ヨドバシのおもちゃコーナーで「インバウンド客が興奮気味に撮影していた商品」がこちらです
ちいかわは癒しのはずだよね? かわいい見た目で選んだペーパーシアターが3時間コースだった
軽いノリで買った1150円の雑誌のふろくが、とんでもない化け物だった /『歴史群像』8月号、戦艦「大和」のペーパークラフトがガチすぎて秒殺された
【号泣】ドラえもんの去り際ジオラマ…雑誌『のび太くん』がエモすぎる! 価格に秘められた謎を知って震えた
【後編】自作のキャラクターがフィギュアになる夢のようなサービス! 1万円で作られた実際のフィギュアがこちら
脳は簡単にだまされる! あり得ないことが起きる「錯視」の不思議な世界 / 『トリック・クラフトBOOK』
雑誌『子供の科学』のレベルが高すぎて自分に自信をなくす件 → 生まれて初めて付録を完成できませんでした
不潔なトイレへの挑戦! なぜだか徹底的に汚したくなる「和式便所」のプラモデル
【和の心】木でできた浮世絵が美しすぎる! 職人芸かと思いきや超簡単な「木はり絵」やってみた